
「城管」と「烧烤店」の攻防(中国の国家権力)
私が中国にいた頃、よく目撃した中国の公務員「城管」と「烧烤」という移動露店型バーベキューの攻防です。
是非読んでいってください。
城管とは
中国には烧烤(シャオカオ)と言うバーベキューの店がたくさんあります。
日本のものとはちょっと味が違う中国版バーベキューの店なんですが、美味しくて安いのでよく利用してました。
この烧烤、日本の焼肉屋のように自分で焼くわけではなく、野菜や肉を選んだら店主に渡して炭火で焼いてもらいます。
焼けたら店主が持って来てくれます。
私が初めて中国へ行った頃は、この烧烤も移動式の露店みたいな感じで、夜な夜な住宅街の路地に現れて深夜になったら帰っていきました。
何日も連続で来ては、ある日、突然来なくなったりします。
客の多い場所を選んで移動を繰り返していたんでしょう。
さて、この烧烤、焼く時に大量の煙が発生します。
中国の都市部もマンションに住む人が多く、だんだんとルールがうるさくなってきたのでしょう。
こういう露店は特に許可されている場所以外はできなくなったようです。
烧烤の店をやりたいなら、きちんと店舗を借りないとダメってことですね。
しかし、そこは中国。
庶民は常に対策をして抵抗します。
大人しく「はい、そうですか」とはなりません。
ゲリラ的に移動を繰り返しながら商売を続けます。
これを取り締まる「城管(チャングアン)」という公務員たちから逃げているのです。
ちなみに「城」は街、「管」は管理の意味です。読んで字の如く、街を管理する仕事ということですね。
この「城管」の連中は街でよく見かけます。
「城管」と書かれた服を着ているのでわかるのです。
昼間に網を持って川沿いにいたり、夜中にこの烧烤の露店を追いかけたり。
何でもやるんだなという印象でした。
さて、城管が逃げ回る露店の烧烤の店を発見した場合、どうなるのでしょう。
第一の視点:城管
まず城管の立場から見ていきましょう。
彼らは警察のように店主を取り押さえたりはしません。
道具(車や調理器具)を押さえるのです。
それを没収して立ち去り、後日罰金を支払ったら道具を返すという流れです。
第二の視点:店主
次に店主の立場から見ていきましょう。
城管の車が来てもまさに今、肉や野菜を焼きながら、客に提供しようとしているのです。
道具を置いて逃げても仕方ないので店主は逃げません。
城管に文句を言ったりするものの、暴れているのは見たことはありません。
その後、少しでも客から代金を回収しようと動き回ります。
道具が全部没収されたらとぼとぼと家路に着きます(多分)。
さてこの烧烤の露店ですが、大体3台から5台くらいの車が連なって同時に営業しています。
顔見知り程度なのでしょうが、仲間ではありません。
彼らは城管に食いつかれた店の道具がどんどんと没収されていくのを尻目に、すぐに自分たちの道具を車に積み込んで逃げて行きます。
城管も別に追いかけず、一軒に集中します。
これはある意味、魚や鳥の群れのような生存戦略と考えて良いでしょう。
集団を作ることによって自分が捕まるリスクを下げているのです。
第三の視点:客
最後に客の立場から見ていきます。
食事している客のところへ店主が金を回収しに来ます。
中国では、全部食べ終わった後で値引き交渉をしながらお金を払う流れが普通です。
店主は道具が没収され始めている状況で、城管を相手にしながらの代金の回収です。
容易ではありません。
金を払わずにそっと立ち去る客もいます。
逃げてない客も、「請求された額が違う」「そんなに食べてない」「今食べている途中だから払う必要は無い」「まだ提供されてない」等、色々なことを言い、店主を惑わします。
私の勝手な感覚ですが、何度も見てきた経験上、こういった時に自分が食べた分を正直に申告する中国人はまずいません。
こんなのは店主からしても、どの客がどれだけ食べたかなど混乱の中では、よく分かりませんからね。
はっきり言って客が有利です。
店主は回収できるだけの金を回収したら、城管の作業が終わるのを待ちます。
後日、罰金を払って道具や車を返してしてもらい、また夜のゲリラ商売をするのですが、罰金は1万とか1万5千元とか喰らいます。
多分1日の売上は良くても2000元とかでしょう。
結局、何度も捕まると割に合いません。
じわじわと烧烤の露店は夜の路上から姿を消していきました。
仕事帰り、よく利用していた私としては楽しみが減ってしまいましたね。
烧烤は調理で煙が出るし、すぐ逃げるのも難しいので、生き残るのは難しい商売だということでしょう。
今回は以上となります。
お読みいただきありがとうございました。
いいなと思ったら応援しよう!
