江蘇省の火鍋店でボコられて、中国公安に事件をもみ消された話
中国江蘇省の日本語学校で勤務していた時、火鍋店で食事をしてトラブルに巻き込まれました。
中国で生活し、公安(警察)に事件をもみ消された経験を持つ日本人は少ないと思いますのでオススメです。
是非読んでいってください。
火鍋店
中国の江蘇省で働いていた時のことです。
意外な程安い値段で火鍋(中国のしゃぶしゃぶみたいなもの)の食べ放題が食べられる店を見つけました。
調味料も充実し、牛肉と羊の肉がお替り自由です。
初めて行った時、同僚と一緒だったのですが、この値段で相当お得だと喜んで食べまくりました。
その一週間後、再び同僚とその店へ行きました。
それが運の尽きです。
前回と同じく調子に乗って肉を頼みまくり、食いまくります。
しかし、2人とも男とはいえ、そんなに肉ばかり食べ続けられるものではありません。
限界が来て腹がポンポンになります。
しかし、羊と牛の肉がほぼ手つかずで一皿ずつ残っています。
始まった…
「まぁ前回も皿の半分くらい肉を残したけど何も言われなかったから大丈夫だろう。」と安易に考えて会計へ行きました。
すると40前後の女の店長らしき人間が出てきて、「お前らは肉をたくさん残したから、通常の代金と罰金100元を払え」と要求してきました。
(あぁ、やっぱりか。あんだけ残したらそら目立つよなー、仕方ない。)と私はすぐに考えたのですが、同僚は中国人で気が短いので食って掛かります。
「そんなことはどこにも書いてないし、店に入る時も言われてない。」「今、急にそういうことを言ってくるのはおかしい。」
「今度から店内に掲示しておけ。」等です。
まぁよくこういう言葉が次々出てくるな、と感心します。
口喧嘩の強い人って本当に羨ましい。
中国人は基本的に日本人のように謝る習慣はないので、売り言葉に買い言葉ですぐにヒートアップしていきます。
それでも、つかみ合いとかまで発展することは滅多にないですね。
何を言っているかハッキリは分かりませんが互いに暴言を吐いています。
もう結構な騒ぎになっていて、遠巻きに見ている人もちらほらいます。
私はもともと穏やかな性格ですし、中国では外国人という立場なので少し動揺し始めていました。
友人に「もういいよ。罰金100元払おう。」と言いますが、全く聞いてもらえません。
ヤバい!
やがて友人がスマホを取り出して「お前を撮影して、ネットにアップする」と言い放ちました。
しかし、スマホを女店長に向けた途端、女店長はカウンター越しにサッと手を伸ばして友人のスマホを奪い取りました。
スマホを向けられても、ためらうことなく一瞬で奪い取るなんて流石です。
それを取り返そうと友人がまた手を伸ばしてもみ合いになりました。
二人でもみ合いになって暫くしたところで、厨房から店長の仲間が7,8人飛び出してきました。
3、4人のエプロンを着た男が友人を押さえつけているのが一瞬見えました。
かと思うと、私も数人のエプロン男に囲まれました。
羽交い絞めにされ、腕や肩を押さえつけられ全く動けません。
これはマジでやばい!
と思った時、私の友人が「悪かった!助けてくれ!」と叫んでいるのが聞こえました。
すぐに私も腕を離してもらって解放されました。
いやー、冷や汗かきましたね。
厨房の連中だったから包丁持ってきて刺されるんじゃないか、と想像して寿命が縮みましたよ。
友人は店員に囲まれた後、店長から肩甲骨のあたりを思い切りスマホで叩かれたそうで、肩の辺りがどす黒く変色しています。
しかし話はこれで終わりませんでした。
代金と罰金を払い、階段を下りて1階に行きました。(火鍋店は2階)
すると友達は公安に電話をかけているようです。
「店で暴行された。来てくれ。場所は……」と聞こえてきます。
公安臨場!
10分位して「公安」と書かれたパトカーが来て、中から3人の制服警察官が警棒を持って降りてきました。
日本では公安というと公安調査庁や警察の公安係などのように情報収集活動をしている、というイメージがありますよね。
中国では公安と警察はほぼ同義です。
さて、友達は警察官に事情を話しながら2階に戻って行きます。
自分は中国の公安に日本人と知られたくないので少し離れて2階に戻ります。
暴行のあったレジ前で警察、友達、店長がしばらく話しています。
やがて彼らが歩き始めました。
友達が私の近くに来ます。「今から警察署へ行く。お前も暴行されたんだから一緒に来い。」とのこと。
(おいおい、もういいよ。ただでさえ、日本人ってバレたくないのに今から警察署へ行くだって?勘弁してくれよ。)
と内心では思いましたが、とっさにどう返事をしてよいのか分からず、警察署へ行くことになってしまいました。
パトカーに乗り、警察署へ向かいます。パトカーに乗っていたのは10分くらいです。
道中、パトカーの中で3人の中国人警察官が、おしゃべりをしながらゲラゲラ笑っているのが非常に腹立たしかったですね。
私が日本で警察官だった時は事件当事者の前でおしゃべりなどしません。
厳正な態度の保持に努めます。
ですから中国の公安の思考回路が理解できません。
警察官はゲラゲラ笑っていても、火鍋店の店長、友達、私は何一つ話しませんでした。
当たり前ですね。
パトカーに乗り、警察署へ到着しました。
警察署へ着くと何やら火鍋店の店長が警察官に話しかけています。
この時、店長が携帯電話で私の友達を叩いたことを認めている声が聞こえてきました。
そして、その後も警察官と何かを話しています。
「ん、これはもしかしたらもう帰れるかもしれないぞ。」と期待が湧いてきました。
すると警察官が私と友達の所に近づいて来て言いました。
「彼女は暴行したことを認めている。200元(当時3000円程)払うとも言っている。被害届を出さずにこれで終わりにしたらどうだ?」
しかし友達は「金は要らない。あの女に適切な罰を与えたい。だから被害届を提出する。」
全く譲る気配がありません。
警察官が店長、友達の間を何度も行ったり来たりして話しましたが警察も諦めたようでした。
もう夜10時になろうという時間で、翌日も仕事があります。
私も早く帰って寝たかったのでイライラしていました。
もう終わりにするように友達に強く言ったのですが、友達の意志は固く変わりません。
友達「叩かれたのは俺なんだから、俺が決める。」
(いや、俺も腕を掴まれているし、暴行受けてるよ。)と内心では思ったものの、上手く言い返すこともできず終始友達のペースで進みます。
中国公安局での一晩
ここで警察から携帯電話を提出するように言われます。
店長、友達、私は携帯を提出して2部屋に分けられます。
店長が1人で小部屋へ入ります。
私と友達が別の小部屋へ入ります。
ん?これは一体どういうことだ?
なぜ暴行を受けた我々まで警察に携帯電話を預け、小部屋に入れられるんだ?
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