留置場ってどんなところ?(どれくらいの期間留置されるの?)
水攻め
私は警察官時代、留置場で1年半ほど勤務していた経験があります。
私が勤務していた留置場は最大で30人以上収容できる県内でも比較的大きい留置場でした。
収容定員限界まで入ったのは見たことないですが、26,7人まで入ると看守勤務員が増えるわけではないので大忙しです。
うちの署では被疑者から要求されたら水をコップに入れて房まで持って行くスタイルでした。
他の署では3時間おきに一斉にコップに水を入れて配り、それ以外の時間は水をあげない等、やり方は署によって違います。
要求されると持って行くスタイルの場合、よく水を飲む留置人がいたら何度も水を持って行かなくてはなりません。
留置人はとにかく暇なので水をやたら飲む奴もいます。我々はこれを水攻めと呼んでいました。
暇だから何度も水を飲むやつも多いんですが、水を要求されたら看守が持ってくるというシステムを分かって悪意を持って何度も水を要求してくる奴も確かにいたからです。
どれくらい留置されるの?
さて、基本的に通常逮捕されて入ってくる被疑者は取調べのために勾留(簡単に言うと留置期間の延長)されることがほとんどです。
だから、入ってくると最低10日、普通は再勾留されて更に10日、起訴されると拘置所に移送される順番を待つので、2,3ヶ月コースで留置場にいることがあります。
勾留されなければ48時間以内に釈放です。
勾留されたらプラス10日、再勾留で更にプラス10日です。
私は最大で1年以上留置場にいた奴を見たことがあります。
何故そんなことが起きるのか。
逮捕→勾留→起訴というのが一般的な流れです。
不起訴や起訴猶予になれば釈放です。
ところが、いくつも事件を犯している奴は再逮捕されます。
すると1つの事件毎に逮捕→勾留→起訴の流れが繰り返されるのです。
ちょっと分かりづらいと思うので、例を挙げます。
まず最初何かの事件で逮捕されたとしましょう。
例えば、その事件が勾留→起訴となります。
起訴されると被告人となり、そのまま留置場に残ります。
そして、被告人が行くべき拘置所に移送される順番を待つことになるのです。
しかし、この被告人が別の事件にも関与している場合、普通は拘置所に行く前に再逮捕します。
もし、この再逮捕の事件で勾留→不起訴となったとしましょう。
通常は不起訴になれば釈放です。
しかし、こいつは最初の事件で既に起訴されているので、釈放されずに留置場に残ります。
そうしているうちにまた別の事件で再逮捕となるのです。
これが繰り返されると多数の犯罪に関与している奴は警察が把握しているネタが無くなるまで何度も逮捕が繰り返されます。
留置人との駆け引き
このへんは警察とそいつの駆け引きの材料にもなります。
警察としては「まだまだ再逮捕のネタを持っているんだぞ」と思わせられれば被疑者(被告人)が諦めて、まだ警察がつかんでない事件の自白や供述を引き出せるかもしれません。
被疑者から見たら、何回再逮捕されるか(自分がやった犯罪をどこまで警察が把握しているのか)分かりません。
把握されてない事件の事など黙っていれば良いだけでしょ?と思いますよね。
しかし、留置場という特殊な環境です。
更に接見禁止(弁護士以外と面会できない)なんかがつくと頑張ることができず、途中で心がおれてしまう場合がほとんどです。
よほど留置場が好きか変な人じゃなきゃ無理でしょう。
「あれもこれもどうせ把握されているんだ」と考えると、気持ちが楽になりたいと思うこともあるはずです。
一生懸命頑張っても勾留の期間が長くなるだけです。そして、刑事との対峙で心を擦り減らします。
それなら取調べを迅速に進めてもらい、なるべく早く裁判なり、おつとめなりに進んだほうが結果として早くシャバに戻れることにも繋がります。
やっている件数が多い奴は、早く裁判に進めば、年単位で留置場にいる時間を減らせるわけですから。
留置場の中でも複数人部屋がほとんどですから人間関係があります。
これも大変です。
また、以前は逮捕された時に頑張ることができた留置人でも、今は子供がいたり、恋人がいたりすると耐えられなくなったりします。
個人の状況によっても変わりますね。
今回は以上となります。お読みくださりありがとうございました。
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