2020 大阪府立大学 地域保健学域 看護学類 一般入試(前期) 小論文 模範解答
問題Ⅰ
問1
農業によってやせた土壌が風や雨水によって流出する「土壌浸食」や、肥料の利用によって土壌表面に栄養分が蓄積し、植物が育たなくなる「塩類集積」に加えて、農業の発達と拡大による地球規模の水不足などが、著者が考える農業による環境破壊である。(116字)
問2
毎年、同じ農作物を連続して作ると、うまく育たなかったり、枯れてしまう現象である連作障害を考慮して、ヨーロッパでは地力を回復させるために混合農業が行われており、ムギが収穫できるのは数年に一度である。しかし、日本において、毎年イネの栽培が可能である点が特別にすごいことである。なぜなら、田んぼに水を流すことによって有害物質を洗い流したり、病原菌の増加を抑制し、連作障害を起こすことがないからである。(197字)
問題Ⅱ
問1
下線部(A)に不遜なところがあると言われるのは、この言葉が偶然の出会いや出来事をまったく考慮せずに語られており、〈わたし〉の生の持つかけがえのなさという特異性が他者との関係から偶然に生み出される点がまったく想像されていないからである。
(117字)
問2
「老い」が「問題」としてしか問題にならないのは、「老い」が老いゆく人を介護する側からばかり語られるせいで、本来は自然過程であるはずの「老い」が「問題」として立ち現れるからである。つまり、社会における生産主義や資格主義の観点からすれば、老いは社会において「不要」なものとして扱われざるをえず、「不要」な高齢者をいかに養うかという問題ばかりが「老い」についての言説の中心となる。しかし、福祉の達成がいかなる人の存在も肯定するという理念から始まるのであれば、「老い」についての語りをいかに聞き取るかが問題である。なぜなら、引き返しの不可能な「老い」のなかに、その人の存在の特異性が現れるからである。(296字)