2019年度 東洋大学 ライフデザイン学部 健康スポーツ学科 自己推薦入試 10月21日 小論文試験 模範解答

 平均寿命と健康寿命の差の増大は、人々にとって「不健康な期間」が長期化することを意味する。つまり、慢性的な病や老化に伴う体の衰えから生じる疾患や怪我などに苦しむ期間が長くなるため、平均寿命と健康寿命の差の増大は、個人の生活に対しては生活の質であるQ O Lを低下させることを示唆していると言える。
 また、「不健康な期間」には、人々の病院への来診頻度が高まる。その結果、国家財政における医療費の増大化につながり、介護給付費用などの社会保障費を圧迫し、充実した社会福祉政策の実施が困難になる点や、費用負担の増加が国民に求められるようになることが社会における影響として挙げられる。
 以上のような影響をもたらす「不健康な期間」の長期化の要因の一つとして、生活習慣病がある。それでは、生活活動をどのように改善すれば生活習慣病の予防になるだろうか。第一に、生活習慣病を予防するには、生活の大きな部分を占める労働の仕方を、健康を増進する方向へと転換することが必要だと考える。なぜなら、労働環境や働き方によっては長時間労働になり、睡眠不足になることや、不規則な食生活になる状況が容易に考えられるからだ。したがって、長時間における過重労働を回避できるような職場環境を整備することが必要だと考える。第二に、運動以外にも家事などを含めた日常生活の活動量を増やして生活習慣病を予防することが必要だと考える。生活習慣病の防止策となる運動をする時間がない人でも、家事は生活のために必須となることから、この家事労働への取り組み方に工夫を行い、生活習慣病の予防につながると考えるからだ。したがって、運動量の多い家事労働を意識して行うなどの施策が挙げられる。第三に、生活活動において通勤も運動量を左右するものであることから、電車や車のみを用いた通勤をするのではなく、途中下車しての徒歩通勤や、自転車での通勤の機会を増やすことも有効だと考える。

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