第162回若手・中堅による政策勉強会(広がれツーリストシップ!〜持続可能で高め合う観光の創出に向けて〜/講師:田中 千恵子 (一社)ツーリストシップ 代表理事)を開催しました
2024年12月12日(木)、(一社)次世代政策デザイン研究所は、 第162回若手・中堅による政策勉強会を としま区民センター 及び テレビ会議システム にて開催し、田中 千恵子 (一社)ツーリストシップ 代表理事より、「広がれツーリストシップ!〜持続可能で高め合う観光の創出に向けて〜」と題してご講演いただくとともに、質疑応答・意見交換を行いました。
講師の田中さんからは、冒頭、京都での大学生時代に地元の人との交流を通じて分かった観光客に対する冷めた見方とご自身の様々な旅行体験を通じて、旅先に負荷をかけない、あるいは地元の人に「来てくれてありがとう」と思ってもらえるような旅行の仕方はどうあるべきか真剣に考えるようになった、という創業の思いについてご紹介いただきました。
その上で、(観光関係者が観光推進の理由として持ち出す)「観光は平和産業」というお題目が(少なくとも一部の地域においては)現実にはそうなっていない、地元住民の来訪者への反発・ヘイトを招いているという現状を指摘。
地元住民から見て「不適切」に見える来訪者の行動を分析したうえで、旅行者が旅先での自身の行動を意識するためのキーワードとして「ツーリストシップ®」ということを考えたこと、「ツーリストシップ®」を普及させるためのメインの活動としての「旅先クイズ会」(観光地で観光客対象にクイズイベントを開催)のほか、各種講演活動や教育機関と連携した修学旅行学習、自治体と連携した調査や掲示物作成等の各種活動をされていることについてご紹介いただきました。
勉強会後半の質疑応答・意見交換では、もともと観光地でなかった地域に急激に観光客が増え、地元の人の観光に対する嫌悪感を感じて悩んでいたところで(一社)ツーリストシップと出会い、観光客とコミュニケーションを取れば取るほど地元の人の観光客に対する印象も良くなっていることがわかったので、観光客に地元の人やコンテンツを深く知ってもらう機会を積極的に創出するようになったというエピソードの紹介がありました。
質疑ではさらに、オーバーツーリズムが人口減少など地域の衰退を招くこと、可能ならオーバーツーリズムになる前から「ツーリストシップ®」の普及活動等の対策を取る必要があること、観光事業者にもツーリストシップを普及拡大していったほうが良いこと、多くのローカルの飲食店においても観光客とのコミュニケーションに工夫の余地があること、旅先クイズ会等のリアルな交流以外の「ツーリストシップ®」の普及策等について、活発な意見交換が行われ、講師にも時間の許す限り丁寧に回答・コメントを頂きました。
講師の田中さんおよび参加者の皆様に深く感謝申し上げます。
(一社)次世代政策デザイン研究所では、2025年2月頃まで、コロナ後の持続可能な観光立国の実現(観光立国4.0)をテーマとした勉強会を継続して参ります。地域住民の生活や環境とも調和しながら、地域や国を豊かにする観光をどうやって実現していくか、皆様も議論にご参加頂ければ幸いです。
なお、次回の第163回勉強会は、2025年1月24日(金)の19:00から、「グランドハンドリング業界の持続的発展に向けた現状と課題、現場の取組み(仮題)」について、小山田 亜希子 全日本空輸株式会社 上席執行役員 オペレーションサポートセンター長にご講演いただき、参加者の皆様と種々意見交換いただく予定にしております。新規ご参加の方も含め、多くの皆様のご参加をお待ちしております。