かんごしがあらわれた

日曜よる、受験生が喉が胸部が痛いと訴える。

発熱は無し。翌朝、病院に行くことにする。



あの病院に。



受験生は中3なので小児科で受付をする。
ビッシリ人が敷き詰まった待合室…当分呼ばれないな…と文庫をバサッと開く。首のもげた栞を鞄にしまい呼ばれるのを待つ。受験生はスマホを凝視しながらたまに鼻を鳴らして笑っている。

小児科の待合室には、よちよち歩きのかわいいが、あちらこちらで所狭しとトタトタ歩き、わんわん泣いてる。


隣の息子を改めて見る…でけぇwwwあれ、こんな…あれ…

「息子、ちょっと立ってみて…正月より伸びてない?」

待合室ですっくと立ってふたり背合わせ…どうだ…

「まだ…まだ俺のほうが高いようですな!」

そう言いながら、そそくさと座る。
……近く抜かれるな…うれしいような淋しいような。


周りの小さい子らに再び目をやる。
まだ年少さんの頃に角にアタマぶつけて切った時、小さいおぬしを抱きしめながらここの夜間救急に来たっけ…再び息子に目をやる…おもわず言った。

「でけぇよwww小児科のデカさじゃねぇのよあんたwww」

ひとしきり息子とバカトークを交わしたあと、ようやく文庫に没頭した。


息子の番号が呼ばれて診察室へ。

「気胸っぽそうですね…詳しく診たいのでレントゲンとCT撮りましょう。」


急遽、レントゲンとCTを撮ることになった……レントゲンとCT……。
レントゲン室とCT室……そして大腸検査室は隣り合わせで群生している…イヤな予感が……。


息子と共に、レントゲン室の待合へ。
すぐさま文庫に没頭…はできなかった。

椅子に腰掛けるやいなや

かんごしがあらわれた!!


「ああっ!!!にゃ〜んこだぁ〜いせんそ〜www」


コミカルに小さく踊ってこっちに駆け寄ってきた。スイッチがONの顔になっているw

「どうしましたwまたカメラですかwww」
「今日はわたしじゃないですw息子の付き添いなんです」
「あら、息子さん…お父さん明るいよねぇ〜可笑しかったんだから…ねぇ〜って…今日はおとなしいじゃあないですかぁ」
「待合室ですからwwわきまえてますからwww」
「検査室に入ったらアクセル全開ですもんねwww」
「これこれ…息子の前ですぞwww」


かんごしは「息子さん、お大事にっ!ほいじゃ!!」軽く手をあげ颯爽と戦線に戻っていった。

ふぅ…やっぱりあらわれおったかw


看護師さん方には、本当に頭が下がります。
どうか息子をよろしくお願いします。
戦線に戻る看護師さんの背中を見送ってから再び文庫に没頭する。


レントゲン、CTと撮影した後、小児科に戻る。


「縦隔気腫ですね。一週間は自宅で安静にしてください。」


病院を出て、車に乗り込む。

「イケメン病じゃね〜かwwでも悪化したり、細菌感染したらいけないから油断しないでちゃんと安静にしててね…しっかり癒やして…な!」

「うん」

エンジンをかける。
音楽をかける。


ハッパをかける。


息子は助手席でリズムをとりながら前を向いている。


すべての受験生に幸あれ!!!



















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