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映画「mommy」のリアリティ

久しぶりに、映画を見た。あんなに映画が好きだったのに、仕事に追われて見ていなかった。夜中にこどもたちが寝静まってからみた。

主人公はシングルマザーのダイアン。高校生くらいの息子のスティーブはADHDだ。

ある日ボヤ火事を起こしてしまい、施設を追い出されてしまう。母子ふたりきりで新しい暮らしをはじめたが、ユニークで純粋だけど感情の起伏が激しすぎて、最初から母親のダイアンは手をやいている。
ある日万引きを大量にしてきてご機嫌なスティーブと口論になり、母親は首を絞められたりスティーブは傷を負ったり、、。その傷の手当てをしてくれたのは、お向かいに住む吃音をもつカイラだった。(カイラは、夫子どもがいる。昔教師をやっていたが、今は、どもりがあり、家で過ごしてる。)
だんだん仲良くなる三人。
カイラは、初めて親しくなれた友人に毎日がいきいきとする。いつの間にか、親子とすごすときは、どもりがなおってる!
スティーブは、これからがんばるぞ!とカイラに勉強を教えてもらい、三人の友情や希望が続くと思っていた矢先。
火事の賠償金の請求書が届き。。

親子でも、ADHDでも、他人とでも、
人と人はわかりあえない。愛情のあらわしかたも、距離感もちぐはぐなんだ。
スティーブは、自分でも困るぐらいお母さんやカイラがすき。どうして、僕を僕を愛してよ、と、すごいことになる。。

でも、一瞬一瞬は、かがやいており。
きっかけは、なんであれ、好きすぎたり、いらいらしちゃったり、殴ったり、、言葉で傷つけたりしちゃう。手首を衝動的に切ってしまったスティーブは、愛するママとカイラに病院につれていかれてしまう。
自由のために、
ママのために大好きなスティーブ。
ママのために。
スティーブ大好きだけど、一緒にいられないママ。スティーブのために。

第三者のカイラがいることで、物語がいろんな色や味になっている。

3人の楽しい時間は、本当になんでか涙がでるくらい美しい。最初っから一瞬一瞬が光の切り取りがきれいだった。時々光の加減で、万引き(!)で息子がプレゼントしてくれたmommyの
ネックレスがママの首で光る。

ADHDのスティーブが、酒場で暴力をふるうまえに、映像が歪んだり。
お母さんが病院施設に再びこどもをだまして連れていくドライブの中で、(こうだったら、ああだったら。息子が結婚をし、こどもをもち、、と、想像する。しかし、この映像は涙でゆがんだように、ぼやけて描写される。スティーブも、ちがう俳優が演じてる。)と未来を想像するシーン。
時々画面の比率が変わる。
すごく面白い画面展開と脚本だった。
このまちにいくと、きっと、本当にいるんだろうなあという、三人の演技力に!

最後にカイラとお話ししたときに、勝ち気なダイアンは笑顔で別れる。「私は、大丈夫。ぜんぜん大丈夫。スティーブも、わたしも、未来をよくするために、施設にいれるの。わたしはあきらめないわ」そのあと、ひとりになり、すごく悲しみをひとりでこらえて泣くところが、一番印象的だった。

ラストは明るくはないが、逃げ出す一瞬のスティーブの表情に、ぐっときた。スティーブ!
本当にリアルより、リアリティ。

誰も悪くない。
誰もがすばらしい。
誰もまちがいじゃない。
誰も正しくない。
誰もが正しい。
正しい正しくないとかどうでもいい。

ただただ、人を好きになるとは、家族とは、
ねじれた愛情の連続。
あなたのために。わたしのために。

もっと見たい映画が増えて、とても嬉しい。
今から仕事をがんばろう。
映画はいい。
すごくいいなあ。


監督はグザビエ・ドラン。2014年、カナダ映画。

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