交番勤務員の職質(またお前らか!今日3回目だぞ!)
職務質問強化月間
今回は職務質問について書きます。職質というのは特殊な部署が専門的にやっているイメージがあるかもしれません。
しかし、実は地域警察官(交番のおまわりさん)も職務質問をしなければならないのです。
交通取締は1当直で1,2件の検挙。職務質問は1年で1,2件の検挙を求められるといった感じですね。
特に職務質問は「職務質問強化月間」というものまで設定されていて、検挙が強く求められます。
1年で1件も無いと、上司からのプレッシャーや勤務評定が気になってきて当直中も職務質問をやる羽目になります。
しかし、不思議と職務質問をやらなければいけない状況に限って当直が忙しかったり、在宅検挙を持ったりでなかなか職質できないものなんです。
ですので強化月間中や年度の早いうちに何とか最低1件は確保しておきたいところです。1件あればまぁ一息つけるといったイメージですね。
交番勤務して最初の1年くらいは自転車の職質ばかりやってました。自転車の検挙は地域警察官の宿命です。手軽に実施できて、それなりに検挙が見込めるからです。
防犯登録番号や車体番号から照会をかけ、盗難自転車ではないか、登録者と運転者の名前が同じか、等を確認します。
当たれば自転車の窃盗で刑法犯の検挙1件となります。これが一番良いんですが、窃盗というのはなかなかありません。
そこで、占有離脱物横領での検挙も狙います。占有離脱物横領というのは、簡単に言うと盗まれて乗り捨てられていた自転車に乗っていた場合等が該当します。
自分で自転車の鍵を破壊したり、敷地内に侵入して積極的に盗んだわけではないが、持ち主の占有を離れた自転車を勝手に使っているという状態です。
窃盗にしろ占有離脱物横領にしろ、肌感覚的に自転車50~100台に声をかけて1件ヒットするくらいでしょうか。統計を取ったわけではないので分かりませんが、それくらいだと思います。
正直、自転車の職質は迷惑がられるので嫌なのですが、仕事なのでやるしかありません。雨の日は自転車を止めると特に嫌がられるので気が引けます。
またお前らか!と言われたら…
「またお前らか!お前らで今日3回目だぞ!」と言われることもあります。職務質問強化月間になると隣の交番でもどこでもやっているんだからそうなりますよね。
しかし、警察官の場合「3回目ですか。それは失礼しました。どうぞ行ってください。」とはなりません。相手が嘘をついている可能性がゼロではないからです。
被疑者というのは往々にして嘘をつきます。実際、こうやって逃れようとした人が乗っていたのが盗難自転車で検挙したこともあります。
とにかく、職務質問強化月間は日勤も使って自転車に声をかけまくります。そして照会かけまくります。
日勤で職質する場合、通常の事案の指示を出す無線指令台を塞がないように、自転車照会用の無線当番も署にスタンバイします。
ほとんどが善良な市民ですからこの自転車の職質って止める度に迷惑かけてる気がして、あまり好きになれなかったですね。
次回の職質編は職質の面白さについてお話します。