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2021年度 高崎経済大学 地域政策学部 一般入試 後期試験 小論文 模範解答


問1 

 地域における他者との共存を妨げるものとして、私は、外部の人間に対する排外主義を挙げる。ここでの排外意識とは、共同体に属していない人間や自分と異なる考えを持つ人間をネガティブに捉え、コミュニティに入れたがらない態度のことである。排外主義は、資料A3で批判される永住申請をめぐるずさんで不透明な制度にも表れている。申請者を「素行の善良さ」という曖昧な基準で判定し、対等な議論の場をはじめから作ろうとしない姿勢は、異なる文化的背景を持つ他者を拒絶する排外主義そのものである。また、こうした頑なな態度は、資料B1が示す旅行者という外部の人間によるマナー違反や文化財へのダメージによって助長される。
 こうした排外主義を乗り越え、他者と共存するには、さまざまなレベルと規模のコミュニケーションを促進し、共同体の内外における信頼を醸成することが必要である。たとえば、学校教育では異文化に対する正しい知識を教え、異なる背景を持つ他者への寛容と相互理解の態度を養うべきである。また、社会的孤立は排外主義を強める要因なので、誰にも相談できず頼れない状況に個人が陥ることを防ぐ機会を提供する施策が必要である。(490字)

 

問2 

他者との共存に向けて地域社会の一員として私にできることは、他者との対話と外部の情報の摂取とを、積極的に行うことである。新たな人間関係を作るときには、偏見や予断を捨て、その人自身と直接に対話するとともに、自身の常識や習慣を相対化するためにさまざまな土地の文化や歴史を学びつづけることが重要である。(147字)

 

問3

自治体に求められるのは、地域住民と移住者との積極的な交流の場の提供である。なぜなら、資料A4が述べるように、地域の持続と発展にとって「よそ者」の視点は不可欠だからである。たとえば、公立学校で「多文化共生プログラム」を実施し、子供を中心に親世代も交えた異文化交流を実施する。これによって互いの文化を尊重するきっかけと雰囲気を醸成し、異質な者同士がネットワークを築くきっかけを与えることができる。(195字)

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