GOTYと今年やったゲーム
すでにご存じの方も多いと思うが、2020年のGame Of The Year(GOTY)が発表された。今年のGOTYは、The Last of Us Part Ⅱだった。ラスアス2は私もプレイして面白い作品だったことは確かだが、正直もっと推しのゲームがあるのになあ、と思った。まぁ、大賞と自分の意見と合わないことってよくある。
そこで、せっかくなので今年プレイしたゲームを時系列順に振り返って、私のGOTYを決めてみようと思う。昨年PS4を買ったことに加えコロナ禍で在宅時間が増えた今年は、終始自宅に引きこもってゲームをしていた。今までの人生で一番ゲームをした一年だったかもしれない。先にもあとにも、こんなにゲームをする一年はもう来ないかもしれないから、しっかりと振り返ってみるのも悪くない。
※ゲームタイトル後に「未クリア」と記載のある作品があるが、「クリア」の基準は「具体的にやり残しがある」くらいの気持ちなので、ゲームによってストーリー未クリア、2周目未クリアなど未クリアのラインは結構バラバラなのでそのへんはゆるく見てほしい。
①Nintendo Switch:リングフィットアドベンチャー(未クリア)
Nintendo Switchで冒険しながらフィットネス
『リングフィット アドベンチャー』は、付属の新しい周辺機器「リングコン」「レッグバンド」で、全身で運動しながら、世界を救う冒険をするアドベンチャーゲーム。この冒険の旅は、1日30分のトレーニングで約3か月(※)かかる長い旅路。あなたのトレーニングの成果が、主人公のレベルアップにもつながる。
(Amazon商品ページより引用)
ある意味、今年を象徴するゲームの1つと言える。Switchにリングフィット(そして後述の「あつまれ どうぶつの森」)は、コロナ禍で自宅に引きこもるしか無かった人々――今までゲームをしてこなかった人たちも含めた――が、こぞって買い集めたゲームだった。もっとも人気の高かった緊急事態宣言時には、店舗もウェブサイトも完売御礼、メルカリで高額転売される始末だった。しかし、私がこのゲームを購入したのは今年の元旦、まだコロナのコの字も聞く前のことだった。
そもそもこのゲームは、発売からじわじわと人気を伸ばして、昨年の冬頃にはコロナに関係なく店頭の在庫が品薄だった。当時年末年始の旅行中だった私は、その土地の家電量販店で販売していたのを見つけ、何も考えず購入したのだ。旅行中に何をしている。
有名すぎて、このゲームについて説明することはあんまりない気がする。リング型のコントローラーを操りながらすすめる筋トレゲーム。言葉にすると非常にシンプルだが、しかしさすが任天堂。ちゃんとゲームとして仕上げてきたな、と感心した。というのも、自宅での筋トレってなかなか上手くいかない。特に私のように怠惰な人間には。まず続かない。それから辛いくらいまで自分を追い込むことができない。自分で「ここが限界」と決めてしまうので、本当はまだ行けるとしても辞めてしまうのだ。
だけど、このゲームは敵を筋トレで倒す必要があるから、「今ここでやめたらここまでの苦労が水の泡…」とちょっと限界を超えてがんばれる。更に、私にとってよかったのがレベリングだ。私はポケモンでは、必ず次の街に進む前に確実にジムリーダーのレベルを超えるくらいまでレベリングをしないと気がすまないトレーナーで、つまりレベルの暴力でボスを倒すためならレベリングを厭わない性格なのだ。このゲームはレベルの概念があり、レベルを上げるごとに基礎能力が上がるのはもちろん、1レベル上がるとスキルポイントが1もらえる。このスキルポイントを消費して、より強い新技(=新たな筋トレ)を入手することができる。それにより、昨日苦労した敵が今日は楽に倒せる、という実感が得られる。そして、レベリング厨の私は「レベル○○になるまでボスのところには行かない」「この技を習得するまで次の面には行かない」「あともう1ゲームしたらレベルが上がる」と、レベル目当てでゲームを続けることが出来た。もちろん、筋トレを続けることで昨日は辛かった技が今日はそこまで辛くない!という自己の成長も感じられて、ゲームのキャラクターをレベリングしているつもりが、いつの間にか現実の自分がレベリングされていたみたいで新鮮だった。
そもそもこのゲームが制作された頃、コロナなんてなくて、私達にはたくさんの運動の選択肢が合った。自宅でYou Tubeの動画を見ながらトレーニングすることもできるし、器具を買って鍛えることもできた。ジムに行ってより負荷の高い運動をすることだってできたし、青空の下を好き勝手走ったり、友達とスポーツを楽しむことだって選択できた。その中で、あえて「家庭用ゲームで運動をする理由」を生み出し、他の選択肢と戦っていかなければならなかったのだから、このゲームの完成度が高いのも頷ける。
なんて偉そうなことを書いているけれど、結局このゲームが続いているかと言うと、たまに1週間位やって、1ヶ月位だらけ…を繰り返している。続かない性格、締まらない身体、変わらない体重。2021年こそ、この辺に変革を起こしていきたい。行きたいよね。
②Nintendo Switch: フィットボクシング
おうちで爽快、エクササイズ!
Joy-Con をにぎれば、その場がジムに早変わり。
目的に合わせて「ダイエット」、「体力強化」、「健康維持」からプランを選択。気になる部位や、エクササイズ時間、ゲーム難易度なども調整可能です。
また、個性豊かなインストラクターのボイスは豪華声優陣を起用し、まるで個別レッスンのような感覚で毎日のエクササイズをサポートします。
(Amazon商品ページより引用)
まさかの連続運動系ゲーム。そうだ、私はやることが極端なのだ。ダイエットしようと思ったら、無酸素運動のあとに有酸素運動がいいということで有酸素運動用に購入した。フィットボクシング。別名「明夫と一緒」(と呼んでいるのは私だけだ)。
こちらも、人気声優が演じるトレーナーとリズムに合わせてフィットボクシングをするという、シンプルな内容だ。レベル等の要素はないが、カレンダーにはんこを押すという連続ログイン記録は残る。(脳トレみたいな)ある友達は豊満な女体のコーチを眺めながら癒やされていたので、楽しみ方は人それぞれだ。しかし、正直に言うと私はこっちはリングフィットより続かなかった。理由は2つある。
①ログイン記録形式が合わないこと。
ログイン記録が続くのは人並みに嬉しいが、私はそこにあまり執着のある人間ではないので、途切れるからやらなきゃ、という気持ちにならない。リングフィットで言うレベル(=成長している感)がリングフィットで言うこのログイン記録なので、ここに達成感や義務感を覚えられない私にはなかなか続かない。
②アパートだと「ステップ」ができない。
前々から書いているが、私の住居は激壁薄住宅で、それは床という壁も同じといえる。フィットボクシングには「デイリーモード」というモードが有り、このモードを進めると段々と新しい動きが追加されていくのだが、その中に上記の「ステップ」という動きがある。これは文字度通り前後にステップを踏む動きで、これがなかなか階下に響きそうな動きなのだ。階下の住人の怒りが怖い私は、ヨガマットを折り返した上でもこの動きをするのに気が留める。そのため運動に力が入らず、動きの評価も悪くなり、釈然としない結果に終わる。爽快感がない。そして、デイリーモードだとこの動きを除外することができない。(その動きが出にくくする設定は存在するが、完全に除外することはできない)仕方がないのでフリーモードでプレイしているが、一番大きな項目であるデイリーモードがプレイできないのはなかなか痛い。テンションが下がってしまう。フィットボクシングには2があるが、2では「サイレントモード」的な、足音のならない動きしかないモードを追加してあると嬉しい。
③Play station4: The Last Of Us Remastered
生きるために愛を捨てた男と愛を知らない少女の旅が今、始まる。
世界的大ヒットシリーズ「アンチャーテッド」を生み出したノーティドッグが、新境地を切り拓く。彼らの次なるチャレンジは、荒廃した大陸を生き抜くサバイバルアクション。
謎の寄生菌により崩壊寸前のアメリカ合衆国を舞台に、死と隣り合わせの過酷な旅路を描き出す。その卓越したグラフィッククオリティで活写するのは、寄生菌に冒された“インフェクテッド(感染者)”の恐怖、そして登場人物たちの心のドラマ。脅威を乗り越えた先に待つものとは――。
(Amazon『PS3用 The Last of US』 商品紹介ページ(https://www.amazon.co.jp/【PS3】The-Last-of-Us-ラスト・オブ・アス/dp/B00BXSZYXQ/ref=sr_1_24?__mk_ja_JP=カタカナ&dchild=1&keywords=ザラストオブアス&qid=1609298612&s=videogames&sr=1-24)より引用))
言わずとしれた名作で、今年のGOTYの前作。洋ゲー好きの友人の勧めでプレイしたタイトルだ。
ざっくりと説明すると「突如としてヤバいウィルスが広がった世界を舞台に、ある少女を感染者(=ゾンビ)と軍とゴロツキから守り、目的地まで送り届けろ」という内容だ。主人公のジョエルおじさんと、少女エリーの心温まる交流と、殺戮を楽しむゲーム。
正直ホラーゲームは苦手だが、あまり驚かせてくる要素はなく、どちらかというとゾンビや人間との戦闘を楽しめたところが好感が高かった。難易度は私にはやや高く、常に緊張感があった。一方、難しい局面では何度も死んでやり直し攻略方法を探す、トライアンドエラーでいつかはクリアできるのが気持ちいい。何度も「2周めはクリアできるかわからないな」と思ったものだ。難し楽しい絶妙なラインだったと思う。
それから(リマスター版ということもあるが)もともとPS3のタイトルでありながら非常にグラフィックが美しいゲームでもあった。私はこれまであまり洋ゲーを通ってこなかった(Nintendoのタイトルがメインだった)が、このゲームを境に洋ゲーにも手を広げるようになった。素直に面白いゲームだったと思う。感染者の見た目が結構ヤバいし、そもそもCERO Zなのでそういう耐性がないと厳しいが、そういうのが好きだという人にはぜひ勧めたい。まぁ、こういうゲームが好きな人には勧めるまでもないくらい有名なタイトルだけど。
ただ1点、このゲームを進める上で困ったことがあった。私だけかもしれないけど、このゲームをしていると何故か体調を崩すのだ。具体的には頭痛や吐き気。極度の緊張状態が画面酔いを誘発したのかもしれない。そういえばこういうゾンビものをプレイするのはこれが初めてで、耐性がまったくない状態だったから、もともと乗り物酔いすることもある体質も相まって、長時間プレイすると酔ってしまったのかもしれない。ゲームは面白いからもっとやりたいけど、体調的に無理、というのが結構辛い1本だった。
④Play Station4: Persona 5 the Royal
怪盗たちが盗むのは悪い大人たちの腐った心 大都会を騒がせる謎に包まれた 怪盗団
今、「心の怪盗団」を名乗る者たちが、大都会・東京を騒がせている。怪盗たちが“盗む”のは、歪んだ欲望を抱く、悪い大人の“心”。彼らから予告状を送り付けられた人間は、ことごとく「自らの罪を告白し、改心してしまう」ようだ。生徒に暴言暴行を働く教師、詐欺まがいの悪徳金融、盗作上等の芸術家…怪盗団の ターゲットは、そんな腐った大人たち。
前代未聞の世直し劇が、いま始まる。
(Amazon商品紹介ページより引用)
これも言わずとしれた名作だろう。アトラスから発売されている大人気ペルソナシリーズの第5作目「ペルソナ5」に追加要素を加えたものだ。JRPGの傑作と呼ぶ声も高く、私の中のGOTY候補でもある。
主人公は地元の町で冤罪事件に巻き込まれ保護観察の身となり、地元に居られなくなった人生ハードモード君。彼が東京で居候しながら私立秀尽学園という高校に転校したことを“回想“するところから物語は始まる。誰も知らない異世界から現実世界に干渉する力を手に入れた主人公は、仲間を増やしながら、昼間は高校生として青春を謳歌し、夜(正確には夕方)は怪盗団として悪い大人を懲らしめる、というストーリーだ。これだけ見ると、単純な勧善懲悪物に見えるし(実際にそう)、一部シナリオの幼稚さが気になるという声もある。(世の中そう単純でもないよな、と言いたくなる気持ちは私にもわかる)
しかし、私の中でこの作品を傑作にしたのはRによって追加された3学期の要素だった。ペルソナ5で描かれていた話はまさに巨悪に迫り、悪の根源と対峙する物語で非常に王道的(だけど、物語の構成が非常に上手なためどんどん先が気になる展開)だったが、Rは打って変わって「怪盗団の正義」を問う話になっている。Rの要素は、一見すると「このままじゃ世界が滅びちゃう!」みたいな派手さはないし、ややもすると「このまま敵の手に落ちた方が人々は幸せになれるのでは?」と思うような、P5の勧善懲悪から離れた物語だった。
正しさを見失うほどの強敵を前に、プレーヤーは主人公と一緒になって「怪盗団」にとっての正しさ、ひいては現実世界に生きる私たちにとっての正しさについて考えるようになる。「P5の物語における怪盗団は本当に正しかったのか?」という疑問を抱えた人たちにとって、怪盗団という危うさを孕む存在を腑に落ちる存在に再定義する物語として非常に優れていたと私は感じた。
(正直にいうと、3学期と怪盗団の正義についてはストーリーを元にもっと詳しく書きたいのだが、それは完全にストーリーのネタバレを含むためめ今回は書けない…書きたい…本当にいい物語なんだ…やって…)
そして何よりこの物語において最も魅力的なのはキャラクターたちで、主人公を始めとして敵味方協力者、全方向に非常に魅力的な人物が揃っていた。一番人気の主人公くんを冒頭では人生ハードモード君といったが、実際には顔面偏差値が85くらいあるので人生難易度は差し 引き0だ。いやちょっとプラス。そのくらいかっこいいし、喋らないタイプの主人公なのに、選択肢の一つ一つに人格を感じる。彼を取り巻く仲間たちも魅力的(そして美形)で、私は特に主人公とライバルが大好きだ。ペルソナ5で私は初めてフィギュアを購入し、気がついたら10万円くらい散財しているくらいにはツボだった。こうやって書くと、顔がいいだけでは?と思われるかもしれないけれど、どのキャラクターにも語り尽くせない魅力がある。(ただ、それら一つ一つが物語の核となるので、ネタバレになってしまうから話せない…話したい…P5Rをやって…やってくれ…)
ここからはゲームのシステム的な話を書こうと思う。ペルソナシリーズ(女神転生シリーズも含め)はコマンドバトルのシリーズだ。(と認識している。何しろ真・女神転生3とペルソナ5しかしたことのない新参者なのだ、私は)アトラスのゲームは、ストーリーもさることながらそのやりこみ要素の多さでも有名なので、P5Rも1週100時間超のプレイタイムを必要とする作品でありながら2周目要素がしっかりと入っているかなり歯ごたえのある作品となっている。(そもそも1週目要素だけでも1週目には通常回収しきれない)
具体的には隠しボスの追加(鬼強い)があって、1周目では戦えなかった相手と戦えるとか、1周目からの引き継ぎ要素を駆使して要素を回収したりして楽しめるという。あと、ハードモードがめちゃくちゃ難しいらしい。ノーマルモードでも普通にラスボスに心挫けるけど、たぶんハードモードはしっかりとペルソナを育成して戦術も考えてやらないといけないんだと思う。やったことないから知らんけど!
そういうやりこみ要素がたくさんあるので、ペルソナシリーズはやり込みゲームが好きな人からも支持が厚いという。という、らしい、思う、と歯切れの悪い言葉を並べているが、正直なところ私はゲームとしてはコマンドバトルよりもアクションのほうが好きだし、やりこみ要素はあまりやりこまないタイプなので、このあたりはそこまで私にはわからないのだ。ただいずれ2周目は回りたい。(面白いのはわかっているけれど、100時間超えストーリーは腰が重くなる、なるよね)
最後に自分と合わない点を記載したせいで、なんだか評価が低いように見えるかもしれないけど、ペルソナ5は文句無しで☆5の作品だったと私は思っている。ペルソナをプレイしていた間ずっと、仕事中に「早く帰りたくて仕方がない」とワクワクしていた。コマンドバトルは苦手と言いつつ、レベリングするために目メントスを爆走周回している間は快感が止まらなかった。物語をクリアした時には、心にぽっかり穴が空いたように寂しくなって、数日間寂しさでいっぱいになってしまった。大好きなキャラのフィギュアが初めて届いたときは、段ボールを開ける手が震えるほどドキドキしたし、目の前に質量ある存在として彼が現れた瞬間の胸の高鳴りは今でも思い出せる。額に入れて飾ってあるキャンバスアートを見たびに、何度でも胸が高鳴って好きを再確認する。
こんなに好きになれるキャラクターはそうそう居ないし、彼らと出会えたこの作品をプレイして本当によかったと思っている。もしまだプレイしていない人がいるなら、文句なしに遊んで欲しい1本だ。
⑤Play station4: Persona5 SCRAMBLE The Phantom Strikers
怪・盗・乱・舞
全世界累計セールス270万本を突破し、数多くのゲームアワードを受賞したピカレスク・ジュブナイルRPG『ペルソナ5(P5)』。TVアニメや音楽ライブ、舞台や漫画など様々なメディア展開も行われ更に拡大を続けるP5が、ファン待望のアクションRPGとなって登場!
P5のエンディングから約半年後、夏休みを利用して再び集まった心の怪盗団が、新たな事件に巻き込まれていく。P5のその後を描いた完全新作ストーリーが展開! 改心事件が日本各地で発生?歪んだ大人の認知世界、パレスが復活?怪盗団は再び怪盗服を身にまとい、異世界の謎へ挑むことに。果たして怪盗団がたどり着く真実とは……?
ペルソナチーム×ω-Forceの新たな最強タッグでお贈りする、日本各地を舞台にしたド派手で爽快なスタイリッシュアクションRPGが爆誕!
(Amazon商品紹介ページより引用)
引き続きペルソナシリーズ。通称「P5S」と呼ばれている。
実は私はこの作品を見て、P5シリーズをプレイしようと決めたのだ。というのも、先述のラスアスをプレイし終えた私は3月に発売を控えていたポケダンまでのつなぎにプレイするゲームを探していて、そこでちょうど封切りされた本作の広告からペルソナに興味をもったのだ。このゲームをプレイしようと調べたら続編物だったので、まずは本作であるP5Rをプレイをした。そしたらまさか今年一番の沼に嵌り、ポケダン発売を迎えても全くプレイできない状況になってしまった。人生、どこに沼があるかわからないものだ。
話をゲームに戻そう。本作は先ほど紹介した「P5R」ではなく、「P5」の後(つまり3学期要素や追加キャラの存在しない世界線)の後日談の物語だ。なぜかと言うと、P5RとP5Sは製作期間が重なっているため、(R発売が19年10月31日、S発売が20年2月20日)取り入れられなかったらしい。
物語の舞台はP5の世界の半年後。高校3年生になった主人公達怪盗団は、またしても異世界の事件に巻き込まれていき…というストーリー。
バトルシステムがコマンドバトルではなくコマンドアクションへと変更されている本作は、無双シリーズを手掛けるコーエーテクモゲームスのω-Forceがアトラスのペルソナチームとタッグを組んで制作している。とにかくたくさんの敵をなぎ倒すバトルは、まさに無双シリーズらしい気持ちよさがある。
しかし本作は「無双」のタイトルがついていないし、無双ファンによると「これは無双じゃない」らしい。(また「らしい」とあるが、私は後述する「ゼルダ無双」が初めての無双なのであまり無双のことはわからないのだ。たくさんの敵を倒して気持ちいい!程度の認識である)
たしかにアクションゲームでありながら、ペルソナのコマンドを選択している瞬間は時が止まるため、従来のペルソナシリーズのコマンド要素も色濃く感じる。当然ペルソナ攻撃による弱点をつくことも(特に強敵と戦う上で)重要となってくるので、実質通常攻撃がアクションになったのペルソナ5と言える。P5R のパートでも触れたように、私はコマンドゲームよりアクションゲームのほうが好き(得意とは言っていない)なので、ゲーム性としてはこっちのほうが好きだった。
他に良かった点としては、なるべく原作に寄せるため、例えば「料理」ができてルブランを離れキャンピングカーで旅行をするという体裁を取りながらも、惣次郎や主人公の料理キャラを彷彿とさせるなど、原作を意識した要素が多いのもよかった。
反対に良くなかった点としては、アイテム欄だろう。全国をめぐりながらお土産品を購入するのだが、似たような効果の名前が異なるものがたくさんある中、持ち物が一覧でしか表示できないのが非常に煩わしかった。プレイから10ヶ月立っても思い出せる煩わしさ。タブ分けとかでなんとかしてほしかったなぁ。
それから、P5で出てきたサブキャラがストーリーの都合上、一部を除きほぼ登場しないのもやはり少しさみしかった。ボリュームの都合上仕方ないんだろうが…。
ストーリー面では別会社とのコラボ作品でありながら、ペルソナ5の後日談としてRとは異なったアプローチで怪盗団の「成長」を見せてくれた正統な「続編」なのがよかった。Rが「怪盗団にとっての正義とはなにか?」ならSは「怪盗団のメンバーたちはP5の1年間を通してどのように成長したか?」を提示するストーリーだった。P5と異なり敵が「救いようのない悪役」から、「弱さを l抱えた一人の人間としての悪役」に変わり、悪役が「怪盗団が存在しなかったメンバーのIF」(これは少し語弊のある表現だが)のように描かれることで、怪盗団のメンバーそれぞれの成長が見られる点が非常によかった。
惜しむらくは、全員分の対応するキャラが居ない点。ボリューム的に仕方がないと思うけれど、しっかりと全員分のストーリーが見たかった。
それから、新規追加キャラも良かった。
Sでも当然新キャラが追加されるが、最初は「何だこいつ(ソフィーというSの新規キャラ)、かすみ(Rの追加キャラ、Sには登場しない)の代わりか?オッサン(善吉というSの追加キャラ)、丸喜先生(Rの追加キャラ、Sには登場しない)の代わりになるつもりか??やるのか??」とささくれだっていた私の心を見事に溶かし、「ソフィー…ソフィー良いやつだな…」「善吉ちゃんと帰宅しろよ…」と言った具合に見事に好きになった。
システム面の話に戻ると、戦闘面では中ボス程度でも回避行動をしっかり取らなければあっさりと死んでしまうこともあり、P5Rよりもバトル難易度は高かった。(但しP5Sは40時間くらいで1週できるのでボリュームは半分以下だ)
特に各ジェイル(という異世界)に1体はいる剛魔という強敵は、そもそも出会った段階ではまず勝てない難易度に設定されていて、数個先のダンジョンをクリアした後くらいレベルを上げたあとになんとか倒せる強さだ。私はP5Rのメメントスでは死神(メメントスというダンジョンを徘徊すやばいやつ)から神速で逃げる女だったので、当然剛魔をすべて倒すなんていうプレイはしていない。剛魔からは常に逃げていた。
やり込みとは縁の薄い女がアトラスゲーを好きになったの、ストーリーが好き以外の理由がない…ジョーカーの顔も良すぎた…結局顔かよ…顔は大事だろ…。
どこかで、「P5はアニメ本編、Rは劇場版、SはOVA」と例えていたのを見たことがあるが、まさにP5はこの3本で1つの物語だ。3本すべてプレイすることで、怪盗団という存在がようやく掴める。
理不尽な現実を、異世界の力で世直しする怪盗団。怪盗団のターゲットにされると、本人さえ認知できない心のなかで知らないうちに改心させる「洗脳」とも呼べる力をもった彼らの「正義」を一緒になって見つける物語。
どうにもならない現実を異世界の力を使って解決する彼らの物語には、しかし現実世界でしか生きられない私の理不尽をともに乗り越えてくれるアンサーがあった。
⑥Nintendo Switch: ポケモン不思議のダンジョン 救助隊DX(未クリア)
ある日突然、ポケモンになっちゃった!
2005年にニンテンドーDSとゲームボーイアドバンスで発売された『ポケモン不思議のダンジョン 青の救助隊・赤の救助隊』が1つのソフトになって、Nintendo Switchで色鮮やかによみがえります。
主人公自身がポケモンとなって物語を進めるストーリーはそのままに、グラフィックはかわいらしい絵本タッチに一新されたほか、オートいどうなど操作をアシストする機能も追加され、さらにあそびやすくなりました。
ある日突然ポケモンになってしまったあなたは、森で出会ったパートナーと一緒に、「救助隊」となって、入るたびに地形が変わる不思議のダンジョンを冒険しながら、困っているポケモンたちを助けていくことになります。
パートナーや仲間になったポケモンたちと共に救助活動をしていくうちに、あなたは自分がポケモンになってこの世界にやってきた本当の理由を知ることに。(Amazon 商品ページより引用)
私の中でペルソナに完全に飲まれてしまったゲーム。発表されたときからずっと発売を楽しみにしていたのに…。
ポケダンシリーズも、今更説明するまでもないほど人気で有名なシリーズだと思う。
ある日突然、人間からポケモンになってしまった主人公が、ポケモンだけの世界に放り込まれる。自分を助けてくれたポケモンが相棒になってポケモン救助隊を結成し、最後には世界を救う。シリーズを通して大体そういう話だ。
今作はそのなかでも屈指の人気を誇る『ポケモン不思議のダンジョン 青の救助隊・赤の救助隊』(ゲームボーイアドバンス用ソフト)のリメイク作品となっている。
私は小学生の頃、いとこからこのソフトを借りてひたすら遊び続けた。ポケダンはストーリーがいいし、レベリング大好きマンの私にレベリング要素も堪らない。時を忘れてダンジョンに潜り続ける感覚は、マイクラでブランチマイニングをするときに似ている。(ちなみに私はブランチマイニングも大好きだ)赤の救助隊からポケダンにはまった私は、その後無事「時の救助隊」「マグナゲート」もプレイすることになった。
そして今作。プレイしてみた感想としては、リメイク元とストーリー面では大きな変化は無かったように思える。
一方、システム面では結構な変更があった。まずは変更されたシステムで良かったと思った点から話そうと思う。
第一にオート移動が実装された。最初は「移動もポケダンの一つの楽しみでは?」と、あまり使用していなかったが、使い始めたらもうオート移動なしには戻れない快適さだった。(但しこのオート移動にも問題点はあるので、そこは後述する)
次に、連れ歩けるポケモンの数も大きく変わった。どこまで列が伸びるの?というくらい連れ歩ける。おかげでとあるボス戦では、主人公たちそっちのけでダンジョンで仲間になったポケモンが遠距離からボスを殴りまくり、勝利に導いてくれた。更に彼らはキャンプがなくてもダンジョンの最後までついてきてくれて、仲間にならなければ金を置いて去っていく。伝説のポケモンまで一緒に倒してくれたのに、報酬をせびるどころか自ら金を置いて去っていくのだ。なんてボランティア精神あふれる良い奴らなんだろう。ポケモンをたくさん連れ歩けると、攻撃力になるし、金策にもなるので個人的には非常に気に入っている。
グラフィックも、ドット絵から色鉛筆で書いたような温かみのある表現に置き換わった。まるでポケモンの絵本のようでほっこりとしていてとてもいい。
一方不満点では、オート移動の動きに納得がいかないという点が一番大きい。オート移動中のキャラクターは、どうも「同じ部屋の敵>目標>遭難しているポケモン>アイテム>階段」の順で目的が合うらしく、近くに目標があろうがアイテムがあろうが階段があろうが、同じ部屋に敵が発生すると戻ってでも追いかけに行くのが気に食わない。さらに戦闘はオートでは進まないため、近づいていった挙げ句動きを止める。「近くに敵がいるからオート移動できない!」と舐めた事を抜かす。お前が近寄っていったんだろう、と首根っこを掴んで問いただしたくなる。なので、AIの不審な動きを感知した瞬間に手動移動に切り替え、目標まで自らの足で歩いて向かう必要がある。子供の頃にはあんなに楽しかった移動が、今ではつまらない時間浪費行動としてしか感じろ取れないのは少しさみしい。効率化に飲まれ過ぎているのかもしれない。
他にも変更された点として、
・通常攻撃がなくなった。正直これは高難易度ダンジョンでかなり効いてくる気がする。ポケダンはいつだってPP不足・空腹との戦いなのだ。
・代わりに「プチふっかつのタネ」など「プチ」道具が追加された。原作の「ふっかつのタネ」が「プチふっかつのタネ」となり、「ふっかつのタネ』は更に効果が上がったものとなったのだ。これは素直にありがたい。まあ、結局ふっかつのタネはなかなか集まらないけど。
原作から変わった点はだいたいこんなところだろうか。
期待値MAXで発売日に購入したものの、前のゲームに押されプレイが遅くなってしまい結局ズルズル未クリアの状態でいる。現在ストーリー上では最終ダンジョンにさしかかり、あと数時間プレイすれば一応のストーリークリアになるのに、またそこで置いてしまっている。
別にこれはこのゲームが悪いわけではなく、最近リメイク前作品の実況を私が見てしまったからというのも大きい。私にとってゲームとはストーリーの体験が最も大きな魅力であり、その魅力が欠けてしまうとなかなかプレイする気持ちになれない。2回目の映画を見るのに腰が重い気持ちと似ている。もちろん、一度始めれば面白いのだけれど。
大好きだったポケダン。年内にはクリアしたいし、新作のタイトルが出たらきっと楽しみに買うんだろうな。
⑦Nintendo Switch: あつまれ どうぶつの森(未クリア)
無人島ではじまる、新生活。
現実と同じ時間が流れる世界で、自由気ままな毎日を過ごす「どうぶつの森」シリーズ。
釣りやムシとり、ガーデニングなどアウトドアな遊びから、お部屋づくり・ファッションまで様々な趣味を、1年を通してお楽しみいただけます。
(Amazon商品ページより引用)
このゲームも、もはや説明する必要もないほど有名なタイトルだろう。2020年の日本で一番売れた(少なくとも任天堂の売上に最も貢献した)ゲームはきっとこれじゃないんだろうか。大人から子供まで日本中が血眼になって買い求めたゲーム。メルカリでSwitchの価格を暴騰させ、You Tubeのゲーム実況が「あつもり」一色に染まって、現実の株価よりもカブ価が注目されるなど、日本中で一大ムーブメントを引き起こした。私は本当は購入するつもりはなかったのだが、周りの友人が全員買っているから釣られて買ってしまった。
25歳、どうぶつの森世代ど真ん中。コロナ禍の影響もあり人気の出た本作だが、もしもコロナの存在しない世界線でも私の周りでは大ヒットしていたと思う。ポケダンでもそうだったけれど、私達の世代にとってゲームやアニメとは、子供時代の特別な思い出の一つで、新作が出るとなれば大喜びで購入したくなるものなのだ。子供時代というのは、時間はあるけれどお金がない(=選択肢がない)ので、一つのゲームに没頭しやすい。やりたいゲームは高く積んであるけれど、時間がない社会人生活なんて、あの頃は考えられなかった。私は誕生日が1月なのでクリスマス・誕生日が過ぎると、1年間次のゲームソフトを買ってもらえなかった。なのでいとこたちとゲームソフトを交換しながら、数少ないゲームを味がしなくなるまでプレイしたのをよく覚えている。
この「どうぶつの森」というタイトルも、私の多くの友人にとってそういうゲームだったのだろう。子供の頃に戻ったように、多くの友人が発売日を指折り数えて待っていた。攻略掲示板が充実する前、友人たちがツイッターで情報交換をする様は、まるで小学校の休み時間にゲームの情報を話し合っていたあの時のようで、見ているだけで嬉しかった。
私はといえば、本当に数時間しかプレイせず、とりあえず移住費用を悪徳たぬきに借金返済したあたりで時が止まってしまっているため、このゲームについてなにか語る資格はないのだが、それでもこのゲームが発売されてよかったな、と思っている。コロナ禍で家にこもるしかなかった私達に楽しみを与えてくれたことはもちろん、あの頃を――逆立ちをしても戻れない子供時代を一瞬だけでも再体験できたのは、まさに僥倖としか言えない。
⑧Play station4: 十三機兵防衛圏
運命が起動する。
『オーディンスフィア』『ドラゴンズクラウン』など、個性的なファンタジー世界を生み出してきたアトラス×ヴァニラウェアのタッグがお贈りする完全新作『十三機兵防衛圏』。本作は過去~未来それぞれの時代に生きる13人の少年少女たちが「機兵」と呼ばれる巨大なロボットに乗り込み、人類の存亡をかけた最後の戦いに身を投じるSFドラマチックアドベンチャーです。キャラクター同士の会話で浮かび上がる「キーワード」を操る新感覚アドベンチャーシステム「クラウドシンク」や様々な種類の「機兵」を編成・駆使して、街を襲う巨大な敵「怪獣」と戦う爽快シミュレーションバトルなど作りこまれたゲームシステムが本作への没入感を高めます。
ゲームは「崩壊編」「追想編」「究明編」の3つのパートで進行します。「機兵」に乗り込み世界を守るバトルパートである「崩壊編」。日常に起こる事件から大いなる謎を探求していくアドベンチャーパートが「追想編」。「究明編」ではイベントアーカイブやミステリーファイルで物語の振り返りや考察が楽しめます。「追想編」で物語を味わい、「崩壊編」で戦いに身を投じ、「究明編」で物語の深層に触れる…。13人の少年少女たちが織り成す、時を超えた壮大な物語を是非お楽しみください。
(Amazon商品ページより引用)
P5Sをクリアして、ポケダンとどうぶつの森をちょこちょことプレイしているうち、ついに緊急事態宣言が発令され、もともと予定のなかった私のGWはいよいよ家から一歩も出ることができなくなってしまった。そこでよく一緒にゲームをしている友人と「同じタイミングで同じゲームをすれば感想を共有できて最高なのでは?」といっせーので始めたのがこのい「十三機兵防衛圏」だった。当時珍しく割引されていたのと、アトラスゲームが気になっていたこと、非常に評判がよかったことからこのゲームを選んだ。(ちなみに一緒にゲームをするという取り組みは案の定最高だったため、今でも定期的に同じゲームをしては感想を言い合っている)
結論からいうとこのゲームはめちゃくちゃおもしろかった。何度「どうやったらこのゲームのシナリオを作り出せるのかわからない」と話したことだろう。ありきたりすぎる言葉だけど、「謎が謎を呼ぶ展開」とはまさにこのゲームのための言葉だ。
ゲームの内容について話そうと思う。このゲームは13人の子供たち(高校生)が機兵と呼ばれる大型の機械(ガンダムみたいなやつ)を操作して、街に大勢押し寄せる敵を排除するシュミレーションバトルゲームとなっている。このゲームの珍しいところは、本編が「追想編(物語パート)」「崩壊編(ゲームパート)」「究明編(アーカイブパート)」にくっきりと別れていることだ。よくある「物語→バトル」と強制的に交互に進むゲームとは異なり、物語ばかり楽しむ事もできるし、バトルばかりをすすめることができる。下手をすると、どちらかが置いてけぼりになりかねない諸刃の剣のようなシステムだが、ある程度のところでストーリーを進めるための条件にバトルの進捗を求められ、バトルを進めるための条件としてストーリーを進めることが条件となる、というように相互を条件として区切りをつけることで、どちらもバランス良く楽しめるようになっている。
このゲームで特に面白いのは「追想編」(物語パート)で、13人の子どもたちのそれぞれの視点から成っている。それぞれ10章ずつストーリーがあり、好きなキャラクターの物語から始めることができるが、章を進めるためには他のキャラクターの物語を進行させることや崩壊編のクリアが条件となり、すべての物語を並行して進める必要がある。
ストーリーは「なぜ彼らは機兵に乗って戦っているのか」「敵の正体はなんなのか」「この街に何が起こっているのか」といった、崩壊編(バトルパート)の真相を追求する内容となっている。13人の少年少女の視点を追う事によって描かれる物語は、さっきまで操っていた人物が、別の視点からは怪しい人物として映ったり、怪しいと思った人物がパートでは別人のように年相応の恋をしていたりと、情報の繋がりが見えず混乱する。まるでパズルのピースが雑多に広げられているようで、全体図が全く見えない。
しばらくすると、物語が交差して「こういうことか!わかったぞ!」と思うが、それもつかの間、想定していた物語の枠自体を引き伸ばすような、パズルのピースをが揃ってきたと思ったら、パズルの枠自体が大きくなったような新たな展開が繰り広げられる。
あまりに緻密にはられた伏線に、だんだんと考えることを放棄してただストーリーをすすめたくなって、冗談抜きで朝から晩までゲームをプレイしていた。気がついたら部屋が真っ暗になっていた日もあったくらいだ。
崩壊編(ゲームパート)も面白かった。難易度は(ノーマルは)そこまで高くなく、適度な緊張感をもちながらゲームオーバーすること無くクリアすることができてよかった。こういうシュミレーションゲームをプレイしたことがあまりないので、その他のゲームと比べての良し悪しを語ることはできないが、小さな敵をバッタバッタとなぎ倒すのは爽快感があったし、大きな敵をなんとか倒すのは達成感がある。ただし、結構やることが置いので、プレイしている間は結構わちゃわちゃしていた記憶がある。まぁそれが楽しいゲームなんだけど。
このゲームに関しては特に悪いところが思い出せない。とにかく物語が面白くて、次から次へと謎が謎を呼ぶ展開がまるで小説を読んでいるかのような没入感のある作品だった。この冬、またどこにも行けない年末年始になる人がも多いだろうが、是非プレイしてみてほしい一本だ。
⑨Play station4: ファイナルファンタジーⅦ リメイク
ABOUT
1997年にPlayStationで発売された『FINAL FANTASY VII』の主要スタッフが手掛ける『FINAL FANTASY VII REMAKE』。 壮大な物語や魅力的なキャラクター、当時の最先端技術が駆使された映像で多くの人を魅了した不朽の名作が、時を経て「新たな物語」として生まれ変わります。
コマンドバトルと直感的アクションが融合することで戦略性は高くなり、現代のグラフィック技術によって『FINAL FANTASY VII』の世界をリアルに再現、再生しております。
(Amazon商品ページより引用)
これも今年の話題作のうちの1本だろう。FFⅦリメイク。この作品はFFファンの友人に勧められてプレイした1本だ。
実はFFシリーズをプレイするのはこれが初めてで、クラウドやセフィロスくらいは名前を聴いたことがあるが、裏を返せばそのくらいしか知らない。「ファンタジー」というくらいなのだから魔法の世界なのかと思っていたら、ミッドガルが現代的な都市であったことにまず驚いたくらいだ。
発売は延期に延期を重ね、リメイク1本目を出すのに6年かかったというから力の込めようが伺える。実際、終始街のグラフィックが美しくリアルで、「本当に力を込めて作ったんだなぁ」と非常に感心した。
ゲームシステムはコマンドアクションバトルで、先述したP5Sと近いシステムだが、こちらのほうがシステム自体の難易度が高かった。というのもP5Sではバトル中に時間を止めて好きなだけ回復アイテムを使えるので、アイテムが続く限りゲームオーバーに成ることはないが、FF7Rは強攻撃、魔法、アイテムなど、通常攻撃以外は何をするにしてもATBと呼ばれるゲージを消費する必要があり、回復薬連打や弱点技連打することができない。
コマンドを選択している最中も、P5Sでは時が止まるが、FF7Rでは時間の流れが非常にゆっくりになるだけで止まるわけではないので制限時間がある。FF7Rのほうがより緊張感のあるゲームシステムで面白かったと思う。(但し先述の通りP5Sは強敵が本当に強く、トータルの難易度としてはP5Sのほうが上なような気がする。まぁ私はP5SもFF7Rもハードモードをプレイしていないのでそのあたりを語る資格はないのだが‥)
本作ではFF7のミッドガル脱出までを描いていて、物語はここからがまだ長いらしい。リメイク2が出るのが楽しみだが、1本目を出すのに6年かかったと言うから2本目が一体いつ出るのかはいささか不安なところではある。
ちなみに私がこのゲームで一番気に入ったのは、クラウドくんがめちゃくちゃ可愛かったところだ。実家のような安心感のあるCV櫻井孝宏。私の世代の女オタクたちはだいたいCV櫻井孝宏の主人公の世話になっているので、クラウドくんのような、ちょっと生意気でやや幼い青年の主人公を櫻井さんが演じていると、それだけでキャプファイヤーを囲みながらマイムマイムを踊り喜びを表現したくなるのだ。(ならない?)
しばらく続編が出てきそうにないので、来年は原作をプレイしたいな、と思っている。
FF7はすでにSwitchで購入しているので、あとはプレイするだけの状態だ。そういう積みゲーを今年も何本も購入したし、ここに書いていないだけで、そういう積みゲーが何本もハードの中にこっそりと眠っている。
⑩Persona 5 Dancing StarNight(未クリア)
ペルソナ5、Pサウンドアクションを頂戴する!
今ホットな『ペルソナ5』初のスピンオフ作品となる今作。怪盗団の次なる舞台はスポットライトの当たるステージ! 更にパワーアップしたスタイリッシュさで華麗に舞い踊り、今宵あなたの心を頂戴します。
(Amazon商品紹介ページより引用、一部省略)
またペルソナシリーズ。これはP5のスピンオフ作品で、いわゆる音ゲーだ。発売日的が2018年5月とP5についで古く、先述したRのキャラクターもSのキャラクターも出てこない。
また、RやSと異なり、完全にストーリーから切り離されており、ほぼ物語性もないので「ファンディスク」に近い1本となっている。
そのためなのか、フルプライスのソフトでありながら価格が1620円に値崩れしている。
「収録曲数がすくなく同じ曲のリミックスが多い」「物語性がなく内容がペラペラ」「原作キャラが好きな人はいいかもしれないけど音ゲーファンとしてはフルプライスを出して買う価値はない」など結構散々な言われようをしている一本だが、まさに原作キャラが大好きな私にとってはプロがモデリングしたMMDがしこたま入ったファンディスクとして最高の1本だな!という評価だ。確かに同じ曲のリミックスが多くて収録している曲数自体は少ないが、それでも様々なステージで、それぞれのダンススタイルで踊る怪盗団のメンバーを見るのは素直に興奮したし、全員顔がいいから最初は全然音ゲーに集中できないし、なんならそれだけ見ていたいくらいMMDとしての出来が良い。
期待しないで買った割には、フルプライスのパッケージなだけあって非常に楽しめた1本だった。
本筋とは関係ところではあるが、本作は「未クリア」扱いとしている。
正直音ゲーのクリアってなんだ、とは思うが、一応のストーリー要素(というか仲間とのサブストーリーみたいなもの)を全部クリアしていないし、最高難易度に至っては1曲もクリアできていないのでとりあえず未クリア扱いとした。まぁそもそも私は音ゲーが苦手な中、最終楽曲まで開放しているから、気持ちとしては全クリアとしてもいいんだけど…。
このゲームの不満点を上げるとするなら、曲によって力を抜きすぎている点だろうか。例えばゲーム本編(P5)のエンディング曲『星と僕らと』がこのゲーム内で収録されているのだが、まさか音ゲーのプレイ画面にエンドロールが流れるとは思わなかった。更にこの曲はもともとエンドロール用のため、1曲で6分くらいかかる。バラード調のいい曲ではあるが、エンドロールを見せられながら6分間シャンシャンするのは辛いものがあるし、フルコン狙いでミスったら6分間やり直しというのも酷すぎる。背後に流れているのは黒い画面に人物名だし。
このあたりはもう少し改善してほしいところではある。そりゃフルプライスで買った人怒るよ、と少し同情してしまった。
総括としては、1620円でP5ファンが購入するなら満足できる1本だけど、音ゲーファンが買うのはおすすめできないタイトル、というところだろうか。
ちなみに最終楽曲はP5のラスボス戦で、MMDが震え上がるほどかっこよかったので、私としてはそれだけで1620円払う価値のあるゲームだった。多分これからも思い出したようにたまにプレイすると思う。
あと完全に余談だが、P5Dからはダンス衣装バージョンのジョーカーのフィギュアが出ていて、これがものすごく出来がいい。
原価15000円くらいのところ、アマゾンだと倍以上の価格になっているのであまりおすすめは出来ないが、私はジョーカーのフィギュアの中で一番出来が良いのはこのP5Dのフィギュアだと思う。(2020年12月現在)
ジョーカーは本当に人気で、他にもコトブキヤから出ている怪盗服のものや、POP UP PARADE、FIgma(怪盗服verと制服ver)、ねんどろいど、ヌードルストッパー、プライズ景品に一番くじのラストワン賞のフィギュアなどが出ているが、その中で一番私が好きなのはこのジョーカーだ。(追記すると今後も双翼社から制服姿のフィギュア(今年8月からずっと発売が延期になっている)や、Prime1 Studioから10万円のフィギュア(通称給付金カツアゲジョーカー)の発売も予定されている)
本当に顔がいいんだよな…。今のところ、このフィギュアがジョーカーの顔の良さを一番発揮している、と私は思っている。
正直、このジョーカーを生み出してくれただけでこのソフトには感謝している。アトラスの方角に向かって毎日五体投地をしよう。ジョーカーくん愛してるよ!!!11股目の彼女にして!!!
⑪Play station4: THE LAST OF US PARTⅡ
心をえぐられる凄まじい経験を経て、エリーは復讐のために再び旅立つ。 その行いがもたらす恐るべき連鎖に心と身体を揺さぶられながら――この旅を見届けろ。
謎の感染爆発によって変わり果てたアメリカを横断した危険な旅路から5年、エリーとジョエルはワイオミング州ジャクソンで暮らしていた。生き残った者たち(生存者たち)によるコミュニティーは順調に発展し、二人は安らぎと落ち着きを取り戻したかのように見えた。もちろん、さまざまな危険は存在する。感染者とそれ以外――惨めな境遇にいる他の生存者たちだ。そして、あるすさまじい出来事が平和を崩壊させたとき、エリーの無慈悲な旅が再び始まる。裁きを下し、すべてを終わらせるために。ひとり、またひとりと、標的を追い詰めてゆくエリーが見出したのは、自らの行いによって生み出された、心と身体を揺さぶる凄惨な連鎖だった。(Amazon 商品紹介ページより引用)
本家GOTY受賞作品で、今年1の問題作と呼んで差し支えはないだろう。通称ラスアス2。先述のThe Last of Usの続編だ。
主人公は前作のメインキャラクターで、前作から数年後の相変わらず人間をゾンビ化させる病の流行るアメリカを舞台に、人間もゾンビも殺戮の限りを尽くすゲームだ。
このゲームについて語るのは本当に難しい。
ゲームシステムの面では、前作からアクションパートがよりパワーアップされた。
感染者(=ゾンビ)に賢い種類が追加され、その鬱陶しさにげっそりしたり、ボス敵が強すぎて何度も死んで「一生クリアできる気がしない」と弱音を吐いたりと楽しく戦った。
戦闘の難易度は全体的に前作より上がっている。前作は最終的に火炎放射器で燃やせばなんとかなったけど、今作はそういうこともなく、常にカツカツの弓をかき集めながらリセットコンバットを何度もしてなんとかクリアした。私は状況が不利と見ると、すぐにすべてをなかったことにするタイプなのだ。
人間の敵だと、追加された犬の要素も大変だった。人間は視界に入った敵(=主人公)を攻撃してくるが、犬は敵(=プレーヤー)の通った道を匂いで嗅ぎ分けることができるため、犬のいる範囲を通過すると犬に居場所がバレてしまう。そのため、犬のいる範囲を通過する前に犬を殺すか、犬が嗅ぎつける前にそのエリアを離れる必要がある。
ステルス&キルが基本のこのゲームで、隠れても居場所を見つけてくる犬の存在は非常に厄介で、見つけるたびに殺さねば、と殺意が高まった。
ちなみに犬を殺すと飼い主の人間が騒ぐが、飼い主の人間を殺すと犬は「どうしたの?」みたいな感じで動きを止めるので、騒がれること無く殺すことができるのがよかった。最初は犬を殺すことに戸惑いがあったけれど、どんどん何も感じなくなっていった。人間は適応する生き物なのだ。
それから、今作は驚かせ要素が増えた気がする。心臓が飛び出そうに成るほどビビることはないが、急にびっくりする演出がちょこちょこはさまれ、ビビリの私はその全てに丁寧にビビった。そういう要素が含まれているとは思わず「このゲームとそういう付き合い方をしていない!」と怒ってしまった。
しかし、大体のプレーヤーはゲームのシステム面には文句はないだろう。いや、前作から時代が進歩した分だけ、本作のゲームシステムも十分に進化していて、ゲームのシステムやアクションの完成度は期待通りに面白かったと言えるだろう。
では多くのプレーヤーは何に怒っていたのか、言うまでもないがストーリーの部分だ。主人公の旅の理由は「復讐」。この主人公たちの旅は果てしなく虚しい。
ストーリーについては多くは触れない。気になる人は是非自分でプレイしてほしい。少なくともラスアス1は本当に名作だったし、1を好きな人ほど2に怒っていた。もしかしたら1を好きだったら2はやらないほうが良いのかもしれないな。
だけど、敵との戦闘は難易度が上がったけれどよりスリリングで緊張感を楽しめる戦いだし、より美しくなったグラフィックも、主人公のリアルな銃火器の改造もどれも期待通り面白くなっていたのも事実だ。
期待通りにパワーアップしたシステム面と期待を大きく裏切るストーリー、ゲームの何を重視するかは人によって様々だが、システム面が非常にいいだけにストーリー厳しさが惜しい。
それにもしストーリーもシステムも全ての評判が悪くても、とりあえず2があったらやりたくならない?私はなった。そしてエンディングに色々思った。ぜひあなたも色々思ってほしい。
⑫Play station4: Ghost of Tsushima
武士の道から外れ、邪道に落ちた兵「冥人(くろうど)」となれ
文永(十三世紀後半)、モンゴル帝国(大元)は東方世界の征服をもくろみ、立ちふさがるすべての国を蹂躙していた。
東の果て、日本に侵攻すべく編成された元軍の大船団を率いるのは、冷酷にして狡猾な智将、コトゥン・ハーン。ハーンは、侵攻の足掛かりとして対馬に上陸する。これを防ぐべく集結した対馬の武士団は、初めて見る元軍の兵略によって初戦で壊滅。島はたちまち侵略の炎に包まれる。
だが、かろうじて生き延びた一人の武士がいた。
境井 仁(さかい じん)。
仁は、境井家の最後の生き残りとして、たとえ侍の道に反した戦い方に手を染めることになっても対馬の民を守ろうと決意する。冥府から蘇った者「冥人(くろうど)」として、あらゆる手段を使って故郷を敵の手から取り戻すのだ。
(Amazon 商品紹介ページより引用)
今年のGOTYのPlayer's voice(一般投票による選ばれるGOTY)に選ばれたのが本作、「Ghost of Tsushima」だ。
発売直後から評判が非常に良く、正直に言えば私は本作がGOTYを受賞すると思っていたし、そう思っていた人も多いと思う。私はこの作品が大好きだし、今プレイするゲームを悩んでいる人がいるなら迷わず勧めたい一本だ。
このゲームについて説明しようと思う。
本作はオープンワールドを採用したアクションアドベンチャーゲームで、元寇(文永の役)を題材にしている。
本作と日本史に明るくない人のために(つまり本作をプレイする前の私のような人)、まずこの「文永の役」と対馬の関係について先程私がウィキペディアで知ったことを説明しようと思う。そもそも元寇(モンゴル帝国による日本侵攻)は2回あり、本作では1回目の元寇である「文永の役」を描いている。時は1274年、鎌倉時代後半、モンゴル帝国は朝鮮半島の現在で言う馬山という場所から日本侵略を開始する。
地図を見てもらえばわかるが、馬山から一番近い日本領土が対馬だった。
おそらくこのため、蒙古軍は最初に対馬の小茂田浜に襲来した。これが、元寇の始まりだった。
蒙古軍は小茂田浜の戦いで対馬の武士団を壊滅させると、島民を捕虜にして奴隷としてモンゴルに連れ去ったり、虐殺していたようだ。そして、この史実から着想を得て作られたのが、本作「Ghost of Tsushima」である。
対馬と元寇の繋がりを説明したところで、このゲームの物語のあらすじについて紹介しようと思う。この物語の主人公、境井 仁は、対馬の武士の家の出身で、幼い頃に両親を亡くしている。しかし、叔父であり地頭である志村に我が子同然に育てられ、ゆくゆくは志村の跡を継いで対馬の地頭となることを期待されていた。
物語は、先述した「小茂田浜の戦い」から始まる。仁は蒙古が小茂田浜に襲来した際にも武士として戦に参加したが、戦場で深手を負い意識を失ってしまう。
絶体絶命の仁だっだが、女盗賊のゆなの助けにより一命を取り留める。ゆなの治療により目を覚ました仁は、地頭であり父のように慕っていた叔父(志村)が蒙古に捉えられたこと、またの対馬の惨状を知り、叔父、そして対馬を蒙古から奪還することを決意する。これが「Ghost of Tsushima」のあらすじだ。
次にゲームのアクション面について説明しようと思う。あらすじからも分かるように、このゲームは基本的に敵である蒙古兵と戦い、島の領土を奪還するのが目的だ。
このゲームはプレイスタイルが豊富なことでも話題となった。一騎打ちで敵を討ち取ることもできれば、草葉の影に隠れて敵を暗殺することもできるし、蒙古の道具を使って敵を爆殺するなど卑怯で武士らしくない(=誉ない)戦い方をすることもできる。そしてこのプレイスタイルの自由度の高さは、システムだけでなく、そのままこのゲームの物語にも関わってくる。
主人公の仁を育てた志村は誉を何よりも重要視する生粋の武士で、仁もその影響を強く受け誉あることを大切にしていた。しかし蒙古兵(特に敵の大将のコトゥン・ハーン)は武士の誉を重視する姿勢を利用し、卑怯で残虐な手段を使って対馬を制圧した。(対馬の民に対する残虐な仕打ちも、恐怖で対馬を支配するという目的で行われていた)
このように蒙古軍は残忍で計算高く、また当時の日本にはない最新武器も持っていたため、誉を重んじる武士の戦い方では破ることのできない敵だった。
加えて、対馬では仁以外の武士が全滅してしまったため、仁は武士として1人で島民を守らなければならなかった。
亡き父親同様「島民を守る」ことに重きを置く仁は不本意ながらも誉を捨て、蒙古同様の卑怯な戦い方に手を染めて行かざるを得ず、次第に「冥人」(冥府より蘇りし伝説の武人という意味で、Ghostを日本語にローカライズしたもの)として武士とは信念の異なる道を歩み出すこととなる。
これが、正々堂々としたプレイスタイルから卑怯な手段まで選べる多彩なアクションの裏側だ。そして、このストーリーを通して仁とプレーヤーは、終始正しい武士としてのあり方と目の前の現実との間で葛藤に苛まれる。
例えば、捕虜の奪還が目的のシーンでは、どんなにプレーヤーが正々堂々とした誉高い手段を取ろうとしても、敵に主人公が見つかった時点で捕虜が殺されゲームオーバーとなってしまう。また、捕虜のいない敵陣であっても、敵に見つかると拠点中の敵が押し寄せてきて人数不利で負けてしまうこともある。圧倒的に不利な状況と村民の命を誉との天秤にかけた時、島を奪還する為にどちらを重視すればいいかは考えるまでもないだろう。
このように、このゲームではさまざまな要素がが物語の一部として取り込まれていて、全ての要素が余すことなく物語のクライマックスの納得感へとつながっている。
そんな仁と蒙古たちの戦いを描く舞台は、大自然に恵まれた美しい対馬全土だ。このゲームのフィールドはオープンワールドの形式を取っているため、プレーヤーはいつでも、どこまでも対馬の島を探索することができる。
本作を手掛けたSucker Punchは、前作『inFAMOUS Second Son』でもオープンワールドを採用するなど、オープンワールドのゲーム制作を得意とする会社だ。
その制作陣の手掛けた本作のフィールドは、特徴的に自然が美しかった。
もちろん、島は残虐な蒙古兵に支配されているため、焼かれた村や死体が辺り一体に放置されている凄惨な場所も数多く存在する。
しかし、一度人間の土地を離れると、次第に蒙古兵の手すら及ばぬ原生の自然が姿を表す。
タイトルシーンを彩るススキ野から始まり、黄金の銀杏降る寺社、断崖絶壁の切り立った岩肌に建つ神社から見える海原、夕日に映える一面の彼岸花、凍てつく静けさを湛える銀世界、などなど。このゲームの対馬はまるで四季を閉じ込めたようで、島のあちらこちらで驚くほど多様な自然の風景に出会うことができる。
マップ上にはサブストーリーをはじめとした数多くのオブジェクトが配置されているため、プレーヤーは目的地に誘われる間にふと美しい景色に出会う。得てしてそういう景色は、対馬で起こっている惨状など無かったかのように穏やかで美しい。
そういえば、このゲーム中で美しい景色に出会った瞬間の喜びは、旅に出た際ふと忘れ難い景色と出会った時の高揚とよく似ている。
決められたルートのないオープンワールドのゲームは、寄り道こそが醍醐味だ。それはまるで、詳細を決めずに、バックパックひとつで飛び出してきた旅のようにも感じられる。
私は、本作以外には『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』『DEATH STRANDING』『INFAMOUS Second Son』くらいしかオープンワールドのゲームをプレイしたことはない。しかし、すくなくともこの4作の中でずば抜けて景色に目を惹かれたのは本作だった。境井 仁という人物の目を通して、まるでプレーヤーは対馬を旅しているかのような気分になる。
本作のマップ上のオブジェクトの中には、『和歌』という要素がある。
和歌は、マップ上の特に景色が美しい場所に用意されているほか、物語の要所要所でも詠むこととなる。
和歌は選択式で、一つの歌を初句+二句・三句+四句・結句の3パートに分けて、それぞれ3つの選択肢からテーマにあった言葉をプレーヤーが選択することで、歌が完成する。正解はなく、どれを選んでも意味が通るようにできていて報酬にも変化はないので、プレーヤーは思い思いの歌を詠むことができる。
このように、和歌の要素は自由度が高い一方、本格的な和歌を読むので、真面目にプレイすればするほど、テーマに沿った言葉を慎重に選ぶことになる。
得てして、美しい風景に出会うと人は何かを深く考える。大切な人のことだったり、悩み事だったり、懐かしい思い出だったり、哲学的なことであったり。美しい風景は、見た人にとって心動かされる何かを引き出す能力を持っている。
本作では、和歌を詠む仁の思考を通して対馬の風景を見ることによって、より自然と仁に感情移入できる。
このように、美しいフィールドを通じてもプレーヤーはゲームの世界により没入することができるため、アクションの面で述べたのと同様にエンディングの納得感が高まるのだ。
エンディングの納得感、という言葉を私は2度繰り返しているが、この納得感こそ『Ghost of Tsushima 』を名作にしたと私は思っている。
反対に、The Last of Us Part2にモヤモヤしたのは、エンディングの納得感のなさが原因だとも思う。
二つのゲームは、決して大団円のハッピーエンドで終わる物語ではない。それでも、その結末を受け入れられる物語と、受け入れられない物語の違いは一体なんだろう。
主人公への感情移入、ストーリーへの納得感だと私は思う。
どちらのストーリーもプレーヤーの感情を強く動かされる物語だし、エンディングも主人公やプレーヤーの望んだ通りにはならない。しかし、Ghost of Tsushimaでは、そこに至るまでの主人公の感情の動きを、どこまでも丁寧に追体験することができるので、主人公の行動にも結末にも納得がいくのだ。
反対にThe Last of Us Part2では、主人公をプレーヤーが操っているはずなのに、まるでゲームの主人公に選択権を奪われているような感情を覚える。この先に進みたく無い、と思いながらも進まざるを得ない瞬間が何度もあり、主人公に寄り添う、というよりは物語にどんどん巻き込まれていくような感覚があった。もしかしたら、ラスアス2の制作陣は主人公に共感させないことを狙って制作していたのかもしれない、と思うほどだ。
2つの作品を対比するなら、Ghost of Tsushimaは「丁寧」で、The Last of Us Part2は「強引」だろうか。
Ghost of Tsushima の丁寧さは大衆的で、Last of Us Part2の強引さは文学的だったと言い換えると、通向けのラスアス2がGOTYに選ばれた、という嫌味な言い方もできるが、そういう比較ではなく、単純に最後まで寄り添うことのできる仁の物語が私的には大賞だったし、そう思うプレーヤーが多いからこそ、Player’s voiceを受賞することができたのだと思う。
全ての作品に対して「オススメ」「プレイしてほしい」と言っている気がするが、1作品だけ挙げろ、と言われたら私はこの作品を迷わず勧めたい。
どこにも行けない日々が続くけれど、家に居ても私たちはいつだって旅に出られる時代になったのだ。
対馬に行こう。心揺さぶられる景色が、そこであなたを待っている。
⑫−2 Play station4: Ghost of Tsushima 冥人奇譚
いい感じでツシマを締めた後にまた同じゲームの話をするのはなんとなく憚られるが、なんとこのGhost of Tsushimaにはマルチモードが存在する。
冥人奇譚と名付けられたマルチモードは、本編とは全く別で用意されている。
設定としては「行善という語り部の話す(=脚色した)、蒙古兵から対馬を守った冥人の活躍(本編の内容)の話」となっている。
冥人奇譚では、「武士、弓取、牢人、刺客」の4人の伝説の冥人の中から1人を選択して戦う。境井仁が人並み外れて強かったせいか、冥人奇譚では複数人の冥人が活躍する代わりに、冥人自体の強さは境井仁より弱く設定されている。
冥人奇譚では、2つのモードがある。2人1組の「奇譚」モードと4人1組の「九死」モードだ。
奇譚はその名の通りストーリーモードで、本編とは異なる冥人と蒙古兵の戦いを楽しむことができる。
「九死」は、Splatoon2でいうところの「サーモンラン」的なゲームで、所定回数押し寄せる敵襲を退けるのが目的だ。
難易度は赤銅(easy)、白銀(Normal)、黄金(Hard)、百鬼(Very Hard)の4種類ある。伝承では難易度によって敵の強さと種類が変わり、九死では敵の強さと敵襲回数が変化する。
ちなみに冥人奇譚は全体的に1プレイごとのゲーム時間が長く、例えば黄金の九死では1回で25回の敵襲があるため、1プレイで45分程度かかる。めっちゃ長い。
マルチモードでは、4人の冥人のレベル上げと装備の習得によってキャラクターを強化する。当然キャラクターの強化にも、装備品の習得にも「伝承」か「九死」のプレイが必要になり、難易度が高ければ高いほど良い装備品が手に入るため、45分かかるとわかっていても私は黄金九死に出かけるのだった。
なお、冥人奇譚は行善が伝承(=脚色)している物語で、本編とは全く異なる世界観のため、敵の蒙古兵の中に「鬼」「天狗」「魂の繋がった双子」「死霊兵」など突然の妖要素が出てくる。
鬼はやたら硬いし、天狗は謎のホーミングビームを撃ってくるし、双子はタイミングを合わせて両方倒さないと片方が復活してくるせいでものすごく鬱陶しい(上に、ただの蒙古兵ではなく鬼の魂が繋がっていることさえある)し、死霊兵に至っては雷など特殊な条件下にないと見えないので気がついたら敵に囲まれていたりと、もうめちゃくちゃ敵が強い。難易度があがるたびに必ず「クリアできる気がしない」と弱音を吐くことになる。
しかし、このゲームのうまいところがバランス調整で、なんとか奇譚をクリアしていくうちに装備が揃い、これ以上できる気がしないと思っていた難易度も気がつくとゲームオーバー無しでクリアできるようになっているのだ。そしてこのクリアできるギリギリの難易度が気持ちよくて、気がつくとこのゲームの虜になっている。
『Ghost of Tsushima』は本編だけで十分フルプライスの価値のあるゲームなのに、無料の追加コンテンツでここまで面白いマルチ要素を大判振る舞いして大丈夫なのかと不安になる。
マルチ要素もとにかく面白くて、一粒で二度美味しいゲームなので是非プレイして欲しいと心から思う。Ghost of Tsushimaは面白いぞ!!
⑬Play station4: inFAMOUS Second Son(未クリア)
人知を超えた超能力を持つ超人たちが広大なオープンワールドで縦横無尽に駆け回る『inFAMOUS』シリーズ最新作がPlayStation 4に登場! !
PS4だからこそ可能になった超ド派手な演出の数々。縦横無尽に暴れまわれ!
今作の主人公「デルシン」は、物語が進む中で様々な超能力を覚えていく。
前作の主人公は「雷」の超能力のみ使えたが、デルシンは「スモーク (煙) 」や「ネオン」といった新たな超能力を使うことができる。この新たな超能力を駆使することでバラエティに富んだアクションが可能となった。
シリーズで好評を博したカルマシステムももちろん健在! 正義の味方となり市民を助けるか、悪魔の化身となり悪行の限りを尽くすか。
デルシンの未来はユーザー次第! 選択によっては物語の結末が変化することも! ?
(Amazon 商品紹介ページより引用)
前作、Ghost of Tsushimaが本当に面白かった、と興奮気味に洋ゲー好きの友人に伝えたところ教えてもらったのが、本作『inFAMOUS Second Son』だ。制作がGhost of Tsushima と同じSucker Punchで、オープンワールドを舞台としたアクションゲームということで始めた。
本作を語るにあたり、まずはあらすじについて説明しようと思う。
舞台は『コンジット』と呼ばれる超能力者たちが突如現れた現代アメリカ。民衆は彼らを社会を脅かす脅威として捉え、コンジットはコンジットであるというだけで国の施設に収監、監禁されることとなった。
主人公のデルシン・ロウは24歳になっても悪ガキと言われるお調子者の青年。(作中で詳しく触れられることはないがおそらく無職)
アーミッシュと呼ばれる部族出身で、田舎の村で兄と一緒に暮らしていたが、ある日施設に移送される最中のコンジットと接触しそのコンジットと同じ能力を得てしまう。
コンジットの力に目覚めてしまったデルシンを当局(D.P.Uと呼ばれている)は怪しむが、部族の仲間がデルシンを庇い難を逃れる。
一方でデルシンを庇った部族の仲間は、D.P.Uの最高責任者であり自身もコンクリートの能力を持つコンジットであるオーグスティンの能力によって拷問を受け、コンクリートの能力を持つ者によってしか取り除けない傷をつけられてしまう。
デルシンは、自身のもつ「触れたコンジットの能力をコピーする力」でオーグスティンからコンクリートの力を奪い部族の仲間を救うため、D.P.Uの本拠地のあるシアトルへと向かい、戦いへと身を投じていく……。
以上があらすじだ。一見すると王道のヒーローもののストーリーである。しかし、じつはルートが2つに分かれていて、「善(Hero)」ルートと、「悪(inFAMOUS)」ルートからプレイヤーは好きなルートを選ぶことができる。
また、ルートによって獲得できるスキルも異なる。たとえば同じネオンの力でも善ルートではネオンの力を手足に当てて拘束するのが主な戦い方となるが、悪ルートだと頭に当てて殺すのが主な戦い方となる。
更に、主人公の町中での取るべきアクションもルートによって異なる。このゲームには必殺技があり、必殺技はカルマと呼ばれる行動のコンボによって溜まる。このゲームでは街角でD.P.Uに見つかると戦闘が始まるため、市民が戦闘に巻き込まれることがあり、デルシンのに攻撃よっては市民を危険に巻き込んでしまうことがあり、善ルートでは市民を傷つけたり死亡させてしまうとそのカルマのコンボが切れてしまう。また、戦闘によって傷ついた市民を助けると善のカルマが貯まるため、善のルートではなるべく市民を巻き込まないよう、また傷ついた市民は積極的に助けるなど、細かな配慮を要求される。
一方の悪ルートでは、市民を巻き込んでも死亡させても問題がない。傷ついている市民がいれば蹴り飛ばして息の根を止めるとカルマが貯まるほどだ。コンジットの反対運動をしている市民がいれば襲撃して皆殺し、町中のストリートミュージシャンを撃破すればトロフィー獲得と殺せば殺すほど良いことが起こる。
私は善ルート→悪ルートの順番で周回しているため、最初の選択肢で悪ルートを選んだ時や、初めて傷ついた市民を蹴り飛ばして息の根を止めた時には流石に罪悪感に胸が痛んだ。
痛んだが、一度やってしまえばあとは何度やっても同じだ。命乞いをするD.P.Uの兵士はもちろん、調査パートの邪魔になる警察官たち、街角でコンジット反対集会を開く市民も残さず殺して周り、少しでもデルシンに文句を言う市民がいれば、周囲にいた市民も含めて全員の息の根を止めて回った。
2周目の途中でゲームが止まってしまっているため「未クリア」扱いとしているが、ストーリー中盤にして何十、いや何百人殺したかもうわからない。
善ルート・悪ルート共通して警察官の兄が旅のサポートをしてくれるが、兄は悠長に弟に問題解決を図らせず、警察官として即刻射殺した方がいいと思う。
凶悪テロリストも真っ青の無差別大虐殺具合だ。D.P.Uの行っていることの正しさがどんどん証明されていく。
それでも私は市民を虐殺する手が止められなかった。倫理的に間違っていることほど楽しいことはない。
そしてそんな攻撃の楽しさを彩るのが、多彩なアクション要素だろう。
殺戮の楽しさにうっかり熱が入り、危うくシステム面の話をする前に紹介が終わるところだったが、ここからは本作のシステム面について話そうと思う。
本作は冒頭でも触れた通りオープンワールドの形式をとっている。アメリカのシアトルを舞台としていて、Ghost of Tsushimaとは対照的に現代的なビル群が続いている。ビル群ということで高低差の大きいフィールドとなっている本作だが、主人公の移動を支えるのが彼のもつコンジットの能力たちだ。
あらすじでも説明した通り、デルシンは「他のコンジットに触れることでその能力をコピーする」能力があるため、複数の能力を使い分けることができる。
煙やネオン、テレビの力といった彼の能力は、それぞれ移動スタイルや攻撃方法が全く異なる。たとえばビルを駆け上がる際、煙の力なら排気ダクトを通り抜けて一瞬で移動できるし、ネオンの力なら雷がビル面を流れるように垂直にビルを走って登ることができる。
ビルとビルの間を移動する際も、地形に沿って高速で駆け抜けるネオンの力と、アンテナから射出される電波にように飛行するテレビの力では全く異なる操作感を味わうことができる。
能力によって操作感が大きく異なってくるので、オープンワールドの中ではフィールドが比較的狭いゲームだったが十分に楽しむことができた。
また、ストーリーのボリュームやマップのオブジェクト量もあっさりとしたボリュームのため、誰でも簡単にマップコンプリートや2周目を楽しむことができる。いや、善・悪ルートで途中のシナリオが全く異なるため、2周を前提としてあえて短いシナリオとしているのかもしれない。
超大作と呼ばれるゲームと比較すると、わりとあっさりとしたゲームだったという印象があるが、その点について私は特に不満はなかった。むしろ、ペルソナの1周最低100時間とかの方が異常だと思う。面白いけどね。
但し、ストーリーに特に深く感情を動かされたりもしなかったので、Ghost of Tsusimaのような心を打たれるストーリーを期待している人にはお勧めできない。
より現代的なフィールドを、多彩な能力で暴れ回るアクションをプレイしたいというならば、きっと楽しい1本になると思う。
(補足)本作はinFAMOUSシリーズの3作目に位置しているものの、1作目2作目とは主人公が異なり、またストーリーも続いていないため、前作をプレイしていなくても十分に楽しむことができる。一部前作要素があるらしいので、前作をプレイしていればさらに楽しめるようではあるが、本作からプレイしても全く支障はない。
⑭Nintendo Switch: ゼルダ無双 厄災の黙示録
知られざる100年前の戦場へ――
任天堂株式会社より発売中の『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』の世界観を継承した作品。「ブレス オブ ザ ワイルド」では過去として描かれた大厄災にフォーカス。
100年前何が起きていたのか、どんな戦いがあったのか。「無双」シリーズならではのアクションとともに、ドラマティックなストーリーが描かれる。
「リンク」以外のさまざまなキャラクターたちも操作可能。シリーズの主人公であるリンクはもちろん、在りし日の英傑たちや、ゼルダまでをも操作して戦うことができる。
(Amazon 商品ページより引用)
本作は、コーエーテクモゲームスから発売されている無双シリーズの作品でNintendo Switchのソフトである『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』(以下BotW)の前日譚である。
本作について説明する前に、前作のBotWについて軽く説明しようと思う。
駆ける、活きる、護る。果てなき冒険を思いのままに。
ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド
大厄災と呼ばれる災害が起こり、ハイラル王国は滅亡した……。それから100年後。主人公リンクは地下遺跡で永い眠りから目覚め、不思議な声に導かれて大地へと踏み出す。
(Amazon 商品ページより引用)
引用にもあるように、BotWでは大厄災復活から100年後の物語を描いている。
BotWはNintendo Switchのローンチタイトルでありながら、その高い完成度に国内外を問わず多くのファンを持つ作品だ。
完成度の高いオープンワールドの世界に、時間を忘れて冒険し続けた人も少なくないだろう。
そんな人気作品の前日譚ということで、発売前から人気の集まっていた本作だったが、期待を裏切らないワクワクする王道的なゲームだったと私は思う。
まず、BotWとの違いについて簡単に触れようと思う。ジャンル面ではBotWはアクションアドベンチャー、ゼルダ無双はアクションゲームとアクションゲームであることに変わりはないが、「アドベンチャー要素」がゼルダ無双ではなくなっている。というのも、無双シリーズはクエストを選んで進めていくタイプで、オープンワールドの形式をとっていたBotWのようにマップを探索する要素がなくなっているのだ。
(ただし、ゼルダ無双のゲームフィールドに宝箱が埋まっていたり、コログと呼ばれるちょっとした隠し要素があったりと、フィールド内でBotWのアドベンチャー要素を楽しむことができる)
オープンワールドのアドベンチャー要素を失ってはいるものの、この辺りは無双化ということでプレイヤーもわかっていた部分だと思うのでマイナスポイントではない。(というか、オープンワールドで無双のように多数の敵を配置したら多分Switchの処理が追いつかない)
一方、追加された要素はプレイアブルキャラクターの追加だ。BotWでは、主人公のリンクしか操作できないが、ゼルダ無双ではリンクに加え、英傑たちやインパといったBotWでお馴染みのキャラクターを自分の手で操作することができる。プレイアブルキャラクターの数は予想よりもかなり多くて正直驚いた。「お前が操作できるんか〜い!」みたいなキャラクターも結構いて、キャラクター追加が多いのはかなり嬉しかった。
加えてシステム面で良かった点としてはリンクの動きがかなり原作に忠実だったことだろう。同じアクションゲームではあるが、システムが異なれば操作感はかなり異なるものになるのは良くある。
しかし、この作品のリンクの動きは原作とよく似ていて、原作に寄せようとしている努力を感じ取れた点が好感度が高かった。
P5Sの時でもそうだが、ω-Forceから出す続編は、ストーリー面でもシステム面でも、原作との融合がかなりうまい。大量の敵が出てくる、といった無双シリーズの色を出しながら、操るキャラクターの操作感はしっかりと原作に寄せている。この辺りは、さすが他ゲームとのコラボの歴史実績が多いチームだな、と実力を感じる。
また、期待を裏切らない真っ直ぐなストーリーも良かった。
途中までは何が起こるかわからない展開にワクワクさせられたが、終わってみるとかなりまっすぐで、もう一捻りくらいあってもいいかなぁ、とも思った。
しかし、他社が作品を作る上で、変なひねりを入れたりせず、ファンの期待する「BotW像」をまっすぐ描いてくれたことには感謝している。何かを狙って妙な展開になるよりも、その作品にとって真っ直ぐ王道に面白いということは、多少のストーリーの物足りなさよりも大切だと私は思う。
それに、無双シリーズは、サブクエスト等をこなさずに真っ直ぐにストーリーのみを進めると20時間程度でクリアできる「あっさり系」のタイトルが多いシリーズだ。私はサブクエストをほぼ全てクリアしてからメインクエストを進めたいタイプなので、クリアには65時間程度かかったが、BotWは125時間遊んでいるので半分の時間でシナリオクリアできるゼルダ無双はやはりややあっさりと言って差し支えはないだろう。(但しクリア後の要素がまだまだ残っているので、やり込み要素はしっかりとある)
シナリオがあっさりとしていた点については、私としてはそこまで不満はないが、それよりも気になったのがカメラワークの悪さだ。
本作では、戦闘中に相手をロックすることができるのだが、ロック中にステージの端に寄ってしまうとプレイしているキャラクターがどこにいるのか、またどのような状態か(攻撃できる状態なのか、敵にダメージをくらって倒れているのか、など)が見えなくなってしまうため、非常に戦闘がし辛くなってしまう。
やや狭いステージが多いことも相まって、強敵と戦う際にそこそこの割合でこの状態が発生してしまうため、ストレスが溜まりやすい点が非常に気になった。
また、これはゲームが下手な私の言いがかりかもしれないが、キャラクターの数が多過ぎるため、キャラクターの個性が尖りすぎて使いづらいキャラクターが多かったのも惜しかった。
特に、本編とはあまり関係しないキャラクターたちはプレイスタイルの癖がすごく、かつ育てなくても本編をクリアできてしまうため、育成が後回しになり、レベル差が開き、さらに使えなくなる、という負のループに陥っていた。
そういった問題を解決するため、本作はお金でキャラクターのレベルを上げられる施設があり、レベリングなしで使いたいキャラクターをお金で育てることができるのだが、貰えるお金に対して使うお金が多過ぎる(武器の強化やその他のキャラクター強化にもお金を使うた)ため、使わないキャラクターに回すお金がなくて、結局使うキャラクターと使わないキャラクターの差が開いていってしまった。
キャラクターの種類の多い本作においては、お金でレベルを上げられるのは非常にいいシステムだと思うので、もう少しお金が入手しやすくなるとよかったと思う。
総括すると、BotWの前日譚として、惜しいところはありながらも、システム・ストーリーともに原作へのリスペクトに溢れる良い無双作品だった、となる。
結構長めに悪い点を書いてしまったが、私はこの作品の終わり方が好きだ。BotWが好きな人はぜひ手にとってほしいし、 BotWをプレイしたことがない人はぜひBotWからプレイしてほしい。
ハイラル王国はいつだって、私たちの冒険を待っている。
⑮Nintendo Switch :グノーシア(未クリア)
グノーシアは嘘をつく。人間のふりをして近づき、だまし、人間達を消し去っていく――
漂流する宇宙船内にて、人間を襲う未知の敵「グノーシア」に直面した乗員達は、誰が敵なのか分からない状況でこの危機を収束させるために、一つの解決策を試みる。 最も疑わしい人物から一人ずつコールドスリープさせ、船内に紛れ込んだ全てのグノーシアを活動停止させるのだ。
しかし、その人物が本当にグノーシアだったのか、あるいはスケープゴートにされた哀れな人間だったのか、知ることは難しい。最後に笑うのは人間なのか、それとも――?
(Amazon 商品紹介ページより引用)
今年最後にプレイした(している)のが、本作『グノーシア』だ。
Switchのゲーム紹介画面によると、ジャンルとしては『テキストアドベンチャー』らしい。宇宙船を舞台にした1人用人狼という、文字だけの説明では少しわかりづらいゲームになっている。
元々はPlay station VITA向けのソフトとして2019年にインディーズゲームとして発売された本作だが、SwitchDL版が4月に発売され、先日その人気からついにパッケージ版が発売されるに至った。
私はといえば、ダ・ヴィンチ・恐山さんのウロマガで「プレイした、面白かった」(意訳)という記事を読んで以来、気になってはいたものの手を出せずにいたタイトルだった。プレイしようと思ったきっかけは、ゲーム実況者のレトルトさんの実況をみて、これは面白そうだと思ったからだ。
ゲームの内容について説明しようと思う。あらすじにもあった通り、ゲームの舞台は「宇宙船」。宇宙船が転移するごとに1人ずつ人間を襲う「グノーシア」といいう敵の活動を停止するべく、乗員たちは話し合いによって、乗員を1人ずつコールドスリープさせてゆく。プレイヤーは人間、時にはグノーシアとして話し合いに参加し、最後まで生き残ることを目指すーーまさにSF人狼という言葉がぴったりのゲームシステムとなっている。
そしてこのゲームのもう一つの特徴は「ループ」。人狼ゲームが終わるごとに物語は巻き戻され、グノーシアが船内で発見された「1日目」の状態に戻る。ループによって宇宙船に乗っている人数やメンバー、グノーシアの数、役職の数は異なり、毎回異なる状況で話し合いは進む。ループの記憶がある、ということを除いては主人公特権はこれといってなく、話し合いの結果コールドスリープされたりグノーシアに襲われ消滅することもある。1周が長くても15分程度で、短いと2.3分で終わってしまうので1つのゲームはサクサクと進められる。
話し合いはループしても基本的に要素が変更されるのみであるが、条件を満たすと「イベント」が発生することがある。イベントはループ回数に依ることもあれば、特定の状態でゲームを開始することによって発生することもある。そしてこの「イベント」をクリアすることによって登場人物のバックグラウンドや特殊なエンディング、そして「グノーシアとは何者なのか」「なぜ物語がループしているのか」といった物語の核心に迫ることができる。
このように、このゲームは人狼を繰り返しながら、ループの中でシナリオを進めていくタイプのゲームなので、勝ちやすい条件で遊び続けたり、苦手な役職を続けても物語を進めることができない。
さらに、「プレイヤーと〇〇が生存している状況でクリアする」などといった条件付きのクリアをすることで特殊なエンディングが見られるという要素もあるので、物語を進める難易度は決して低くない。
一方、イベントを発生させるための条件は同一であるため、多くのイベントは再現性が高く、イベントに挑戦する難易度は自体は低く設定されている。これにより、難しいクエストに何度もトライアンドエラーしながらクリアする、という快感を得やすいゲームとなっている。また、失敗を繰り返しても経験値が溜まっていくので、段々と状況も有利になっていくのもありがたい。
1プレイが短くサクサクと進めることができ、続きの気になるシナリオも相まって気がついたら2、30ループしていることもある。ゲームシステム自体に中毒性があるが、ループを進めれば進めるほど、立ち回り方がわかっていき、主人公のレベルも上がっていくためどんどん思うように話し合いを回すことができるようになっていくというのもこのゲームの魅力だろう。
対人間の人狼よりも簡単に思惑通りに進めることができるので、誰にでも人狼の「気持ちよさ」をより手軽に味わうことができるのが本作のいいところだ。
但し、このゲームの唯一の欠点は序盤の難しさだ。
序盤は、ステータスが低く立ち回り方もわかっていないため、誰がグノーシアか全くわからず、気がついたらなぜか乗員たちに嫌われコールドスリープされているといったことが良くある。
慣れてくると、最初はステータスが低いため、発言をしても誰も聞いてくれない上に、発言をすると目立ち好感度のステータスも低いためすぐに投票の標的にされてしまう、ということがわかってくるのだが、最初は闇雲に行動した結果訳もわからないうちにゲームオーバーとなっていることが多い。
仮に役職持ちだといっても対立候補のグノーシアにあっさりと負けてしまうし、正直序盤はどうしたら良いかわからずつまらないと感じてしまった。
私は勘が鈍いこともあり、50ループくらい回してようやく自分のやりたいことができてくるようになってきてこのゲームの面白さがわかってきた。さらにその辺りからイベントをクリアできるようになってきて、このゲームのシナリオの面白さにも目覚めてきた。序盤の難しさを乗り越えれば、気がついたら何周もループを回してしまう。まさにスルメのようなゲームだ。
現在私は80ループ目に突入し、キャラクターによっては全ての情報を解禁した人が出てきたところだ。何故ループが起こるのかについては未だ解明することができていないので、早くこれを書き終わらせて早く続きをプレイしたいとうずうずしている。
本作はインディーズゲーム出身のため、今まで紹介してきた大手のゲーム会社の作るゲームのように、映画と見紛うほどの美麗なグラフィックやどこまでも走っていけるような広大なマップはない。
しかし、緻密に調整されたゲームバランスや、CPUと対戦する人狼をこんなにも面白いものとしたルール設計、人狼というゲームゆえに魅力的な二面性のあるキャラクター、そして同じルールのゲームを何度も何度も繰り返したくなるストーリー構成など、本当に秀逸な要素の多いゲームだった。今までアクションゲームをメインで紹介してきたが、じっくりゆっくり頭を使ってプレイするゲームが好きだという人はぜひプレイしてみてほしい。もちろん私のようにあまり頭を使うのが得意ではない人にだっておすすめだ。
この宇宙船の行く末を、一緒に見届けようじゃないか。
まとめ 2020年私的GOTY
というわけで、トータル15本のゲームを振り返ってきた。
めちゃくちゃ長かった。12/11に書き始めた記事だったが、12/31までかかってしまった。ギリギリなんとか今年中に投稿できそうで安心している。
記事を書いてきた苦労はともかく、最初に選ぶと言っていたので、私的GOTYを発表したいと思う。
2020年、私が選んだGOTYは
Ghost of Tsushima
でした!!!
やっぱりツシマは面白かったし、物語に本当に胸を動かされた。迷うところもあったけれど、一つと言われたら結局ツシマだ。
だけど、ツシマと同じくらい好きなゲームもあって、自分の中でも「キャラクター部門なら」「アクション部門なら」ともっとたくさんの作品に名前をつけて賞をあげたい位どのゲームもいいゲームだったと思う。いいゲームをたくさん遊んだ!!!!
***
2020年。この一年間、本当にたくさんの時間をゲームに費やしたと思う。
それは時代の影響もあったし、付き合ってくれる友達が居たからだとも思う。
2020年は誰にとってもそうであったように、私にとっても、いつも行っていた旅行もライブも、なにもかもなくなってしまった一年ではあったけれど。
ゲームのおかげで私は決して不幸ではなかった。 私の2020年はきちんとここにあった。
先の見えない状況が続いている。東京都では1日あたりの新規感染者数が新記録をどんどん更新している。いつ旅行に行けるか、ライブが開催されるか、マスクはいつ外せるのか、会いたい人にはいつ会えるのか、まだまだわからない日々が続くけれど。
3月には真・女神転生5が発売される。私はそれが待ち遠しいけれど、まずはグノーシアをクリアしたいし、先日発売されたサイバーパンクを買いたい。だけどそのまえにちょっとだけ手を付けたままおいてある真・女神転生Ⅲをプレイしたい。そういえば、ゼルダの伝説BotWの続編が発売されるという話もあるし、FFの続編だってそのうち出てくるだろう。元寇は2回あるんだからGhost of Tsusima2が出たっておかしくないし、The Last of US Part3が発売されることだってあるかもしれない。旅行もライブも友達とのお茶の予定もないけれど、2021年の私の予定はすでにはちきれんばかりに埋まっている。
ゲームのおかげで、私の未来は楽しみが絶えない。もしかしたら、ライブと旅行とゲームで働いている暇なんて全然ないくらい忙しい2021年が待っているかもしれないから。
だから私は楽しみだ。2020年が楽しかったように、2021年も楽しみなのだ。