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残念な警察官っているの?(眉毛を剃った巡査)

眉毛を剃った残念警察官の話です。

是非読んでいってください。


ナメられたくない


私が留置場で働いていた時のことです。

朝礼で、「刑事課で眉毛を剃った警察官がいる。けしからん。そういうことは絶対しないように。」という訓示がありました。

眉毛を剃った理由は「取調べの時に被疑者からナメられたくない迫力を出したかった。眉毛を剃れば迫力が出ると思った。」だそうです。

まず刑事課で問題になり、署の全体朝礼で取り上げられたのです。

眉毛を剃ったら被疑者からナメられない、と考えるのはよく分かりません。

しかし、被疑者からナメられたくないという気持ちは痛いほど分かります。

取り調べの可視化


ちょっと話が逸れますが、取り調べの可視化という言葉を聞いたことがありませんか?

密室で行われる取り調べを録画して、冤罪を防ぐんですね。

今は裁判員裁判対象事件等に限られているようです。 

いずれは全ての事件が可視化の対象になっていくかもしれません。

捜査官は録画されているとどうしても威圧的な態度や言動を取りづらいでしょう。

冤罪や捜査手続きの適正化には非常に有効だと思いますね。

だからといって被疑者に対して、丁寧な言葉遣いで、「どこに凶器を捨てたんですか。教えてくださいよ。」と言っても絶対に被疑者はオチません

ナメられて終わりです。

机を叩いたり、暴言を吐いてはいけませんが、やはり迫力が必要になります。

「それが冤罪を生む温床になっているんだろ。」と言われたら、そういう側面もあるのかもしれません。

しかし、それは犯罪をする人間とほとんど関わったことがないからこそ言える綺麗事である、とも言えます。

警察官が日々対峙している被疑者は、そんな生易しい連中ではないのです。

入れ墨だらけ、自分への差し入れや量刑ばかりを気にします。

共犯者や手下に対して、留置場内で大声で脅迫します。

気に入らない奴がいれば留置場内でも飛びかかって襲います。

大部分がそんな連中なのです。

なんか、眉毛を剃った警察官を擁護してしまうような流れになってきたので、話を戻します。

とにかく、被疑者にナメられたくないという気持ちはよくわかります。

眉毛を剃った奴は誰だ?


さて、眉毛を剃った警察官とは一体誰なのか。

気になります。

同じ署で働いているわけですから、必ず顔くらいは見たことある人です。 

こんなことをするのは、刑事課に行って間もない奴に違いない。

情報収集のため、非番に喫煙室で先輩や後輩が入ってくるのを待ちます。

こういう時、留置場で働いていると不利です。

留置場から出るのを許されていないので、先輩後輩に会う機会が極端に少なく、署内の情報に疎いのです。

かと言って、朝礼の時に統括官に「眉毛を剃ったのは誰ですか?」等と聞けるようなユルい組織ではありません。

もし、そんなことを統括に聞いたら必ず地雷を踏むことになりますので、自分で調べるしかありません。

さて、交番勤務の後輩を捕まえて聞いたところ、眉毛を剃ったのは、この署に8年も在籍している刑事課盗犯の先輩だと言うことが分かりました。

でもあの先輩、もう刑事課に行って5年くらい経つはずなのに。

意外でした。

てっきり刑事課に行って1年くらいの新人がやったのかと思っていました。

刑事課に行って5年が経っても、取調べや被疑者対応が思うようにいかず、彼は彼なりに仕事に悩んで眉毛を剃ってしまったのでしょう。

その眉毛を剃った先輩は新人に厳しくて、私も警察学校を卒業して間もない頃は何回か怒鳴られました。

眉毛を剃るなんて、バカなことをしたものです。

残念な警察官であるのは間違いありません。

でも、「ざまみろ、あの野郎」とは思えませんでしたね。

5年間も刑事で頑張って来ても、被疑者にナメられたくない一心なのか。

自分でバカなことをしていると気づかないくらい追い詰められてしまうのか。

ちょっと考えてしまう出来事でした。

今回は以上となります。
お読みいただきありがとうございました。


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元警察官日本語教師
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