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2020年度 高崎経済大学 地域政策学部 一般入試 後期試験 小論文 模範解答


問1 

 公害問題の解決に向けて取り組みを進めていくうえで重視すべき点は、市民の当事者意識の形成と持続だと考える。資料A1が述べるように、公害に対して利害関係を持たない第三者というものは存在しない。日本の現状を鑑みれば、何をしようと、また何もせずとも、公害の増減を手助けすることになるからである。それゆえ、政府や自治体の広報や勉強会などの地道な啓発活動を通じて、誰もが公害の当事者だという意識の形成が重要である。
 同時に、公害問題は大気や水、土壌など、私たちの日常生活に密接に関わるものなので、その解決には現実的な取り組みが必要である。資料B2に見られるように、現在の生活水準を落とさず、できる部分から循環型社会に移行するべきという回答が全体の半数を占めることからも、極端な環境保護政策や公害対策は多くの支持を得られず、長続きしないだろう。
 しかし、資料B4で示される北京をはじめ、各地の大都市では大気汚染が深刻になりつつある。こうした現状を踏まえ、解決に向けた取り組みと生活水準を両立させるための粘り強い対話が必要となる。この対話の成立には、広範かつ持続的な当事者意識の形成こそが不可欠だと考える。(490字)

 

問2 

地域社会の一員として私にできることは、誰もが公害問題の当事者であることを自覚し、日常生活を無理のない範囲で見直すことである。たとえば、化石燃料の消費による大気汚染を食い止めるには、こまめな節電や、移動の際、歩いたり電気自動車や公共交通機関を利用したりすることが身近な対策になるだろう。(142字)

 

問3

「自らの救済にとどまらない運動の視野」とは、公害の被害者が、直接の当事者ではない市民からも支持を得て、環境再生のまちづくりを行うことを指す。資料B1で示されるように、大気汚染に対する人々の関心は高い。公害の被害者団体は、こうした事実を踏まえ、公害の実態と被害の実情を地域住民に広く知らせ、地域生協などと協力しながら、大気汚染の被害を地域住民自身の問題として捉えなおす機会を設けるべきである。(194字)

 

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