2021年度 弘前大学 看護学専攻 社会人入試 小論文 模範解答
(1)
外国人看護師及びその候補者を受け入れる目的は、我が国における看護師不足への対応ではないことから、外国人看護師及びその候補者の受け入れにあたっては、日本の看護師免許の取得や日本語能力検定の受験、母国における一定期間の実務経験、受け入れ人数等について要件が規定されている。こうした現状において、外国人看護師及びその候補者の受け入れに対する課題として、外国人の日本語運用能力が挙げられると考える。というのも、表1より総じて日本語を操ることができる外国人の割合は9割近くあるものの、日本語を話せない外国人ほど就労意欲が低い傾向が見られることや、看護師国家試験の合格率も近年でさえ20%に満たないからだ。さらに、外国人看護師の就労に対して、現場の日本の看護師が総じて「やや不安」を感じていることは、外国人とのコミュニケーションに起因すると考えるため、外国人の日本語運用能力の向上が課題だといえる。(392字)
(2)
外国人看護師及びその候補者の受け入れに対しては、日本という異国において彼らが働き、生活することに対していかにサポートを行うかという課題もあると考える。というのも、インドネシア、フィリピン、ベトナム諸国の人々は、我々にとっては同じ東アジア圏に住まう近隣諸国の同胞とはいえ、彼らの生活風習や文化と我が国のそれとでは大きな差異があると考えるからだ。また、日本語を高度に運用する能力は、外国人が我が国において安心、安全に生活や仕事を行なったり、人間関係などになじむことを保証するものではないと考える。したがって、外国人看護師及びその候補者の日本における生活をサポートする体制も整備していくことが肝要だといえる。たとえば、地域において外国人看護師及びその候補者を受け入れる歓迎会を開催したり、広く外国人看護師及びその候補者の存在を知らしめる広報活動なども行政組織を主体として行う必要があると考える。(394字)