2017 埼玉県立大学 編入学・社会人特別選抜 小論文 模範解答
Ⅰ
問題1
「生物多様性おかげ音頭」は、私たちが生物多様性から受ける恩恵として、多様な生物が人間に衣食住の糧を与える点、生物が遺伝子資源であり、多様な生物がいるおかげで、品種改良が可能である点、多様な生物の存在を守ることが人間という種を守ることにもなる点を挙げ、啓蒙的に歌っている。(141字)
問題2
筆者によれば、生物多様性条約の目的に②と③が挙がるのは、生物の利用や利益の分配についての議論も含めないと、環境保全の効果が上がらないからである。したがって、生物の多様性保全のためには、目的③の議論は避けられない。それでは、北の国は、目的③にどのように対応するべきだろうか。
私は、北の国が生物多様性を保全してきた地域社会をもっと評価し、経済的観点だけではない評価枠において、遺伝子資源の利益配分を行うべきだと考える。なぜなら、実質的に環境保全を行ってきたのは、地域社会だからだ。つまり、地域社会では生活レベルで生物多様性の恩恵を享受してきたきたため、人々は生物多様性を大切にしてきた。それゆえ、地域社会が生物多様性の保全の実質的担い手として、大きな役割を果たしてきたことを評価するべきだと考える。そして、地域社会の貢献を考慮した評価に沿って、遺伝子資源の利益の配分の仕方を考えるべきだと考える。(396字)
Ⅱ
問題1 (1)エ (2)ウ (3)オ (4)カ (5)ア
問題2
近年、我が国では、少子高齢化が進行し、高度経済成長期のような人口ボーナスによる経済成長や税収が見込めなくなり、失業や非正規雇用が増加するようになった。その結果、貧困が社会問題化し、さらには社会的排除が、取り組むべき中心的な政策課題の一つとなった。誰もが公平に社会の中で生きることを難しくする社会的排除という課題に対して、どのような取り組みが必要となるだろうか。私は大きく二つの取り組みがあると考えられる。
第一の取り組みは、スタートラインとしての教育現場における早期対応である。学校や職場の環境がキー・リスクとなって社会的排除に追い込まれてしまう場合、困難の「入口」で早期に困難を把握し、対応することが重要だと考えるからだ。第二の取り組みは、地域の企業・自治体との連携(人・ネットワーク) である。たとえば、自治体においてキャリア・カウンセラーによる就労支援体制を整備し、地域の企業とのつながりづくりなどにより、学校現場と就労のバトンゾーンを豊かにすることができると考えるからだ。その際には、地域若者サポートステーション、ジョブカフェ、ハローワークとの連携が有効であると考えられる。
(489字)