2021年度 同志社大学 スポーツ健康科学部 AO入試 小論文 模範解答
「ゆる部活」の特徴は、特定の競技にこだわることなく多様な運動を行う点や、試合に勝利することなどの特定の目標に向かって活動するのではなく、広く生徒たちが運動することそれ自体を主眼とし、誰もが参加しやすい朝に実施されている点にある。したがって、「ゆる部活」の中心的なねらいは、生徒たちに何であれ運動をしてもらうことにあると言える。というのも、朝の短時間に多様な運動を無理をすることなく、気軽に行うことができる「ゆる部活」であれば、スポーツや運動が苦手であったり、行いたいと思うスポーツがない生徒であっても参加が可能であり、運動をする習慣ができると言えるからだ。
「ゆる部活」の活動が広がりつつある背景には、大きく二つの要因があると考えられる。第一に、これまでの部活動のあり方が問われていることにあると考える。なぜなら、近年の運動部は、部活動への強制参加や長時間の活動に加えて、暴力的な指導などの「ブラック部活」の解消が課題となっているからだ。その結果、これまでは許容されてきたり、あたりまえとされていた部活動の運営やあり方が見直される機運となり、これまでとは異なった運動部や部活動のあり方の一つとして、「ゆる部活」の活動が広がっていると考えられる。したがって、これまでの部活動のように参加を強制されたり、長時間の練習を強いられたりすることのない「ゆる部活」は、どのような生徒たちも気軽に参加することが可能であり、様々な運動やスポーツに取り組むことができる点が、生徒たちにも人気となり、「ゆる部活」が広がりつつある要因となっていると考える。
第二に、近年の子どもたちが運動不足にあることや、生徒たちの体力低下の問題があると考えられる。というのも、放課後、塾に通ったりお稽古事などの活動をする子どもたちもおり、現代の子どもたちは忙しく、学校の体育の授業以外では運動をする機会が失われていると考えるからだ。それゆえ、運動不足になれば体力が低下し、体力の低下は常に疲労を抱えたり、集中力の低下を招くため、子どもたちの学業にも大きな影響を与えることになる。また、このまま子どもたちが成人した場合、病気になる者の増加や気力の低下によって社会を支える力が減少し、少子高齢化進行するなかで、将来の我が国の社会が沈滞することも憂慮されている。したがって、こうした問題を解消するためにも、「ゆる部活」のような活動へ生徒たちに参加してもらい、生徒たちが運動をする機会を確保し、体力向上を図ることに資する点が、この活動が広がりつつある背景であると考える。加えて、特に都心部においては、子どもたちが運動をしたりスポーツをする環境が限られており、学校において子どもたちが運動をする機会を得られる点は、都心部において「ゆる部活」の活動が広がる要因となっていると考えられる。(1167字)