18.なぜ遊び人だけが悟りの書なしで賢者になれるのか?(ドラクエ3)
1988年に発売された、ドラゴンクエスト3というゲームがあります。
このゲームでは、キャラクターに「職業」という概念があり、レベルが20になると、今の職業から他の職業に転職ができるのですが、
上級職である「賢者」になるには、「悟りの書」という特別なアイテムが必要でした。
ただ、このルールには例外がありまして、
「遊び人」という職業だけは、何故か「悟りの書」を読まなくても賢者になることができました。
私は子供の頃、このゲームを夢中で遊んだわけですが、これが何故なのか、まったく理解できませんでした。
リメイクされる前の、元祖ファミコン版ドラクエ3において、「遊び人」という職業は、本当に、役立たずでした。
勇者が平和を取り戻すべく、魔王を倒しに冒険に旅立とうというのに、この遊び人は、戦闘中に遊んでばかりで、やる気がまるでありません。
ただのお荷物です。
4人というパーティー人数の限界を考えた場合、こんな人物を連れていくなんて、合理的な考え方ではありえないです。
ところが、前述したとおり、遊び人だけは、悟りの書なしで賢者に転職できる。
ファミコン版では、(確か)「悟りの書」は1つしか手に入らなかった超貴重品なので、「賢者」という、全ての魔法を使いこなす最強職を複数人欲しければ、遊び人をパーティーに入れるしかなかったわけです。
でも、おかしくないですか?
僧侶、戦士、魔法使いといった、戦闘に役立つ真面目な職業は、「悟りの書」を読まないと賢者になれないのに、
なぜ、遊び人みたいな、頭が悪そうで、不真面目で、本当に使えない人物だけ、「悟りの書」を読まなくても賢者になれるんだろう?
意味がわかりませんでした。
「ゲームだから」と言ってしまえば、たしかにそれまでです。
「遊び人という職業に意味をもたせるため、システム的にそうした」と言われれば、ごもっともだと答えるしかありません。
ですが、子供の頃の私は、
「遊び人だけは、何故か特別な教えなしで賢者になれる」
ことに、とても強い興味を持ったのです。
そう、
「ひょっとしたら、ゲームではなく、現実でも、そうなのではないのか?」
と。
、、、それから36年経過し、時は2024年。
私は、この謎に挑むべく、人生を「遊び人」からスタートし、自分の人生を現実に消費して、「賢者」に転職するため、いろいろなことを試しました。
話せば長くなるので今回は省略しますが、結果としては、いまだ、私はただの低級遊び人、賢者には転職できませんでした。
そのかわり、遊び人について「悟った」ことが、3つあります。
ひとつ、どれだけ真面目で軍隊のような組織であろうと、「遊び」は必要。
現実の「遊び人」は、決して役立たずなどではない。
ふたつ、遊び人は、頭が悪いなんて、とんでもない。
真の遊び人は、むしろ頭が良くないと務まらない。
みっつ、人生を、ただの遊びだと思って生きることが出来るのならば、怖いものなどなにもない。
すなわち、遊び人こそがメンタル最強。
ドラクエ3の遊び人は、ひたすらに達観していた。
だからこそ、命をかけた戦いにも、「笑い」を呼び込むことが出来る。
冒険の途中、勇者は遊び人の存在に、精神面で助けられたのではないだろうか?
そしてこれらが、「遊び人」を、悟りの書なしで「賢者」へと導く、真の悟りの正体なのではないだろうか。
子供の頃の私は、ゲーム上での強さだけに目を奪われ、物語の登場人物のロールプレイにまで気をまわすことが出来なかった。
だから、この謎が解けなかった。
36年の年月がすぎた今、私はそう感じています。
遊び人は、確かに悟っている。
そして、遊び人は、賢者に転職しなくても、立派な職業だと思います。
今は令和。
リメイクでは、遊び人は初代よりも役立つ職業になっていそうですね。
ドラクエ3という、私の人生を変えたゲームのリメイク版(HD-2D版『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』)発売を記念して。
※本当のところは、制作者の堀井雄二先生や制作スタッフの方々、スクウェア・エニックス様に聞いてみてください。
次回の予定は未定です。気長にお待ちください。
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