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2021年度 慶應義塾大学 経済学部 小論文 模範解答

設問1
筆者はローマで、売買のさいに人々が英語で会話し、ドルを使用していたことに目を留め、そこに「大きなアメリカ」を見いだした。大きなアメリカを成立させている条件は、基軸言語としての英語と基軸通貨としてのドルである。なかでもドルは、アメリカの介在なしに全世界で使われることで、アメリカが自国の生産に見合う以上にドルを流通させることができ、その分他国の製品を余計に購買できるようにしている。(190字)



設問2
支配関係は存在しないが、非対称的な関係にあるもののうち今後も続くと考えられる具体例として、私は大学における教員と学生の関係を挙げたい。大学では、教員も学生も学問の真理の前に平等な学徒である。教員は権威を笠に着て、学生に白いものを黒いと言わせてはならない。とはいえ、教員と学生が対称的な関係にあるともいえない。なぜなら、教員は豊富な知識と経験を背景として、学生を教え導くという立場にある以上、はじめから対等な関係ではないからである。では、学問における学生の責任はなにかといえば、教えを受けるという受動的姿勢に甘んじるのではなく、教員とともに探究活動に参与するという自発的姿勢をとることにある。大学における授業は、教員から学生へと一方的になされるのではなく、学生による能動的な質疑によって教員と学生が協働して構築すべきものである。このような師弟関係は緊張関係でもあり、これが学問の駆動力になるだろう。(398字)

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