春雷
大地の息吹が感じられる季節になりましたね。
寒い冬が過ぎ去り、やわらかな光の中で色とりどりの生命があちらこちらで動きはじめます。
皆さまがお住まいの地域は如何でしょうか。
春の大氣は不安定で、さっきまで薄雲のかかった青空が広がっていたかと思えば立ちどころに黒い雲が現れ、激しい雨粒の音が聞こえてきたりします。
雨音の中から雷鳴が轟くようになると、毎年春の訪れを実感します。
音は振動ですが、振動が全ての現象を引き起こしているので、訪れというのは「音連れ」なのかもしれませんね。
雷にはあまりよいイメージを抱かない方が多いかもしれません。大きな雷鳴を聞くとドキッとしますし、落雷によって人が実際に被害を受けるケースもあります。
昔から「地震雷火事おやじ」といったように、雷は私たちに恐ろしい災害を連想させます。
しかし、大地にとっての雷は少し違います。
昔から雷が多く落ちる年は稲が豊作だと言われます。
稲妻は稲の妻であり、大地に実りをもたらしてくれる神聖な伴侶です。
しめ縄につり下がっているギザギザの紙垂(しで)は雷を表していますが、昔から日本人は恵みをもたらす自然そのものを神様だと感じていた事が分かります。
「つま」は現在では妻と書きますが古くは夫婦や恋人が相手を呼ぶ言葉で、男女関係なく「つま」と言ったようです。
なぜ雷によって稲が豊作になるのかというと、雷の放電により空氣中で窒素酸化物などの成分が生成され、それらが雨となって降ることで肥料となり植物の成長が促進されるためだと言われているようです。
昔の人は自然と向き合う中でこうした事を学んでいたのでしょうね。
一般的に雷は雲の中で発生したマイナスの電気が雲の下部に帯電することで、それに呼応したプラスの電気が地表に集まり、帯電がある量を超えた時に地上に流れることで発生します。
プラス+とマイナス-を合わせたのが土という字ですが、天と地が雷によって出会い繋がる場所が土です。
まるで地球の陰陽エネルギーのようですが、雷はプラスとマイナスを中和しているとも言えますね。
また雷は地球の大地と電離層の間に超低周波の電磁場を発生させています。雷によって発生した電磁波は大地と電離層の間を何度も反射しながら進行し、特定の周波数で共振します。
この現象は「シューマン共振」と呼ばれますが、こうした超低周波の電磁波は私たち人類が誕生する以前の太古から地球に存在しており、私たちは生命を宿した瞬間からこの超低周波という地球の揺りかごに育まれてきたと言えます。
シューマン共振波(7.83Hz/一次観測)と人間の脳波には類似性がみられるため、人体とシューマン共振には相関性があるのではないかとも言われています。
そうした相関性は今のところ科学的根拠のないものだとされているのですが、超低周波電磁界が "細胞を損傷から保護している” 可能性を示す研究が、科学誌『Nature Scientific Reports』で発表されています。
この実験はイスラエルの研究者たちが超低周波電磁界がラットの心筋細胞培養に及ぼす影響について調べたもので、生物細胞が酸化ストレスや低酸素状態下にあるとき、極微弱磁場が細胞を損傷から保護するように見えるという結果が出ています。(https://www.nature.com/articles/s41598-018-36341-z)(https://www.israel21c.org/israeli-study-finds-lightning-may-have-protective-traits/)
解明には更なる研究が必要とされていますが、この実験はシューマン共振のような超低周波電磁気共鳴が生物の細胞を修復している可能性を示しています。
つまりこの実験が正しければ、雷は私たちの細胞を修復する活動を担ってくれている事になります。
私たちは太古から地球の大氣に守られてきました。
人にとって有害な紫外線や宇宙放射線、隕石などから幾重にも張られたバリアの中で厳重に守られ、細胞の修復までしてくれていたのだとしたら、生命は地球にとてつもなく愛された箱入り娘のように思えてきます。
「地球は常に自然を神聖なバランスに保とうとしてくれている。人間が好き勝手に破壊してきたあらゆるバランスを、地球は常に浄化し、戻そうとしてくれているのかもしれない。」
そういった視点を持った時、雷や災害は私たちにとってただ憎むだけものではなくなります。
花々は何故、人の目の届く高さで美しく咲くのでしょうか?
昨年地球を旅立たれた "精神世界の鉄人" こと十真さんが生前に、
「それは神様が人間を楽しませるためなのだ」
と、仰っていたのがふと心に浮かびました。
蕾は草かんむりに雷と書きますね。
寒い冬の間にじっと天と地のエネルギーを蓄えた蕾がふくよかに花開き、生命が踊り輝く季節。
春を、楽しみましょう。
皆さまによき春が、訪れますように*・゚゚・*:.。..。.:*