2019 京都教育大学 教育学部 数学領域専攻 学校推薦型選抜 小論文 模範解答
大問1
①
【1】
課題文の条件に合わせて、以下のように定める。
アキレスが秒速1m走るとする。
亀が秒速0.1mで走るとする。
両者のスタート時点での距離の差を10mとする。
この条件において、アキレスが亀に追いつくのをx秒後とすると、
1(m/s) × x(s) = 10(m) + 0.1(m/s) × x(s)
の式が成り立つ。この式を解くと、以下のようになる。
x =10+0.1x
0.9x =10
x =11.11111…
したがって、アキレスは亀に11.11111…秒後に追いつくことになり、少なくとも、11.2秒後には優に亀を追い越すことになる。
【2】
他方で、課題文にしたがってアキレスが亀に追いつく運動を無限の運動の和として考える。アキレスが亀に追いつくまでの時間を、アキレスが直前の亀の位置にたどり着くのにかかる時間の総和として考えた場合、アキレスが秒速1m・亀が秒速0.1mである条件において、
スタートから1.9秒後には、アキレスは1.9m地点・亀は1.99m地点(A3)にいる。
また、
スタートから1.99秒後には、アキレスは1.99m地点(A3)・亀は1.999m地点(A4)にいる。
さらに、
スタートから1.999秒後には、アキレスは1.999m地点(A4)・亀は1.9999m地点(A5)にいる。
時間の経過に伴って、この計算は、1.999999…秒後と無限に繰り返すことが可能である。しかし、「アキレスは亀に追いつくのに無限秒かかるか」と問えば、【1】よりアキレスは亀に11.11111…秒後に追いつくことが明らかである。
以上より、課題文の間違っている点は、「1.99よりも大きな1.999、さらに大きな1.9999…という数の操作を限りなく繰り返すことができる」という回数の無限と「いつまで経っても」という時間や距離の無限とを混同している点にあるといえる。実際には、時間や距離は有限であることから、【1】で示したように、アキレスは亀に追いつくことになる。
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