ほろびての準備と「ふしぎの海のナディア」と。

ミュージカル「ハル」東京公演は千穐楽を迎え、今は大阪公演までのポッと空いた時間を過ごしています。
キャストもスタッフのみなさんも、あたたかくて本当に居心地のいいカンパニー。それだけでなく、たくさんの方々に見ていただけたのは本当にうれしい。大阪でもよろしくお願いします。ああ、まだ「ハル」の世界を過ごせるんだなあと思うとなおのことうれしい。それまで、ひとまず自分の日常に戻らないと。

15日は6月に行うほろびての準備を進めようとあれこれ考えていたのに、いつも通り想定の6割くらいしか進んでいない。全てが自分にまるっと返ってくるのでここはふんばりどころだ。

準備しないと、と思っているくせに「ふしぎの海のナディア」を31話〜35話まで見返す時間はあった。ありました。作りました。好きなアニメをくり返し見ていた子どもの頃、一番見返していた話数が23話〜39話だったのだけど、23話からの「島編」ではなくて、31話からにしたのは、生まれた場所も誕生日も知らないナディアが自分のことを知っていく度に変化していく表情(というか作画)を見たかったから。それで約30年ぶりに31話〜35話をちゃんと見た。いくつか自分なりの発見があったので書いておきます。

「島編」は海外にグロスを投げていた、というのは自分が大人になってから知り、だから作画がめろめろだったんだとわかったのだけど、子どもだった僕にとって島編はすちゃらかでスラップスティックなノリがすごくすきだった。めろめろな作画だなーと思って見ていると、話数によっては時々"戻ってくる"キレのある作画。35話以降、またすごい作画になるんだけど、今回僕が見返した中では31話「さらば、レッドノア」(鶴巻和哉さん作画監督)の作画と、35話「ブルー・ウォーターの秘密」の作画(本田雄さん作画監督)と演出(前田真宏さん絵コンテ)は今見てもやっぱりすごかった。32話〜34話の作画の揺れも、結局声優さんは一緒だし、登場するキャラクター演じる役者さんがちょっと集中切らせたかな、くらいで(気になるけど)、気にならない(気にはなる)。例えば31話の最後と32話の最初は同じカットなんだけど、作画があまりにも違いすぎて笑える。

僕は当時も今も、基本となる絵が好きなら多少は揺れがあっても大丈夫。だけど最近のTVアニメは全13話とかだから1話数のウェイトが大きくなる。自分が送り手側だったら遊びの回(本筋とは関係ないお話)はやれても2回、下手したらお遊び回なんてないこともあるから、全13話中、10話くらいは気合いの入った作画か、絵コンテで挑みたいって思うだろうなあ。なんてこともナディアを見ながら考えた。

「ナディア」は元の企画は宮崎駿が「ラピュタ」準備中に立てていたものということで、やっぱりガジェットやディテールが通じている。比較するものではないのだけど、「ナディア」の方が破天荒だったり予想の遙か先を行く展開で、だから1つの作品として光っているのかも、と、今になって思う。

性格に大変な難があるヒロイン=ナディアのことも子どもの頃からずっとすきで、どうしてだろうと今回見ながら考えてて、考えているうちに、そういえばエウレカ(「交響詩篇エウレカセブン」)もナディアに性格似てるかも、だからすきなのかな、と自分の中の線を見つけてしまいました。

ナディアもエウレカも、言動のねじれや口調の強さは相手への信頼や甘えだったり、自身が抱えている孤独から出てしまうものなんだと、短くないTVシリーズを追っていけば自然と感じられるので、「言動一致している必要ってないよな」とか思うし、それまで言えなかった本心を口にする瞬間の真実、というものには何度見てもやっぱりとってもときめくなあ、って思った。

とかそういうことをつらつら考えながら見返した「ふしぎの海のナディア」でした。36話「万能戦艦N-ノーチラス号」でガーゴイルへ詰め寄るナディアを大鎌で阻止する近衛兵の動きは、「カリオストロの城」の演出のオマージュだ、とか、今改めて見て発見があったのもとてもたのしかった。

夢中になってた……。このままつらつらと書き続けてしまいそうになるので、ここら辺で!

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細川洋平(ほろびて)
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