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《偶像》片口南
五美大展で女子美術大学の片口南さんの作品を見た。片口さんの作品を初めて見たのは第11回前田寛治大賞展「写実表現の現在(いま)」だった。日本橋高島屋の美術画廊で提示されていた作品は五角形の変形キャンバスに描かれた静物画だった。
五美大展で提示されていた作品は、アーチ型キャンバスが三連結されており、外側に木でフレームが施されている。連結されたアーチ型キャンバスの形、それを取り囲むフレーム、キリスト教絵画の祭壇画を参照していると思われるが、モチーフはアンティークのような静物である。
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主要なモチーフは中央の熊のぬいぐるみだが、その背後のレースがかけられたアーチ型のモチーフと頭上の飾り皿、ぬいぐるみが持つ皿とが、荘厳さを見せている。シンメトリに配置された静物も画面の荘厳さを演出するが、中央から微妙に右に寄せられている熊のぬいぐるみが、画面の緊張感を和らげている。ところが、中央の手前にあるのはナイフとフォークであり、その中心になるのは義眼(あるいは眼球のアクセサリ)である。なぜ、ナイフとフォークが添えられているのか、不穏な印象を受ける。
短いステートメントが添えられており、画面に描かれているのは蒐集してきた骨董品や雑貨であるという。西洋の宗教画へのあこがれから出発し、個人の宗教的精神性を表現しているという。
モノと宗教の結び付け、アトリビュートに思い当たるが、そうしたことではなくモノへの愛着であるだろう。緊張感のある画面は、引き込まれるようだが、これこを宗教的な絵画の参照だろうか。
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前田寛治大賞展で展示されていた作品
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