2020 埼玉県立大学 編入学・社会人特別選抜 小論文 模範解答

Ⅰ.
【問題1】
したがって、人間の手の道具としての性質のみに着目した研究開発などは、学術上の有用性は獲得し得ても、実用性という点では成立しなくなりがちである。

【問題2】
 2

【問題3】
写真の幼稚園児の義手は、跳び箱に対して身体を支える目的に特化した形状をしていることが伺える。しかし、写真のような義手は人間の手の形状とは著しく異なり、人間の手のように見えないことは否定できない。したがって、幼児が跳び箱に取り組む際には、自分の身体運動を補助するとはいえ、この義手が人間の手のように見えないという事実や、他の児童の視線にも晒されることに対して、幼児が「不快」と感じる可能性があると考える。というのも、課題文において述べられているように、義手の外観も重視されるべき機能であり、かつユーザーから求められてもいるからだ。それゆえ、義手の外観に視覚的な違和を感じることは、この幼稚園児や他の児童も例外ではないと考える。したがって、以上の「不快」を補う支援としては、跳び箱を飛ぶに十分な支えとなる強度を義手に持たせつつ、義手の形状を実際の人間の手に近いものにすることが考えられる。というのも、義手の内部に十分に丈夫な支柱となる金属等を備えれば、幼児の体重を支えることができると考えるからだ。(447字)


Ⅱ.
【問題1】
「トロッコ問題」が示す状況において、運転自動化なしの自動車の場合には、運転の主体は人間であり、運転手の倫理的判断や価値観に問題は帰せられることになる。他方で、自動運転車では、運転の主体がシステムとなり、このシステムにどのような倫理基準を持たせるべきか、また、倫理的判断を実際にプログラムに書き込むことの可否の問題が生じてくるため、「トロッコ問題」が議論されることになる。(185字)


【問題2】
第一に、自動車事故における賠償責任問題が挙げられる。従来は事故などの責任は運転者にあり、賠償責任の規定が明確であった。しかし、自動運転の事故では、車両運転の主体がシステムにあるために、事故の責任主体を誰が担うのかという問題がある。また、車両の故障、AIの判断ミス、道路等の公共インフラ側のセンサや信号などの故障など、従来とは異なる様々な原因が想定される。したがって、賠償責任に関して新たな法整備を行ったり、法的な構造を修正する必要があると考える。第二に、ハッキングや盗難対策から自動運転車をどう守るかという課題が挙げられる。なぜなら、自動車のIT化が進めば、インターネットにつながったパソコンと同様に、自動運転車もサイバー攻撃の標的となる恐れがあり、故意に事故が引き起こされる懸念もあるからだ。また、無人の完全自動運転車は、ハッキングによる車そのものの盗難の恐れもある。したがって、これまでとは異なったサイバー攻撃による自動車の盗難対策を講じる必要があると考える。(430字)


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