警察の仕事ってどうなの?(霊安室に運ばれた先輩たち②)
私の知り合いで、残念ながらお亡くなりになり、署の霊安室に運ばれた先輩たちの話です。
今回は前回ご紹介できなかった2人について書きます。
是非読んでいってください。
霊安室
警察署には霊安室があります。
事件や変死でお亡くなりになった方を一度警察署へ運び安置します。
必要な捜査や調査が終了次第、ご遺族の方へ引き渡します。
ここに同じ警察署で昨日まで一緒に働いていた警察官が運ばれてくることがあります。
霊安室に運ばれた先輩たち
私は警察官を7年やりました。
その7年で知ってる警察官が所属署の霊安室に運ばれてきたのは3回。
つまり3人です。
もちろん3人とも顔を合わせたことがある人達です。
よく話した人もいます。
なぜお亡くなりになったのか。
殉職ではありません。
警察官の殉職というものは私が現職の間、身近では見たことも聞いたこともありません。
3人の死因は全員自殺です。
今回は2人ご紹介します。
50代、巡査部長、鑑識
鑑識係の50代の巡査部長S。
この人は現場で顔を何度か見たことがあるくらいで話をしたことはありません。
原因もよくわかりません。
噂で聞いた話では家庭内に問題があったようですが、それが原因なのかもよく分かりません。
この人も首吊り自殺で現場は自宅でした。
40代、巡査部長、地域課
地域課通信指令台の40代の巡査部長Dです。
この人は私が初任科を卒業したてのころから地域課の通信指令台の担当をしていました。
警察官にしては珍しく穏やかで丁寧な人だったので初任科卒業後、聞きにくい質問もこのD部長にはよく質問して教えてもらっていました。
しかし、留置場に行った後はあまり顔を会わせることはありませんでした。
非番の朝、喫煙所でたばこを吸っていると刑事課の先輩が入ってきて、「こんなとこでタバコ吸ってないで、早く霊安室行ってD部長に手を合わせて来い。」と言ってきます。
何を言っているのか分からなくて、最初は冗談かと思いました。
どうやら昨晩わたしが留置場で当直している時間に、自宅で首を吊っているのが見つかり、刑事が臨場して霊安室に運ばれたという次第です。
原因はパワハラです。
地域の課長(階級は警視)と地域の指導係の係長(警部補)に毎日のようにバカにされていたそうです。
地域課の部屋では周知のことで当たり前だったらしいのですが、私は全然知りませんでした。
自分が留置に異動してから1年、「そんなことになっていたなんて」と、やるせない気持ちになりましたね。
葬式での出来事
前にも書きましたが、階級が2つ違ったら警察組織ではパワハラで自殺に追い込む事は簡単です。
さて、この地域課長と係長はD部長の葬儀に来ました。
しかし、D部長の奥さんに断られて入ることができずに帰って行きました。
この葬儀には私も参加していたのですが、奥さんのあの様子、忘れられないですね。
遺書にパワハラをした地域課長たちの名前が書いてあったそうです。
俺も…
警察をやっていると、知らない人の自殺やご遺体にはだんだんと慣れていきます。
しかし、同じ署で知っている人が亡くなると、その衝撃は大きいです。
突如として、自分の身近に死が忍び寄って来るのがいつもよりリアルに感じられます。
自分もいつかこうなるかもな、と漠然と不安になってしまうこともよくありました。
そうならなくて本当に良かったと思っています。
今回は以上になります。お読み頂きありがとうございま