今だからこそ読みたい話
コロナウイルスの第二波が来るのではないか(もう来ているのではないか)と言われている予断を許さない状況の今、また「今だからこそ読みたい話」を見つけてしまいました。
以前 ベニスに死す の映画を観て、コロナウイルスのことで頭がいっぱいになり話が全然入ってこなかったという話をしましたが、今回は漫画です。
ホラー漫画のジャンルではあるのですが、どこかコロナウイルスと重なる部分があったので、そのことについてお話したいと思います。
億万ぼっち
伊藤潤二さんが描いた作品「億万ぼっち」を読んでみたところ、コロナウイルスと重なる部分があったのでご紹介します。
「億万ぼっち」は2004年に描かれた話で、
伊藤潤二短編集 BEST OF BESTという作品に入っています。(一話目です)。
☆あまりネタバレしないようにはしたいと思いますが、いつもあらすじだけである程度話の展開が予想できてしまうという方や、作品は真っ新の状態で読みたいという方は、ここから先は私の文章を読むのをお控え下さい。
コロナウイルスより危機
この話に出てくる主人公は引きこもりです。
しかしある日を境に外へ出かけるようになるのですが、外へ出かけるきっかけになった理由というのが
奇妙な事件が起こるようになったからです。
その事件は都度人が大勢集まるところで起こります。
次第に町中の人々は接触を避けるようになり、一人一人が個室に引きこもるようになる、というコロナウイルスより危機感のあるお話です。
コロナウイルスとの違い
コロナウイルスとの違いは、コロナウイルスの場合は緊急事態宣言が出されたから国民が家の中で過ごすようになりましたが、この話の場合は特にそういった宣言は出されていません。
自ら一切家から出たくなくなるほど、恐ろしい出来事であるという部分が異なると思います。
コロナウイルスも同じように恐ろしいウイルスですが、必要最低限と言いつつも、人によっては公園やウォーキングに行くなど多少の外出はしていたはずです。
その点、この話に出てきた1コマでは完全に人が家から出なくなっており、ロックダウンというよりは自発的に自粛しています。
感じたこと
この話を読んでから、ふと
引きこもっていた人の中には外に出られるようになった人もいるのではないかと思うところがありました。
促され外へ出なければと思うと出られないのに、いざ「外へ出てはいけない」と言われると、外はどのような風になっているのかと興味本位で少し出てみようかなと思う心理ってあると思います。
しかも今はレジカウンターにビニールを張ったりなどして、店員との接触もほぼありません。
マスクを装着して、はっきりとは誰だかわからない状態での外出が可能です。
医療関係者が全力を尽くしたり苦しんでいる人がいる中であまりこんなことを言ってはいけないとは思いますが、この非接触の環境により、外へ出られるようになったなど、何らかの生活変化が出たという人もいるのではないかと思いました。
「億万ぼっち」は1話限りの読み切り作品で、途中までであれば試し読みもできます。
気になったという方はぜひ読んでみてください。
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