What is an NFT? ARTnews.comの記事を読んだメモ
2021年はNFT元年と言われていた。NFTはそれより前からあったけれども、Beepleとメタコバンが、全ての話題をさらってしまったように思える。ARTnews.comの記事が興味深かった。NFTについて簡潔にまとめられているし、より深い記事へのリンクも用意されている。2022年はどのような展開になるのか引き続き注視していきたい。
2021 Has Been the Year of the NFT. But What Exactly Is an NFT?
この記事はNFTのまとめ記事、こうしたまとめはざっくりと全体像を掴むのにありがたい。
What is an NFT?
NFTとはnon-fungible tokenのこと、Beepleのオークションレコードのニュースの報道でアナウンサーがfungibleを何度も言い直していたから英語でも珍しい単語なのでしょう。記事ではデジタルコンテンツの唯一性を担保するとあるけれど、NFTそのものはデジタルに限定しているわけでもない。ブロックチェーンは分散台帳と呼ばれているが、NFTはその台帳にコンテンツを記録する。台帳には来歴が全て記録されており、オープンなブロックチェーン上であれば、誰でも来歴を追跡することができる。
デジタルアーティストは自身の作品を使ったグッズ販売はできていたが、デジタルアートそのものを販売する際に、消費者から疑問が提示されていた。
they had trouble monetizing digital art directly, as consumers asked, Why should I buy what I can screenshot for free?
彼らはデジタルアートを直接マネタイズする際に困難を抱えていました。消費者から「なぜ無料でスクリーンショットができるものを買う必要があるのか?」
複雑な問題である。
2021年の紅白歌合戦、歌い手のまふまふが初出場した。純粋に歌うことが好きで音楽をYouTubeなどの動画配信サービスで発信していた。特集番組のインタビューで無料で聞くことができるのに、なぜCDを買う必要があるのか?という声もあったということを話していた。
NFTはデジタルコンテンツを取引する共通項に道をつけたのだろう。
90年代の初め、ビデオアートのジャンルができた時も同じような様相の議論があった。当初は映像作品を媒体に記録し、その媒体を取引することで、物質という依代があったが、VHSテープ、DVD、ブルーレイと媒体の変化していき、やがてインターネットのストリーミングという自由を得た。自由である分、取引に至る際にも問題がある。映像ソフトとして購入することとは違う映像作品、それをコレクションするとはどういうことなのか。新しい習慣。
ノア・ホロウィッツの本で一章をビデオアートに関する記述に使っている。
How does it work?
取引はNFTマーケットプレイスで行われる。OpenSea, SuperRare, Nifty Gateway, Foundationと他にも沢山ある。日本でもNFTマーケットプレイスが出現する。
NFTを作るということ。
Minting is the act of creating an NFT, which means creating a smart contract that will be stored on the blockchain. The smart contract contains a lot of important information: it lists the creator of the work and ensures that the creator, or other parties, receive royalties each time the NFT is sold.
Minting(鋳造)とは、NFTを作成することであり、ブロックチェーン上に保存されるスマートコントラクトを作成することを意味します。スマートコントラクトには、作品の作者が記載され、NFTが販売されるたびに作者や他の関係者がロイヤリティを受け取れるようにするなど、多くの重要な情報が含まれています。
スマートコントラクトはプログラムのこと、コントラクトとあるが、法的な裏付けがあるわけではない。アメリカで言えば、判例が積み上がるのを待たないといけない。そしてブロックチェーンに保存されるのはスマートコントラクトであり、スマートコントラクトはリンクを保持し、アートワークは別に保存される。
This means that many NFTs comprise two parts, the smart contract and the asset itself. This can cause some confusion about where the value actually resides.
つまり、多くのNFTは、スマートコントラクトとアセット自体の2つの部分で構成されています。このため、価値が実際に存在する場所について、多少の混乱が生じることがあります。
そして忘れてはならないのがガス代、イーサリアムでNFTを販売する際の手数料として混雑具合によって変動する。
What are some of the issues with NFTs?
NFTの問題点は何か?アーティストに収益をもたらす手段を提供したが、怪しい局面もある。記事には詐欺まがいのような記載もあった。そしてNFTの販売価格の75%が15ドルの平均価格で1500ドルを超える作品は1%だったという。ただし、この数字は2021年4月までの価格、そこからの騒動は日々の色々なニュースで見ている通り。
NFTの問題点のひとつに、作品を制作した作者を確認しない点にあるという。アーティストはNFTを作るように勧められるそうだが、距離を置いているうちに他人が自分の作品をNFT化している事例も見るという。
そして、NFTに距離を置くアーティストはイーサリアムの大量に消費する電力の問題を挙げている。この電力大量消費問題は、NFTに限らず暗号資産の界隈でも言われている。この問題に対応するための技術も提案されているが、その新しい技術に転換するには、まだ数年以上が必要だと思う。また、イーサリアムも電力消費を抑えた仕組みイーサリアム2.0を2022年初頭に提示するとしている。
Do NFTs constitute an artistic movement? A medium? A genre?
NFTは芸術運動か、メディウムか、ジャンルか?
デジタルアートはNFTになりうる。そして伝統的なアートもNFTになりうる。
ブロックチェーンの仕組みを使って作品表現をした場合はメディウムになる。そうした場合は、アート・ワールドとブロックチェーンコミュニティの溝が癒されると表現されていた。
Notably, it is only under these circumstances that the rift between smart contract and artwork are healed, because they are one and the same.
注目すべきは、こうした状況下でこそ、スマートコントラクトとアートワークの溝が癒されることであり、それは一体のものであるからだ。
NFTに対する嫌悪はアートに投機的な視点を持ち込んだことにあるだろう。コレクターもアートワークを買うというよりも、値上がりを期待してアートワークを買っている状況がある。
アートの切り口でまとめられた記事、NFTにはアートだけでなくゲーム内アイテム、コレクターアイテムなどがあり、アートとの境界が曖昧になっている状況がある。オークションハウスは、NFT市場が莫大な利益を上げることを知っている。そうした背景からは、むしろ境界を曖昧にしておいた方が都合がよいのかもしれない。
電光石火のような2021年のNFT市場は、市場としての動きが早すぎて、これは何なのかという議論がなされる暇がなかった。記事の締めくくりは2022年は議論の年になるかもしれないと締めくくる。
2022 might see the art world and the public coming to their own conclusions.
2022年は、美術界と一般大衆がそれぞれの結論を出すことになるかもしれない。