DXがもてはやされる今、改めて紙カタログが見直されるワケ
最近、Pomaloの周辺の企業で「紙のカタログやりたいんだよね〜」という話が増えてきています。もともとアパレル業界では、お店で見せたり顧客に配るためのカタログ制作の相談は今までもあったのですが、最近ではMAツールをがっつり入れてデータをガリガリ回している企業からも、同様の相談が来るようになりました。一見するとデジタルと紙カタログは相反する施策なように思えますが、なぜ今相談が増えているのか。カタログをやるメリットと合わせて考えてみました。
デジタル施策の限界
去年コロナが広がり始めた頃から、事業活動においてリアルの”対面”機会が極端に減ってしまいました。
一般顧客むけのBtoCビジネスでは、顧客が来店することが激減したことで、オンライン上での顧客とのコミュニケーションを積極的に行うようになり、InstaLIVEや店舗スタッフからの情報発信へ投資する企業が増えました。一方企業間取引のBtoBビジネスでは、商談がオンライン化されたことにより、新規営業先開拓にインサイドセールスを強化する企業が増えています。
しかし、オンラインでのコミュニケーションでは、人々の可処分時間の取り合いが発生します。情報があふれる中、企業からのメッセージは見る前に削除されたり、見てもらえたとしても記憶に残らず行動につながらないことが多々あります。
私の周辺のマーケティング担当者も、オンラインコミュニケーションのみのアプローチには限界を感じている人が少なからずいました。
カタログのメリット
そこで、デジタル施策の限界を補うために、紙カタログを検討するケースが増えています。主なメリットは以下のとおりです。
保存性が高い
カタログは一度届くと物理的に手元に残ります。メールのようにすぐに削除されることはなく、すぐに読めなくても取っておいて後から読んだり、繰り返し見返すこともできます。
記憶に定着される
同じテキスト情報でも、紙で読むほうが、スマートフォンやパソコンの画面で読むより、記憶に残りやすいことが、ノルウェーの大学チームの研究で報告されています。テキストや写真の記憶は、視覚情報だけでなく、紙を触れたときの触覚によってもサポートされているそうです。
(参考:https://www.lifehacker.jp/2014/09/140906paperbook.html)
信頼される
WEBは公開後にも修正ができる一方、紙に印刷されるものは一度流通すると修正ができず、流通する前にしっかりチェックされるため、情報信頼性が高いです。また、紙の刊行物を出しているという理由で、企業として信頼されるケースもあります。
デジタル施策+紙カタログは相乗効果を生む
とはいえ、紙カタログは万能なわけではありません。タイムリーに情報を届けることは難しいです。しかし、デジタル施策と紙カタログを組み合わせると、お互いの弱みを補い合うことができます。
デジタルコミュニケーションでの弱みの「保存性・定着性・信頼性」はしっかり紙カタログが補ってくれています。
また、両者は情報を補い合うだけでなく、相乗効果を期待することもできます。以下具体的な事例をもとに見ていきたいと思います。
活用1:既存顧客へのリテンション(BtoC活用例)
過去、自社商品を購入経験がある顧客(会員)に対して、新作商品紹介の紙カタログを配布して、カタログをきっかけにオンラインストアや店頭に来店してもらい、購入を促す施策です。
BtoC企業で、過去に自社のお店で購入経験がある顧客の会員データ、購入履歴データを持っている企業は多いと思います。データを生かして、カタログ配布先の会員を、年間で購入額が多い人に絞って再購入の促進をしたり、逆に非アクティブ化してしまった会員の再活性化につなげるなど、カタログを会員へのリテンションに活用して販促効果を高めることを行っています。カタログを配布した顧客に、手元に届いた頃にメールマガジンを送信したり、アプリで通知することで、カタログを通じた購入を促すことができます。
会員向けのメールマガジンの送付だけでは、なかなか行動につながらない会員も、紙カタログが手元に届くと購入行動につながりやすいようです。
活用2:アナログ手段でリードにアプローチする(BtoB活用例)
重点的に狙いにいきたいリード(見込み顧客)に紙カタログを配布して、紙カタログを営業ツールとして活用する施策です。
リード情報には、担当者個人のメールアドレスや電話番号が保有できているケースと、会社やお店の住所だけは把握しているものの、担当者まではわからないケースがあります。特に中小規模の事業者を狙いに行きたい場合、担当者までたどり着くのが難しい場合も多いかと思います。そこで、リードが中小規模の事業者の場合、把握している住所宛に紙カタログを送付することで、自社サービスを知ってもらったり興味を持ってもらうきっかけにすることができます。またカタログ送付後の反応を、マーケティングツールにデータとして取り込めば、反応の良い顧客層を把握する一助にもなっていきます。
ただしこのケースの場合、カタログがファーストコンタクトのツールになるため、カタログに掲載する情報は自社サービスの紹介ばかりではなく相手の役に立つ情報でないとしっかり中まで読んでもらえません。ターゲットをきちんと理解し、抱えている課題に対して役に立つ情報を編集して届けることがとても重要です。
新規営業を対面で行うことが難しくなる中、インサイドセールスだけでリーチできないリードへのアプローチとして、紙カタログは活用されています。
まとめ
以上、最近相談が増えてきた紙カタログについて考えてみました。ご紹介した活用方法はごく一例ですが、もともと保有していた顧客データを活かしてビジネスを拡大していこうとされている企業で積極的に検討されているように思います。
記事でご紹介した内容が、少しでもビジネスを考えるヒントになったら幸いです。
営業推進グループ マネージャー 難波 友莉
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