2021年度 青山学院大学 総合文化政策学部 B方式 小論文 模範解答

大問1

問1

啓蒙とは他人の指示を仰がなければ自分の理性を使うことができない未成年の状態から抜け出すことである。他方で未成年の状態においては自ら考える必要がないという利点があり、人々は理性を行使することができないため、個人が独力で未成年状態から抜け出すことは困難となる。しかし、公衆がみずからを啓蒙することは可能である。というのも、人は理性を公的に使用する自由を得ることによって公衆に語りかけることができるからだ。(200字)



問2

カントは、理性の公的使用によって公衆がみずからを啓蒙することが可能であると主張する。しかし、理性の公的使用と私的使用という二つの対概念は組織における義務の二重性を表現しており、理性の公的使用が組織の論理やあり方と対立する場合もある。したがって、人々が組織における自身の立場を保持しようとすれば、この対立を乗り越える勇気を失い、理性の公的使用が抑制されるため、カントの主張が挫かれる現実があると考える。(200字)



問3

理性の公的使用によって公衆がみずからを啓蒙することは可能であるという主張に対して、賛成の立場に立つ。なぜなら、人々が組織において理性の私的使用の立場にとどまり、組織に従属する存在となる限り、社会における不正を正すことや、組織や社会の抱える問題を解消するための人々への啓蒙が果たされなくなると考えるからだ。たとえば、我が国における財務省による決裁文書改ざんにより職員が亡くなった事件では、この職員は理性の私的使用の立場にとどまり、組織の命令に従わざるを得なかったことが推測される。しかし、勇気をもって公衆に語りかける理性の公的使用を発揮し、社会を啓蒙していくことによって、社会正義が実現されると考える。

(300字)



大問2

問1 1

問2 3


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