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東京藝術大学 卒業・修了作品展 柏木崇吾の展示
柏木崇吾さんの展示は美的な洗練さがあった。退廃的なのは彫刻のモチーフによるものだろうか。展示に添えられていたテキストからは生と死、瞬間と永遠などの二項対立ともとれる対比が語られている。
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土、木、石、自然と人とを表現し、その微妙な距離感を示している。木の根は乾燥しており、既に枯れているかのように見えるが、ライトによって照らされた枝の影は有機的に見え、死物である人の胸像に血管のような生気を見せる。その影は否が応でも逆説的に死を想起させる。
ピエール・ユイグは人と人外の関係性を見せている。それは二項対立を超越することを示しているよう。
柏木さんの見せる植物と人工物とのコラボレーションは西洋的な見え方であるが、自身が収集してきた土などを使う。
定期的にスモークが出てくる。これは霧をイメージしているのだろうか。小さな草木ならば、この水分で育つのではないだろうか。
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人間中心主義に対する柏木さんの反応とも取れるが、そうしたことを抜きにして、生と死を想起させる作品が時間を超越させるようである。
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