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胸糞悪い話(おまわりさん、私いくらお金取れますか?)
警察官として勤務していると普通では知りえない情報を手に入れ、その結果逆に胸糞悪くなるということがあります。
今回はそんな話を2件、私の実体験からご紹介します。
おまわりさん、私いくらお金とれますか?
彼氏に腹を殴られたという通報でアパートの一室に臨場しました。部屋には腹を押さえて横たわっている若い女性とその彼氏がいました。
彼氏も暴行を認めています。
この手の事案、事件化するかどうか微妙なところです。夫婦や恋人同士の場合、その時は怒りや助けてほしいという一時の感情で警察を呼んだものの、翌日には仲良くなって被害を取り下げるという可能性があるからです。
そんなことになると被害者調書もとれないし、そもそも被害届も取り下げられるとちゃぶ台返しみたいなものです。
ですので現行犯逮捕せずに、少し落ち着いてからどうしても事件化したい場合は再度警察に被害を申告するように案内することもあります。
しかし、この数日前、「警察に相談を重ねていたDV被害者が夫に殺される」という事件が世間を騒がせていました。
自分も何度も刑事課に電話をかけて確認したのですが、結局刑事がDVに非常に敏感になっていて現行犯逮捕することになりました。
手錠をかけ、署の自ら隊が被疑者を署に連れていきます。自分も署で逮捕手続書を書かなければなりません。
被害者と一緒に本署に行こうとミニパトに乗って運転していたところ被害者が声をかけてきました。臨場してから苦しそうにうんうん唸ってばかりだった女が声をかけて来たのです。
「おまわりさん、この件で私あの男からいくら取れますか?」
仕方ないので、「警察の仕事は刑事手続きを通して被疑者を処理することです。民法上の不法行為による損害賠償などには関与してませんので弁護士さんと相談してみてください。」と上辺だけの返事をしました。
こっちは逮捕するかしないかで頭悩ませて、やっと逮捕する決断をしたのです。彼氏が暴行をしたのは事実ですから、刑事手続きを警察がするのは当然です。
しかし、民事と刑事は全く別物です。
刑事手続きに必死な警察に向かって畑違いのお金の話をするのはやめてほしいですね。
浮かばれねーな
次は婚約者を殺された彼氏の胸糞悪い話です。
この事件は当時全国ニュースになり連日大々的に報道されました。特定を避けるために事件の説明は全て省略します。
当初捜査本部は彼氏が彼女を殺したと疑い彼氏は徹底的に調べられました。(実際は彼氏は被疑者ではありませんでした。)
その捜査の過程で、彼氏が浮気をしていること、葬式や通夜の最中にまで浮気相手にLINEで「次、いつ会える?」などというメッセージを送っていたことが分かりました。
逆に浮気相手の女性からLINEで「こんな時にそんなこと言うのやめなよ。」などとたしなめられている有様です。
このような情報は事件の起きた署で勤務していると、捜査本部にいる同僚から聞いたりして特に知ろうとしなくても知ることになります。
事情を知らない市民の方から見たら「婚約者を殺されたかわいそうな青年」ですが、警察署内ではそんな風には全然思ってなかったわけです。
もちろん被疑者ではないので、あくまで道徳的倫理的な問題ってことになるんですかね。
でも、無残にも殺された彼女がその浮気男と婚約していたことを考えると、「浮かばれねーな」と胸糞悪くなったのを覚えていますね。
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