見出し画像

VNL2021 男子2戦目vsオランダ🇳🇱

表紙のイラストはCatherineさんからお借りしました!

データ

5/29 セットカウント3-2(22-25,23-25,25-22,25-17,15-8)


日本代表出場選手



OH:石川祐希(C)、髙橋藍、大塚達宣、高梨健太、福澤達哉

MB:髙橋健太郎、小野寺太志、山内晶大、李博

OP:清水邦広

S:藤井直伸、関田誠大

L:山本智大、小川智大

1セット目

(選手名の前の番号はセッターを1番とした時のサーブ順を表しています)

日本※()は番号、ポジション

1番藤井(3,S) 2番石川(14,OH,キャプテン) 3番山内(6,MB) 4番清水(1,OP) 5番髙橋(藍)(21,OH) 6番小野寺(2,MB) リベロ:山本(20)

オランダ※()は番号、ポジション

1番デ・ウェイヤル(19,S) 2番アンドリンハ(18,OH) 3番プラク(8,MB) 4番二ミル(14,OP,キャプテン) 5番テルホルスト(4,OH) 6番ウィンテルブルグ(22,MB) リベロ:ドロンケルス(6)

2セット目

日本

1番藤井 2番石川 3番髙橋(健) 4番清水 5番髙橋(藍) 6番小野寺 リベロ:山本

3セット目

日本

1番関田 2番石川 3番髙橋(健) 4番清水 5番髙橋(藍) 6番小野寺 リベロ:山本

4セット目

1番関田 2番石川 3番髙橋(健) 4番大塚 5番髙橋(藍) 6番小野寺 リベロ:山本

5セット目

1番関田 2番石川 3番髙橋(健) 4番大塚 5番髙橋(藍) 6番小野寺 リベロ:山本

(対戦国の選手情報までちゃんと追えていないので、分かり次第修正します...BS勢の為把握に時間を要します...すみません...)

個人的MVP

髙橋藍選手だ。両チーム最多となる26得点を挙げ決定率はサイドのスパイカーで両チームトップの57.89%、サーブでは相手スパイカーを狙い攻撃枚数を減らすことに成功し日本に流れを作った。守備面でもチームトップのレセプション返球率を記録し、攻守に渡って勝利に貢献した。

試合序盤日本はOHを主体としたトスワークであったためその中でこの活躍は素晴らしい。観ていて印象的だったのは、4セット目終盤の被ブロックの場面だ。この時、日本はマッチポイントを握っており相手と差をつけた状態であった。この局面においてブロックと真っ向勝負を仕掛けたのは、今後に向けての経験をこの実践で試したと僕は見る。末恐ろしい選手である。セット獲得ほぼ確実というところまでチームを持っていった上で、自分の経験不足を補おうと試したのだ。結果は相手の得点とはなったが、試合を俯瞰的に見たうえで自分を成長させようとプレーする姿に今後も注目したい。

総評

序盤は相手の攻撃に押された印象。攻撃枚数を減らしてはいるものの、相手の得点源である二ミルを中心とした攻撃に苦しめられた。ブロックが複数枚揃えられていても上から打たれてしまうなど、なかなか対応できない場面が目立った。要所要所で相手の攻撃に対してコミットブロックを仕掛けるものの振られる場面があり、なかなか思い通りにいかない時間が続いた。小野寺の3連続サービスエースなどあったものの日本は昨日と変わってサーブミスが目立つ。試合の主導権はオランダにあり、日本はなかなかトランジションアタックで決めることが出来ず流れを掴めずにいた。OPのスタートを務めた清水は、得点を取れてはいるものの被ブロックによる失点が目立った。他のスパイカーは、相手ブロックに苦しむ場面はあったが直接失点につながるようなミスは少なかった。しかしそれでも二ミル、テルホルスト、プラクを中心とした攻撃に苦しめられ2セットを相手に連取されてしまった。

追い込められた第3セット以降、途中出場の選手たちがチームに流れを作った。2セット目から山内に代わり入った髙橋(健)は高さを生かしたスパイクで得点を量産し、相手ブロックにセンター線を意識させた。3セット目スタートで起用された関田は、清水に代わってOPの位置に入った大塚を積極的に利用し大塚もそれに応えることで、元々相手ブロックがマークしていたレフト、センター線だけでなくライトを意識させることが出来た。それに加え関田は要所でキャプテン石川に連続で上げるなど、分散させるところと確実に取るところの見極めが行えていた。これらの要因から相手ブロックの分散に成功した日本はさらに、1セット目から取り組んでいた二ミル対策が得点に結びつきだす。二ミルに対して活躍が光ったのはキャプテン石川だ。後衛ではオーバーでブロックの上を抜けるボールを処理し、前衛ではブロックで真下に落とす等、二ミルの脅威をうまく凌いでみせた。チームとしても対策を講じ、試合中盤から二ミルのスパイクコースが真ん中に集まっていると見ると、本来バックレフトを守るリベロ山本をバックセンターに配置する対応も見せた。途中から出場した選手、二ミル対策が機能し3セット目を日本が取った。

4セット目序盤の展開としてはシーソーゲームが続いたが、髙橋(藍)のサーブで中盤リードすると主導権を握った。3セット目から調子を上げていた大塚はこの連続得点の中でスパイクで存在感を見せ、若手の活躍がチームに勢いをもたらしたシーンだ。日本はこの勢いのまま、これまで見せていなかったセッター裏からキャプテン石川のバックアタックなど相手ブロックを翻弄する攻撃を見せ25-17で4セット目を奪った。

5セット目にはこの試合通じて苦しめられたMBプラクのクイックを髙橋(健)が止めると続けて関田がブロックポイント、相手のスパイクミスも続き0-4と良い出だしを切った。日本がこれまで苦しんでいたS1のローテでは、本職がOHである大塚がレフトから力強いスパイクを決め、自身の強みを発揮させた。オランダはコンビミス、サーブミスが目立ち最後は相手キャプテンの二ミルのサーブミスで幕を閉じた。

今回チームに勢いをもたらしたのは髙橋(藍)、大塚、関田だろう。この3人に続き今大会初出場の髙橋(健)がスパイクで存在感を見せた。しかしチームを支えたのはキャプテン石川だ。レシーブ面で大崩れすることもなく、2本目を処理する時には高い精度のセットをスパイカーに供給し、チームが苦しい場面で難しいボールを点につなげる。派手なプレーは少なかったがチームの中心は石川だという事を思い知らされた。小野寺も他の選手に比べ目立たなかったものの、厳しいマークの中でアタックを決め、サーブでも相手のライト線を潰すコースをコンスタントに打てていた。

活躍する若手とそれを支える中堅。日本の成長を感じる試合だった。

今後に向けて

髙橋(健)のサーブ

解説の山本さんも指摘していたようにサーブトスが不安定なためムラがあった。終盤良くなってきていたものの、スタメン定着にはさらなる精度が求められる。

髙橋(藍)のセット

今の日本では1本目セッターが触る局面ではバックセンターがセットを担当しているが、まだまだ改善の余地がある。特に上位国相手ではこれまで取り組んでいたフェイクセットを行う場面は減ると予想されるので、純粋なセット能力が今後求められる。

OPの役割

今の日本のOPには求められるものが増えている。シンクロ攻撃で1stテンポが打てて、相手レフトを抑えるブロック力、セッター前衛時ブロックを他2枚でカバーできるだけのビッグサーブ、そしてビッグサーブに対してのレセプションだ。

清水はこの試合では被ブロックが目立った。さらに得点している場面ではインシステムの印象が強いため、乱れた場面や相手ブロッカーの揃った状況でもトスを託せるようなOPでなければ、今後スタメンを勝ち取るのは難しくなってくるだろう。また他の選手と比べるとブロックでの貢献度が低い印象があるため、その他のスパイク・サーブで存在感を見せて欲しい。

大塚は今大会急遽OPとして試合に出場しているが、ここまで見事な活躍を見せている。急造でこの仕上がりは能力の高さを感じさせる。1stテンポでシンクロ攻撃に参加し得点しているため、チーム全体のはやさを損なわせていない点で評価したい。守備でも、相手のビッグサーバー時にレセプション参加可能な点でも評価したい。この試合では二ミルのビッグサーブに対し清水がレセプションに参加している場面があり、チームとしてビッグサーバー時OPに守備を求めていることが分かる。この点で大塚のOPは実用的だといえる。左利きのOPでは苦手とされるS1問題も解消できる人材でもあるため、個人的にはOH兼OPとして五輪出場を期待している。

チーム全体

サーブでまだまだ点を取って欲しい。オランダのようにハイセットで得点できるチームというのは上位国では普通である。乱すだけでは、足りない。レシーバーが触ったとしてもコート外に弾き飛ばすorノータッチエースを量産できるサーバーが出て来ないと今後厳しいだろう。ブロックに関しても、チームとしてマークを決めて行うのは良いとは思うが複数枚揃えれていても上から打たれるケースというのは出てしまう。それを減らすためのサーブ、アタックであるが、今後もコミットしたブロックの上から打たれるケースが頻発するのであればブロック戦術の修正が求められる。また相手MBの攻撃をブロックで対応しきれていないのも気になる。上位国はより高い精度で攻撃してくることを考えると、MBの1枚ブロックの精度を高めるか、バンチブロックの徹底を行ってほしい。

今後の男子日程(アリノミさん作成)


(メッチャ分かりやすい...ありがとうございます...)

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?