「かしわうどん」から見出す日本の美感覚
先月、佐賀を訪れた際に北九州名物の「かしわうどん」を食べてみた。(中央軒 新鳥栖駅店)
汁は薄味であっさりしていて、麺はコシが全くないからこそツルツルで新食感で美味しい。
うどんを食べながらこの薄味について店員さんと話していると、九州では甘口醤油が一般的らしい。店員さん曰く、とある甘口醤油はもはや醤油ではなく、砂糖汁だったそう笑
これは歴史が関係していて、江戸時代にまで遡る。当時、鎖国政策で長崎の出島だけに対外貿易を制限していたことで、オランダから大量の砂糖が流入し、九州に甘口が遍く広まったのだと教えてくれた。
ところで、「かしわ」って何だろう?と思って話を聞くと、鶏肉のことだという。
調べてみると、どうやらこれも江戸時代にまで遡る。5代将軍・徳川綱吉による生類憐れみの令で動物殺生が禁じられ、食肉の販売も同時に禁じられた。そこで、肉屋は肉の名称を用いずに花の名前に変えて肉を販売することでこの法令の拘束から逃れた。
例えば、「馬肉=さくら」「鹿肉=もみじ」「猪肉=ぼたん」、そして「鶏肉=かしわ」と花の名に例えた。
法令によって窮地に追い込まれた中で人々が、肉を花として表現しようとした発想に、日本人の本来的な美感覚が表れている気がした。
そう思うに至らせてくれた店員さんとの会話は、「かしわうどん」を一層美味しくしてくれた。
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