2021年度 早稲田大学 スポーツ科学部 一般入試 小論文 模範解答

 この図は、体育の授業以外の小中学生の1週間の運動時間が60分未満の者と、60分以上の者の割合を示す図であると考える。Aが1週間の運動時間が60分以上の者であり、Bが60分未満の者であると推測できる。Aがおよそ7割だと考えるのは、小中学生は運動部活動や地域のスポーツクラブに参加し、大半の者が運動する機会を得ていることが考えられるからだ。他方で、Bが3割であると考えるのは、小中学生のなかには、放課後には習い事や塾などに通う児童生徒もおり、スポーツを行う時間や機会がない者もいると考えるからだ。
 近年の子どもたちが運動不足にあることや、生徒たちの体力低下の問題があると考えられる。というのも、図のBのように、放課後、塾に通ったりお稽古事などの活動をする子どもたちもおり、現代の子どもたちは忙しく、学校の体育の授業以外では運動をする機会が失われていると考えるからだ。その結果、運動不足になれば体力が低下し、体力の低下は常に疲労を抱えたり、集中力の低下を招くため、子どもたちの学業にも大きな影響を与えることになる。また、このまま子どもたちが成人した場合、病気になる者の増加や気力の低下によって社会を支える力が減少し、少子高齢化が進行するなかで、将来の我が国の社会が沈滞することも憂慮されている。
 したがって、こうした問題を解消するためにも、近年注目される「ゆる部活」のような活動へ生徒たちに参加してもらい、生徒たちが運動をする機会を確保し、体力向上を図ることが重要であると考える。「ゆる部活」とは、特定の競技にこだわることなく多様な運動を行い、試合に勝利することなどの特定の目標に向かって活動するのではなく、広く生徒たちが運動することそれ自体を主眼とする新しい形の部活動である。したがって、「ゆる部活」の中心的なねらいは、生徒たちに何であれ運動をしてもらうことにあると言える。というのも、朝の短時間に多様な運動を無理をすることなく、気軽に行うことができる「ゆる部活」であれば、スポーツや運動が苦手であったり、行いたいと思うスポーツがない生徒であっても参加が可能であり、運動をする習慣ができると言えるからだ。以上より、「ゆる部活」のような活動が広がれば、図のBの割合は減少すると考える。(943字)

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