《浮かぶ姿(自画像?)》, 橘葉月
京都市立芸術大学の卒業・修了制作展は、卒業、修了年次ではない学生、院生の作品も展示されている。この試みはとてもいいと思う。
橘葉月さんは、大学院の一回生とあった。
新しいキャンパスのアトリエ、その高い天井に届かんとするかのような大きな作品が鑑賞者を見下ろす。
サイズの表記は無かったので定かではないが、4mほどの高さがあるだろうか。大きな足から見上げていき、顔に視線が移っていく。遠近感がバグるような視線の移動、強い線の輪郭の内側はキャンバスの地のままのようである。背景は描かれており、アトリエだろうと想像する。
大きな自画像と対面する小さな自画像と更に小さなメモのような作品がある。メモには”「一人称視点 こども用」”と"point of view ※子どもには洗面台の鏡が使えない"と鉛筆で壁に書かれていた。
小さな鏡が大きな自画像の右手側に一点掛けられており、その鏡は覗き込むことができた。
鏡写しにされた鑑賞者と自画像と、見上げる巨人。顔がよく見えるように視点も提示してくれている。まるで、自分が子供になったような感覚だろうか。
展示室の入り口にあったスフィンクスが、何かを暗喩させているようにも思えた。スフィンクスは何かの境界にあって、鑑賞者に問いかけをする。
頭を低く、後ろ脚に力を込めている様子は、何かに襲い掛かる直前だろうか。あるいは威嚇しているのだろうか。
来年の修了制作が楽しみでもある。
橘さんの作品は、昨年沓掛で見ていた。
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