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2021年度 東京学芸大学 学校推薦型選抜 E類教育支援専攻 カウンセリングコース 小論文 模範解答


 ストレスとは一般に、身体的または心理的な安定が脅かされている状態と定義できる。私たちは日常生活において、こうしたストレスをしばしば経験する。これに適切に対応するには、ストレスを生じさせる要因を突き止め、その要因ごとに異なるアプローチをする必要があると考える。
 ストレスの要因としては、まず外的なもの、すなわちその人の外部の環境や出来事が考えられる。たとえば、家庭や学校、職場における人間関係がそれに当たる。また、目前に迫った試験や仕事で抱えている案件、毎朝乗らなければならない満員電車、経済的な不安定さなどもストレスを引き起こす外的要因に含まれるだろう。
 他方で、ストレスには内的な要因もある。これは心理的、身体的状態によって引き起こされるもののことである。たとえば、自分の容姿や性格についての劣等感が挙げられる。さらに、身体的ないし知的能力に対する引け目、病気や怪我なども含まれる。 
 こうした異なる種類のストレス要因に対しては、それぞれの種類に応じた対処法を見つけることが肝要である。なぜなら、適切な対処ができればストレスは解消されるからである。こうした対処行動には、大きく分けて二種類あると考えられる。
 ひとつめは、ストレスを生じさせている要因そのものに直接に働きかけるもので、「問題焦点化型」の対処行動と呼べるだろう。たとえば、自分が学習で行き詰まっているなら、効果的な学習法を身につけるための道を探ることが問題解決につながる。また、学校や職場の人間関係によってストレスを感じているのであれば、関係者同士の対話という行動によって互いの気持ちや考えを知ることで、不和の解消に至ることができるだろう。あるいは、当人同士ができるだけ関わらないようにすることで衝突を避けるという対処もありうる。いずれにしても、問題となっている事態に焦点を当てるのが、第一の種類の対処行動である。 
 第二に、情動焦点化型の対処行動というものもある。これは、ストレスを感じている自分自身の情動的側面に対する働きかけである。たとえば、明日の試験のことでストレスを抱えている場合、深呼吸をして体の緊張をほぐしたり、軽い運動をして気分転換をしたり、家族や友人と会話をして気持ちを落ち着かせたりすることが効果的だろう。また、さまざまな劣等感に対しては、専門家のカウンセリングを受けるということも、情動に焦点を当てた対処行動である。
 このように、私たちは日常生活のなかで感じるストレスに対して、まずその要因を把握し、その要因に即した複数の種類の対処行動を選ぶことで、ストレスを適切に制御し、健やかな生活を送ることができると考える。(1092字)

 

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