2021年度 東京学芸大学 A類保健体育選修、B類保健体育専攻、E類教育支援専攻生涯スポーツコース 推薦入試 小論文 模範解答
問1
運動会や体育祭を行う意義は、児童・生徒が練習や運営などにおいて他者と協働する体験を得ることによって、教科学習のみでは得ることのできない主体性や協調性を育むことができる点にあると考える。というのも、総じて運動会や体育祭などの学校行事は、生徒が主体的に取り組み、児童・生徒どうしが協力することによってはじめて成立するものであると考えるからだ。また、運動会や体育祭の課題としては、運動会や体育祭は当日のみならず、相応の準備期間を必要とし、開催のために多くの時間を費やさなければならない点が挙げられる。なぜなら、開催のために多くの時間を費やすことに対して、他の教科や本来的に体育で扱う領域の学習時間を圧迫することが危惧されるからだ。また、運動会や体育祭は、運動やスポーツが得意な児童・生徒が活躍する場となりがちであり、運動やスポーツを嫌う生徒を生み出しうる点も課題だといえる。(384字)
問2
コロナ禍において運動会や体育祭を中止することには、反対である。その理由は大きく二つある。第一に、運動会や体育祭の実施の有無を判断する過程に、催しの主役となる児童・生徒が関与しておらず、中止という決定が大人の都合や判断によってのみなされている点に疑問が残るからである。したがって、児童・生徒の意見を聞きつつ、児童・生徒らの意志を最大限尊重するならば、即断的に中止ということにはならず、たとえば、新聞記事で紹介されている学校のように工夫をしながら、運動会や体育祭を実施する可能性があると考える。第二に、運動会や体育祭の意義を顧みれば、運動会や体育祭は児童・生徒たちを成長させる貴重な教育の一場面であり、教育上、意義のある行事であると考えるからだ。それゆえ、新型コロナに配慮した運営方法や実施における工夫を行いながら、運動会や体育祭を実施することが妥当だと考える。(379字)