見出し画像

ポラリス保健室だより 7月 ー気象病と熱中症ー      


気象病と熱中症

7月も半ばになってしまいました。
来週中には梅雨明けになるでしょか?
しとしとという雨の降り方は風情がありますが
昨今のゲリラ豪雨のようなどしゃぶりという雨の降り方は
災害も引き起こしますし困ってしまいますね。
被災されたみなさま、お見舞い申し上げます。

まだこれから台風シーズンにも突入しますし、
今月は梅雨から夏に向かう時期ですので
「気象病と熱中症」について取り上げたいと思います。

天気が健康に影響するの?

「気象病」というのは正式な病名ではありません。
天気の変動により様々な不調があらわれることを指しています。
天気の変動により、特に梅雨時に不調を感じるという人は約45%にのぼります。*1

梅雨時に不調を感じる人は約半数

具体的な症状としては
・だるさ/倦怠感        67.9%
・気分の落ち込み/憂うつ    54.9%  
・頭痛/片頭痛         40.6%
・イライラ
・肩こり/首コリ
・めまい
・耳鳴り
・冷え
・むくみ
などが挙げられます。

なぜ、だるさ(いわゆる重ダルというやつです)を感じるのか?
ご存じのように大気圧(標高0mで物体に働く圧力)は1気圧です。
台風や低気圧のときにその程度を表わす「ヘクトパスカル」で表わすと
1気圧=1013ヘクトパスカル(hPa)なのだそうです。
標高が100mあがるごとに約10hPa さがります。
標高が高いところの方が気圧が低くなるわけです。
よくポテトチップスの袋を山の上に持って行くとパンパンに膨らむのをみたことがありませんか?
あれは、気圧が下がって袋の中の圧力の方が高くなった結果です。

パンパンのポテチ

実は、人間の身体も同じようなことが起こります。
気圧が下がると身体の中の血管が膨張します。
人間の身体は常に同じような状態を保とうとする力が働きますので
血管が膨張すると、逆に収縮させるように働きます。
この働きをしているのが自律神経です。
自律神経についてはポラリス保健室だより5月号をご覧下さい。

血管が収縮すると血流や体液循環も悪くなります。
血行不良は、頭痛や肩こり/首コリをはじめとした症状につながります。
また、体重の約60%は水分ですので、血行不良によって水分代謝がうまく
働かずに身体はむくんでいきます。
これが重ダルの正体です。

気圧の変化が5hPa以上あると症状が出るという報告もあります。
通常の低気圧では約10hPa、台風では20~30hPa気圧がさがるそうです。*2
人間が気圧の変化を感じるセンサーは耳の奥の”内耳”というところにあって
このセンサーが敏感に反応すると交感神経が過剰に働きます。
自律神経はホルモンバランスや免疫機能とも相互作用がありますから
身体のあらゆる所に不調が出現するのです。

熱中症と自律神経の関係

熱中症予防に「のどが渇いてなくても水分をとって下さい」とよく言われています。
確かに水分補給は大事なのはわかるけど、梅雨時期の重ダルに水分をとるとさらにダルくなるのでは?と思われた方も多いのではないでしょうか?
そもそも体内に熱がこもってしまうのはなぜなのでしょう?

梅雨時は気温、湿度ともに高くなります。
天気予報を見ていると、湿度75%とか80%とかのときも多くあります。
実は湿度が75%を超えると汗が蒸発できなくなるのだそうです。
つまり、ここでも水分代謝がうまくいかず身体はむくんでいきます。
汗は身体を冷やすためにかくので、汗がかけなくなると身体を冷やすことができません。外気の熱が皮膚を通って体内に入ってきてしまい体内に熱がこもってしまうのです。

汗をかくことも本来、自律神経が働いて自動的に調整してくれるはずなのですが、気温や湿度の影響で自律神経のバランスが乱れているためうまく働くことができません。
気温や湿度が高い状態、いわゆる暑さに慣れる(暑熱順化)までには2週間ぐらいかかるといわれています。
急に暑くなったりすると熱中症が増えるのはこのためです。

上手に汗をかくことで暑さに慣れていくわけですが、汗をかくと当然水分も同時にミネラル分も失われてしまうので、水分とミネラル分を補給することが大事なわけです。
見落としがちなのがミネラル分なので、水分だけでなく、ミネラル分もしっかりとるように心がけましょう。
(ミネラルを含む栄養のお話しは別の機会に・・・)
水分代謝が良くなれば、自律神経もホルモンバランスも免疫機能も上手に働いてくれるようになるはずです。

ポイントは姿勢を意識すること

気象病も熱中症もどちらもポイントを簡単にご紹介したので、これがすべてではありません。
しかし、自律神経をうまく働かせることが予防の1つになることがおわかりいただけたでしょうか?
自律神経バランスを整えていくには「規則正しい生活」が基本であることは何度もお伝えしてきたとおりです。
「食事・睡眠・運動」も良く耳にするキーワードです。
今回は運動からプチエクササイズをご紹介します。

自律神経は脳から背骨の中を通る脊髄を経て末梢神経として筋肉や内臓につながり、働きをコントロールしています。
ですから、姿勢が悪いと自律神経の伝達も悪くなり頭痛・片頭痛、首こり・肩こり、腰痛などの症状がでやすくなり、気分も落ち込みがちになります。姿勢を保持する「脊柱起立筋」を鍛え、姿勢をよくすることで自律神経がしっかりバランスよく働けるようにましょう。

第一三共ヘルスケア くすりと健康の情報局 腰痛体操より

気圧のセンサー”内耳”は耳の奥にありますので、耳周りのマッサージを行うと血行促進にもつながり効果的です。

第一三共ヘルスケア くすりと健康の情報局 くるくる耳マッサージより
第一三共ヘルスケア くすりと健康の情報局 タオル体操より

健康に役立つ食事については、節句ごとに開催予定の養生食講座で取り上げる予定です。
NIKSEN明大前さんと共催でモデルメニューをいただきながら食事から健康を考える養生食のお話がきけます。
お近くの方はぜひご参加ください。
次回は9月8日(日)開催予定です。準備が整いましたらお知らせいたしますので、ポラリスのHPをご確認ください。

【参考文献】
*1 株式会社心と体サプライズ調べ 2023
*2 ゲリラ豪雨、爆弾低気圧…異常気象でますます増えている「気象病」の症状と予防法 ダイアモンドオンラインhttps://diamond.jp/articles/-/343982?page=3








この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?