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改・スランプ脱出の鍵は、胸キュン時計 〜新入社員時代の私が、今の私に伝えたい言葉〜

朝の満員電車で、初々しいスーツに身を包んだ新入社員を見かけるようになった。

期待と不安を胸に抱き、はち切れんばかりに輝く笑顔。

今の私には、正直眩しすぎた。

なぜなら、桜舞い散る春の空と対照的に、私の心は毎日どんより曇り空だった。

人生のスランプに陥っていた。

ここ1ヶ月ぐらい仕事もプライベートも何だか思うようにことが進まなかった。

春は自律神経も乱れやすいのもあり、体調も不安定で、朝だるくて動けなかったり、頭痛が止まらない日が続いたりしていた。

終いには、ライティングゼミの課題も、1文字も書けなくなった。

言葉が全く出てこない。

書かなきゃと思えば思うほど、キーボードの上の手は動かなくなった。

週末も、あまり外に出かける気がしなかった。

たまには家でグダグタしながら、ドラマでも見よう。

丁度、次の期のドラマが始まるつなぎで、動画配信サイトのTVerで過去ドラマの一挙再放送をやっていた。

色々物色していると、どこかで聞いたことがあるタイトルが出てきた。

「夢をかなえるゾウ」である。

主演は、水川あさみと古田新太。2008年に放送され、水野敬也の小説が原作だ。

何をやってもうまくいかない社会人あすかの前に、象の姿をした関西弁を喋る神様、ガネーシャが突然現れる。ガネーシャが色々な課題を出していき、それをクリアすると主人公が成長していくのだ。

ドラマ化されていたのは知らなかったので、ちょっとだけ見てみることにした。

1話30分の短いドラマである。本気でふざけるギャグセンス満載で、テンポがよく、大爆笑してしまった。13話一気に見てしまい、気づいたら日付が変わっていた。

その中で、今の私にシンクロするストーリーがあった。

第4話にでてくる「胸キュン時計」である。

「胸キュン」と聞けば、恋とか、何かときめくものを連想するかもしれない。

でも、ガネーシャが出してきた、胸キュン時計は真逆である。

この回の課題は、「嘘をつかない」であった。

この時計をすると、自分の気持ちに嘘をつくたび、電流が走ったように、胸がキュンと苦しくなる。しかも、一度つけたら、ガネーシャしかはずせない。映像のイメージでは、キュンなんていうカワイイものではない。

あすかはそこまで重くとらえずに、その時計をつけて会社に行くのだが、日常のことある場面で、胸キュン時計が反応してしまい、叫び狂うような苦しさを味わうことになる。

そして気づくのだ。自分が思った以上にその場しのぎで、本当の気持ちに嘘をついたのだと。

その様子は、まるで今の自分を見ているようだった。

いつもなんとかその場を収めようとして、なんとなく自分が我慢すればいいやと思って、本当の気持ちに嘘をついてごまかしている自分がいた。

ドラマでは、胸キュン時計を通して、自分の気持ちをごまかした時の痛みを感じられる。

でも、現実では、目に見えないし、電流が走るわけでもない。

そうやって気がつかないうちに、自分のハートを傷つけていたのかもしれない。

そんな自分に気づいたあすかは、自分に素直になり、変わっていこうとする。

実は、このドラマの原作の本は、新入社員の頃、社長からプレゼントされて読んだことがあった。その時は、本を読んで、ガネーシャの課題を素直に実行したはずなのに、あの時の気持ちをすっかり忘れていた。

同じ内容の本を手にとっていた22歳の新入社員の自分が目の前にいたら、今の私にきっとこう言うんだろうなと思った。

「できない理由や言い訳を並べるよりも、自分の気持ち素直になって、やりたいことやって、思ったことを表現している時の方が、イキイキしてるでしょう?どうやったらできるか、考えてみたら?」

それはその本をプレゼントしてくれた社長がよく言っていた言葉でもあった。ベンチャー企業で社長直下の仕事についたこともあり、毎日のようにその言葉を聞いていた。何か困難を乗り越える時や壁にぶち当たった時に、自分の口癖にもなっていた。

自分の気持ちに正直に、思いっきり仕事や人生を楽しんでいた。

今の私は、自分の気持ちに嘘を重ねることで、迷子になり、何をしたいのか、どう変えていきたいのか、自分を見失っていた。ガネーシャの言う通りだ。

そんな自分に、今さらながら、気がついたのだ。

私も変わりたい。

とにかく、次の月曜日、胸キュン時計をつけたつもりで、1日過ごしてみることにした。

するとどうだろう。いつもより、毒舌なブラックな私が出てきた。いや、これが本当の私なのかもしれない。

結構先輩からキツ言葉で返された時、いつもなら、「大丈夫」って笑顔でごまかそうとしていた。いや、本当は大丈夫じゃなかった。やっぱり人間だから、傷つくのだ。

「それ、大丈夫じゃないですから。その言い方がけっこう傷つくのでやめてもらえますか」

いつもは怖くて言えないけど、課題という大義名分があるから、ハードルが下がったのだ。

本音を言って嫌われたくない、ややこしくしたくないと言う自分の弱さから、楽な方に流れていた。でも本当は、日常1コマ1コマの中で、私たちには選択肢があって、自分に気持ちに素直になることを選べるはずだ。やりたいことを言い訳して逃げずに、やってみればいいのだ。一歩踏み出しさえすれば。

そして、嘘をつかずに、本心をストレートに言ってしまっても、

以外にも嫌われたり、何か特段嫌味を言われることもなかったのである。

これ言ったら、相手に悪いんじゃないかと気にしていたのは、結局自分だけだった。

爽快感で終えた1日だった。仕事もはかどった。

そんな日を過ごしたら、急に自分の嘘偽りのない今の気持ちを書いておきたいと思った。

ほんの1日だけでも、意識を変えて過ごしたら、何かが変わった。光が見え始めた。

ガネーシャがくれた胸キュン時計は、スランプ脱出の鍵だったようだ。

自分の気持ちに嘘をつかずに、素直になることを思い出させてくれた。

「夢をかなえるゾウ」をプレゼントされた新入社員の頃のように。

せっかくだし、初心に戻ったつもりで、他のガネーシャの課題もやってみようかな。

桜の花びら舞う春の青空を見上げながら、久々にやる気がみなぎった。

※先日書いた記事をライティングゼミ用にリライトしました。
#ライティングゼミ #春 #新入社員 #スランプ克服 #夢をかなえるゾウ #自分の気持ちに嘘をつかない

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