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シンガポールのアーバンガーデニング事情
2023年11月にシンガポールで国立公園局(National Parks Board: NParks)が推し進める都市園芸プログラムの調査にいってきました!
公式にネットにある情報以外のことは書くには許可がいるそうなので、簡単になりますが主に写真で状況をご紹介したいと思います。
淡路島と同じ面積に広がる大都市シンガポールですが、1960年代の建国以来のガーデンシティ(Garden City)コンセプト、そして2000年代からのシティ・イン・ア・ガーデン(City in a Garden)、そしていまはガーデンからさらに「自然」に焦点が移り、シティ・イン・ネイチャー(City in Nature)のコンセプトで大変有名です。
そのコンセプトのとおり、まちに降り立つと圧倒的な緑量(そして行き届いた管理…)が目を見張ります。
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都市園芸プログラムの流れとしては、2005年からCommunity in Bloomという住宅団地等に住民主体のコミュニティガーデンをつくる動きが支援されはじめました。ほとんど団地や高層マンションに住むシンガポール住民は庭を持つことが難しいことが背景にあるようです。
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さらに2016年からは公園内にレイズドベッド型の貸農園が整備されました。
まだ7年しか経っていないのに、なんと26公園に約2,200区画できているそうです。
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フェンスはないので、誰でも入れます。盗まないでね、という注意書きはあります。
利用契約は3年ごと、募集があった公園に応募し、抽選にて利用できるかが決まります。利用料は年間57シンガポールドル(6,000円くらい)。日本の市民農園と大きく変わりませんね。
ちゃんと綺麗に使用していれば3年経過後も延長可能だそうです。
あまりにも短期滞在すぎて利用者の方に会うことはできませんでしたが、バナナなどシンガポールらしいものが育てられているのを見られて楽しかったです。
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雨水タンクを区画に設置する強者も…水は提供されているはずですが、資源循環に配慮しているのかもしれません。
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コロナ禍の2020年にはガーデニング・ウィズ・エディブルズ(Gardening with Edibles)というプログラムで家庭で野菜などを育てたいという希望者に種子パックが配られたそうです。資金援助はDBS銀行とTote Board(財務省内の助成機関?)から。
種子パックの配布は終了していますが、いまでは30by30という、2030年までに栄養ベースの食料自給率30%を達成しようとしている食品庁の目的に資するものとして位置づけられているようです。
(シンガポールは国土の狭さから農地がほとんどなく、食料は輸入に頼っています)
なお、2021年に開業した高層ビル「キャピタスプリング」の51階、スカイガーデンにも野菜やハーブ、果物が植わっていてエディブル・ランドスケープが創出されています。無料で訪問可能ですので、おすすめです。
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みなさんにおすすめされて、フナン(ショッピングモール)やそのほかCity Sproutsなどの民間主導の都市型農園にも行ってきました。
(シンガポール国立大にお勤めの先輩、そしてGreen Neighbors代表のRobyn Natsuko Shinozakiさんありがとうございました!)
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国家主導ならではのスピード感が興味深いシンガポール。民間企業も盛り上がってきています。日本の自治体も学ぶところが大きそうです!