生まれたくない赤ちゃん
日本の人口がどんどん減っている。
亡くなる人が産まれてくる子供を上回ってる。
マスコミや識者は、将来の不安から子供を産むことを躊躇してる人が多く、金銭的な問題で結婚しない人が増えているという。
そういう人も多いだろうけれど、そうじゃない人の言葉は届きにくい。
自分の生活が好きで暮らしていると、生活を壊されたくないと思う人もいると思う。
好きな人がいないのに好きでもない人と付き合うよりひとりの方がいいという人もいる。
将来、世界中の人が子供を産むのをやめて人類が地球上からいなくなったとしても何も問題はないと思う。
やがて歳をとった地球が太陽に飲み込まれて消えていく時、世の中はどうなっているのだろう。
他人と関わりながら生きていくのは良きにつけ悪しきにつけ世の中のルールのようなものだけど、人の生き方に、あれこれ言う人は、自分の生き方を肯定しているのだろうか、それとも満足してなくて、どちらも、それが当たり前と思っているのかと思う時がある。
子供は親の生きがいになりやすいから、生きていく活力にもなるけど、あまりにも大きすぎて、その生きがいがなくなったときに他の生きがいが見つからなくなる人もいる。
子供だけが生きがいと言う友達がいたけど、子供が生きがいじゃなくなったときに友達は自殺した。
親しかった友人なのに、結婚後どんどん疎遠になった。子供がいない人にはわからないと言うのも口癖だった。
子供は大人になって世の中を回していく。そういう期待の重圧もあると思う。
人はなんのために生まれてきたのかわからない。
芥川龍之介の小説「河童」で、お腹の中の赤ん坊が「僕は生まれたくありません」
と父親にいう。
大島弓子のマンガ「バナナブレッドのプディング」のラスト。
お腹の中の赤ちゃんが男と女、どちらに生まれたほうが生きやすいかと尋ねる夢を見る。
どっちも同じように生きやすい事はないと答えるが、赤ちゃんは「おなかの中にいるだけでもこんなに孤独なのに、生まれるのがこわい、これ以上ひとりぼっちはいやだ」
と言う。
「まあ生まれてきてごらんなさい。最高に素晴らしいことが待ってるから」
そう答えた後で「最高の素晴らしさ」ってなんなのだろう。わたし自身もまだお目にはかかっていないのに。
自信たっぷりに子どもに答えていた。
何が最高の素晴らしさかは人それぞれに違う。
一生、そんな素晴らしさに出会えないかもしれない。
生まれなかった子供が不幸だとは言いきれない。
自分が良いと思って、それが周りに迷惑をかけていないなら、マスコミや世間が、どう言ってたとしてもかまわない強さがあれば、生きていくのは少しだけ楽しくなると思う。
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