正面図を描く (1)
自由な角度から見た正多面体を描くのはいかにも大変そうなので、まず正面から見た図を描いてみます。どの方向を正面とするかは意見が分かれるところですが、次の条件を満たす方向を正面とすることにします。
1. できるだけたくさん面が見えること。
2. 1を満たし、かつ最も対称性が高い方向。
正四面体の場合、一番たくさん面が見える方向では、3面を同時に見ることができます。その上で対称性が高い方向を選ぶと、次の図のようになります。
頂点方向から見た正四面体。
残る4つの正多面体では、共通の特徴として、ある面の裏側に、その面と平行な裏面が必ず存在します。表の面が見えている時には、裏の面は絶対に見えないので、正6面体、正8面体、正12面体、正20面体で、ある方向から見える面の数は、一番多くても面数の半分、3、4、6、10面しかない、ということになります。
描き方を説明する前に、まず正面図がどのようになるかをお見せします。
頂点方向から見た立方体の正面図。
正八面体の正面図。あまり立体感がなくわかりにくいが、
頂点方向から見るともっとわかりにくい。
この3つは、正六角形が描ければすぐに描けそうです。
正六角形はコンパスがあればすぐに描けます。
コンパスで円を描き、その足幅で円周をきざんでいくと、正六角形が描けます。
問題は正12面体と正20面体です。
まず、正12面体は、輪郭が正10角形になります。複雑に見えますが、正10角形が描けてしまえば、簡単な補助線だけで正12面体の正面図を描けます。
正12面体の正面図。輪郭は正10角形。
正20面体も、同じように輪郭が正10角形になるような正面図が描けます。ただ、あまり正20面体っぽく見えないんですよね…。
頂点方向から見た正20面体の正面図。10個の三角形が見えます。
輪郭が六角形に見える、こちらの角度のほうが、私には正20面体っぽく見える気がします。
面方向から見た正20面体の正面図。こちらも10個の三角形でできています。
次は、正12面体と正20面体の正面図の描き方を解説します。