黄金比と正五角形
正二十面体と正十二面体には黄金比が深く関わっています。黄金比φは約1.618...、小数点以下無限に続く数で、いろんな定義があります。
一番わかりやすいのは、正五角形による定義でしょう。辺の長さが1の正五角形の、二つ離れた頂点の間の距離がφになります。
正12面体は正五角形で囲まれているので、φが関係ありそうだという気がしますが、正二十面体にどうしてφが関わってくるかは、もう一度正20面体をじっくり見るとわかります。
正三角形5枚が正五角錐を作っているのが見えるでしょうか。
このあとの作図では、与えられた長さのφ倍=1.618倍の長さ(あるいは1/φ倍の長さ)を必要とするケースがたくさんでてきます。それは、正12面体と正20面体に正五角形がたくさんかくれているからです。でも、例えば4 cmの1.618倍を計算するのは面倒ですよね。
そこで、黄金比分割器(黄金比ディバイダー)の登場です。黄金比ディバイダーは、コンパスを操作するのと同じ感覚で、与えられた長さのφ倍や1/φ倍を簡単に測ることができます。これを使うと、正12面体と正20面体の作図はとても簡単になります。
黄金比分割器。常にa:b = c:a = φ:1。
例えば、辺の長さにaの幅をあわせると、cの幅は辺の長さのφ倍になります。逆に、cの幅を辺にあわせると、aの幅は辺の幅の1/φ倍になります。計算する必要も、目盛を読む必要もなく、簡単にφ倍を測れるのでとても便利です。
黄金比分割器は、日本国内ではほとんど売っておらず、あってもけっこう高価なのですが、なぜか中国ではものすごくたくさんの種類の黄金比分割器が販売されていて、値段も安いです。どうも、美容用品(眉を描く時の目安?)として販売されているようです。高級なものはステンレスや真鍮でできていますが、ここでの作図ではプラスチック製の分割器で十分役に立ちます。
黄金比分割器を持っていなくても、方眼紙の上で近似的に黄金比分割する方法を次に紹介します。
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