2020 順天堂大学 保健医療学部 推薦入試 小論文 模範解答
〈前半部〉
図からは、主な死因の構成割合が年齢・性によって異なることが読み取れる。たとえば、男女ともに5~9歳では「悪性新生物」<腫瘍>、「不慮の事故」、10~14歳では「悪性新生物」<腫瘍>、「自殺」が多い。また、男性は15~34歳では「自殺」「不慮の事故」、45歳以降では「悪性新生物」<腫瘍>、「心疾患」(高血圧性を除く)が多く、女性は15~24歳では「自殺」「不慮の事故」、25~54歳では「悪性新生物」<腫瘍>「自殺」が多くなっている。さらに、年齢が上がるにつれ「悪性新生物」<腫瘍>の占める割合が高くなることがわかり、男性では65~69歳、女性では55~59歳でピークを迎える傾向が見られる。他方で、70歳以上の高齢者では「がんによって死亡する割合」が低くなっていくとも判断できる。加えて、75歳以降になると老衰による死因が現れ、100歳以上では最も割合が大きい死因となることがわかる。(376字)
〈後半部〉
以上のような我が国の主な死因の構成割合を鑑みた場合、今後の医療職者はどのように医療に関わっていくことが求められるだろうか。年齢が上がるにつれ「悪性新生物」の占める割合が高くなる一方で、70歳以上の高齢者では「がんによって死亡する割合」が低くなっていくため、高齢者の特性を踏まえたがん対策が求められると考える。たとえば、副作用の強い抗がん剤の使用の可否や、根治を目指すのではなく、QOLの維持・改善を主目的とした治療プログラムの実施を行うべきではないのかといった議論が必要となる。したがって、理学療法士や診療放射線技師は、高齢者の病状や希望に合わせた理学療法や放射線治療のあり方を患者に提案したり、探求を行う必要があると考える。さらに、自身の専門分野にとどまらず、患者が退院後、自宅で過ごすための動き方や道具の提案や、就労支援といった社会復帰への支援も行っていく必要があると考える。(387字)