とりとめもなく・1
演劇に何ができるのか。自分以外の誰かを動かすことは可能なのだろうか。何のためにやるのだろうか。最近考えていることのほとんど全て出発点がそこにあると感じる。人はいろんな場所から演劇に携わりはじめるし、そこから見ている世界は同じではないはず。それを忘れないでいよう。
自分が作ってきた上演物を振り返る。どうやら後世には残らないような作品を作り続けてきて、これからも作っていくのだろう。「アート」というととてもいい響きだ。けれど、生活が隣合わせでいたらもっと素敵だと思ってしまう。舞台の上でしかできないことはあるけれど、それらは全て生活を営む人間が生み出すものなので。生活を放棄した人間が作り出す作品も見てみたいけれど、規模が大きくなればなるほど豊かな生活を送れる(そういう選択肢を得た)人が作る、そういう視界にしか入らない表現になってしまうような気がして。研ぎ澄まされた感性ではなくて、研ぎ澄まされた感性が捨ててきたものを見たいなあと思う。自分が思いっきり豊かになったらどうなるだろう。付き合う人が変わるだろうか。高いお酒を飲むだろうか。いやいや、今そうではないということは、今までもそれを求めてきてないわけだから、その結果として今があるわけで。
いただいたサポートは、活動のために反映させていただきます。 どうぞよろしくお願いいたします。 ほそかわようへい/演劇カンパニー ほろびて 主宰/劇作、演出/俳優/アニメライター