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《Boundary》DENG YUQI
東京造形大学のZOKEI展、大学院デザイン研究領域のDENG YUQIさんの作品はドレスが三点提示されていた。キャプションは一つだったので、どれもが同じ名前だと推測する。
![](https://assets.st-note.com/img/1705648929823-D0XcWQyxoP.jpg?width=1200)
一見すると奇をてらったデザインに見えるが、この棘は、ソーシャルな距離感に焦点をあてたものである。
マテリアルは"テグス"と"マニラ麻糸"、技法は"編む"とあった。棘の自立はテグスと麻糸を使うことで型の維持をしているものと思われる。見た感じは毛のように見えるが、マニラ麻糸のために剛性が高いのだろうと想像する。
![](https://assets.st-note.com/img/1705649253204-7dcdYG5Wuk.jpg?width=1200)
着用している写真が傍らに置いてあった。着用してもドレスの棘は屹立しており、体の曲げに応じてやや変形するものの、棘として認識できる。
ファッションは、見ること、見られることが伴う。オシャレに興味が無いと言っても裸で過ごす場合でなければ、ファッションからは逃れられない。
威圧する装い、見てもらうための装い、自己防御のための装い、様々な思惑によって着るものを選ぶ。距離を持たせる装いもある。この作品はファッションに文字通り物理的に距離感を持たせている。パーソナルスペースは人によって様々だが、自分の領域をやや広げることができる。
ハリネズミからのインスピレーション、他を寄せ付けないデザインでありながら、編みの隙間は大きくあいており、シースルーのようにドレスの下に着用している服を見せる。少しだけ見える様子に注意を向けるが、そうした他者の視線をも含めて距離を取ろうとしているようである。
ドレス・コード?展では、ハイもファストもあわせて、コードが自由になったということを示していた。DENG YUQIさんの作品は、視線だけでなく自分の服を延長することでパーソナルスペースを確保しようとするもの。
着用している写真が、とてもよかった。
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![Tsutomu Saito](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/127993554/profile_84b8a498e009d369c19b08d06960a1e1.jpg?width=600&crop=1:1,smart)