2021 埼玉県立大学 社会人特別選抜試験問題 模範解答
【問題1】
3
【問題2】
エ
【問題3】
対話は、「力づくで他者を征服しようとする暴力的手段を忌避して、人間として応答し合い、相互の利益をすり合わせ、合意によって解決しようとする、民主主義の土台」である。
【問題4】
下線部Cでは、医療や福祉など人と人とのかかわりが重視される仕事において、対話が不可欠なものであることが述べられている。私もこれから医療従事者を志す者として、この見解に賛同する。なぜなら、医療の現場において、患者の言葉に真摯に耳を傾け、患者の言葉に応答する対話の姿勢を持つことが、自身の病気やケガに対して不安を抱える患者を癒すための第一歩になると考えるからだ。
たとえば、がんを発症しつつも病院嫌いのため入退院を繰り返していた私の祖父が、最初の入院から4年間も生存できたのは、祖父の難しい性格に向き合い、寄り添ってくださった看護師の方々がいたことにある。つまり、看護師の皆が祖父の言葉や態度を受け止め、丁寧に応答してくれる対話の姿勢を備えていたことが、がんを患う祖父の大きな癒やしになっていたと考える。
さらに課題文においても金田一京助のエピソードが明らかにしているのは、対話とはただ単に言葉をやり取りするだけではなく、対話的な態度と生き方が重視される点である。つまり、たとえ未知の相手であっても、私が相手とともにいて、相手に応答できるという「応答可能性」は否定できず、この「応答可能性」にこそ多様な他者を受け入れ、他者との対話を可能にする対話的態度の根幹があると考える。以上より、医療の現場においてもケアの担い手として必要なことは、対話的な態度や生き方を備えることであると考える。(588字)