2023年8月【スタートアップ】 注目の動き・ニュース
政策共創プラットフォーム『PoliPoli』(https://polipoli-web.com/)を運営する事務局が、2023年8月の「スタートアップ」に関する注目ニュースをお届けします!
(1)2024年度、経済産業省の概算要求等概要が公表
毎年8月は、各省庁が翌年度の予算編成に向けて、注力する事業とその見積りの要求書を財務省に提出を行う月で、各省庁の方針が数字となって現れる重要な月です。
経済産業省でも「令和6年度経済産業省関係 概算要求等概要」や税制改正に関する要望が公開されました。
注目すべき点は、再生可能エネルギー等の技術をはじめとした脱炭素を目的としたグリーントランスフォーメーション(GX)推進対策費で、今年度より約6000億円の増額要求、かつ複数年の予算を約束する国庫債務負担行為で約7700億円を活用することを新規要求していることです。複数年の予算を認めることで、企業が不確実性のあるGX投資に取り組む活力にする狙いがあります。
また、スタートアップ育成やイノベーションエコシステムを目的にした予算もそれぞれ増額要求されました。税制改革面では、人材確保を目的にした税制適格ストックオプションの利便性向上のための見直し、資金供給を促すためのエンジェル税制の検討など、スタートアップの強化をしていく狙いがあると考えられます。
(2)イノベーションボックス税制創設について、各省庁から共同要望を受ける
各省庁から、概算要求と併せて提出されるのが、税制改正要望です。これは現状の税制でどのような問題点があるのか、どのような理由で改正を望んでいるのかを記載した要望書で、財務省に提出されるものです。
2024年度の税制改正要望では、「イノベーションボックス税制」の創設について、経済産業省、農林水産省、内閣府から共同で要望が提出されました。
イノベーションボックス税制とは、特許等の知的財産から⽣じる所得に優遇税率を適⽤する制度で、研究開発成果の社会実装へのインセンティブを設けることで、日本の研究開発拠点としての立地競争力を向上させることを目的にしています。元々欧米を中心に導入されていたものですが、近年アジアにおいても導入や検討が行われており、現在は海外と比較して、知的財産に対するメリットが低いという課題がありました。
今後、与党税制調査会にて各要望が審議され、年末ごろに与党税制改正大綱が発表される予定です。
(3)経済のデジタル化等に合わせた国際課税制度の検討が始まる
経済産業省は、8月に公開した税制改正要望でデジタル経済に合わせた課税制度の導入・検討を行うことを発表しました。
近年、デジタルサービス市場が拡大しており、多くの国民がデジタルプラットフォームを通して、ゲームや商品の購入を行っています。本来、消費税の納税義務はプラットフォームに商品を出している事業者にありますが、海外の事業者に対して納税の調査・徴収に限界があるのが課題です。
オンラインゲームの市場規模は、2024年には約5兆3000億円と予想されており、アプリストアの売上額の上位50位の30〜40%が海外製品という指摘もあります。
国際租税ルールについては、2021年10月にOECD/G20で最終合意されています。市場国に支店等の物理的拠点を持たずとも、一定の売上がある場合は、市場国に課税権を配分するルールについては、2023年後半に多数国間条約の公表と2025年中の施行を予定にしていることから、日本国内でも法制化が進み始めた背景があります。今後も国際ルールに合わせた法改正が進む予定です。
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