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″知る″に帰着する(ドイツ・ニュルンベルク)

ニュルンベルク編

″知る″に帰着する

ニュルンベルクはWWⅡ後に敗戦したドイツの戦争犯罪を裁いたニュルンベルク裁判が行われた地として有名ではないだろうか? またヒトラーが最もドイツらしい地としてナチスの党大会の会場として選んだ地でもある。

僕がニュルンベルクに訪れたかったのは、ニュルンベルク裁判所、党大会会場の跡地及びナチスの台頭とその歴史を伝える党大会文書センター、アルブレヒト・デューラーハウスを見学したかったからだ。一つ一つ振り返っていこう。

ニュルンベルク裁判所

ニュルンベルク裁判が実際に行われた600号室は現在も使用されているが一般公開されている。


法廷でありながらキリスト教的な美しさが感じられる。あらゆる所に宗教が顔を覗かせる。

その上の階には裁判の様子や資料、さらには日本の極東裁判についても言及されている。ニュルンベルク裁判と極東裁判は敗戦国の戦犯を裁いたものとして共通しており、二大国際軍事裁判である。


党大会文書センター

ここは大規模なナチスの集会の跡地だ。ローマのコロッセオを意識した建築で、規模はその2倍だそうだ。コロッセオは独り占め出来ないが、ここではそれが可能だった。


実はここは広大な敷地にテーマパークの如く、様々な施設が建設されるようだったが、途中で頓挫したそうだ。仮に完成していたら代表的な観光地になっていたんだろうな。

そしてそれに隣接しているのが党大会文書センターだ。ここではナチスの歴史と、当施設の役割が説明されている。資料を見ていると当時党大会に向けて、全国から党員がニュルンベルクに待ち望んでいたかのような笑顔で列車に乗って大移動していた。実際の党大会の様子の映像も放映されており、日本のドーム公演の比ではない規模に圧倒される。

この2点から″傍観者″が導く民主主義の末路に一層恐怖を感じてしまった。

またヒトラーがどれだけ支持されていたかを物語るグッズの展示もされていた。

これはヒトラーが獄中で執筆した当時の『我が闘争』

ナチス関連の施設は今回の旅で数多く訪れたが、どれ1つとして文脈を欠かずに繋がっている。ここに1つの″旅″の意義が見出せたように思う。旅の〆には再びアウシュビッツに戻ってみたいなという気持ちだ。

アルブレヒト・デューラーハウス

絵画の見方はどうも理解し難い。旅前に西洋美術について少し勉強したが、「この絵のここが良い」というのはなかなか難しい。知っている絵画やキリスト教や歴史の知識が絵画の理解を助けてくれはするが、それ以上がない。まだまだ勉強が必要だ。

因みに『名画と読むイエス・キリストの物語』 中野京子 はキリスト教史と絵画の繋がりの理解において重宝した。

https://booklog.jp/item/1/4479392327


デューラーは絵画史に大きな影響を与えたドイツの巨匠だ。ダヴィンチの『モナリザ』が世界一の知名度を有しているのに対して、デューラーの『アダムとエヴァ』は世界一の影響力を有していると言われている。また、彼はアレクサンドロス大王の宮廷画家アペレスの再来だとも言われた。

しかし、僕には全くデューラーの絵の良さが分からず好きにもなれなかった。(勿論、美術館でデューラーの絵を見ると興奮はするけど…笑)

そんなデューラーに対するモヤモヤした態度が嫌で、彼の生活や作品の説明がされているとのことで訪れた。実際に彼が長年住んでいた家である。(日本語オーディオガイドもある)

15〜16世紀にかけて活動し、高い値がついた彼の作品に各地の王はコレクターとしてこぞって収集した。そのため、作品は各地に散らばりドゥーラーハウスにも複製しか残っていない。(因みに、作品を手放すのが惜しいために少しでも残したいという思いから複製が多く作成された)

「なるほど、それだけ人気があったわけね」と思いつつ、次は作品の説明エリアに移る。

面白いことに、ドゥーラー人気はその深淵さにあるという。活動初期、無名だった彼は何の価値もなく、売れる見込みのない自画像をかなりの時間を費やして描いた。今、彼の最も有名な作品がそれだ。未だにその理由は謎に包まれている。

その上、正面を向いているのも当時謎でありながら、画期的なものだったという。

これらの深淵こそが彼の人気に火をつけた。

残念ながら、それだけ説明を受けてもデューラー絵画の凄さは理解できても魅力は分からなかった。絵画こそ僕にとっての深淵である。ただ彼の生活や為人、作品の知識は多少なりとも吸収したので今後彼の作品に出会えばより大きな興奮を感じることになるだろう。

絵画の楽しみ方

「絵画の良さとか美術が分からないから興味ない」とは言わず、僕みたいなミーハー的な「知ってるから楽しい」っていう安直な楽しみ方でも良いのではないだろうか。何事も楽しみ方は人それぞれだ。なので、食わず嫌いにならず少しでも理解してみることを意識してみるだけでも、見方が変わって面白いかも知れない。

僕は自分が″知る″ことに喜びを感じることを知っている。だから知らない地を″知り″、机上で学んだことを五感で″知り″、異文化を″知り″たいから旅をしているんだろう。

何が何だか分からなくても、とりあえず動いてみて何かを″知る″ことで、何かが変わるかも知れない。

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