生命の水?「蒸留酒」
こんにちは。
Polarisのるかです。
前回は、発酵をしてつくるお酒、醸造酒について学びました。
今回は「蒸留酒」についてまとめます。
「蒸留酒って聞いたことあるけど・・・ウイスキーとか?お酒の作り方が違うんでしょ?
」みたいな認識でした。
蒸留酒とは…
発酵でできたお酒を蒸留して、よりアルコール度数を高くしたお酒のことです。
蒸留酒は、ウイスキー、ブランデー、焼酎などなど
蒸留とは…
沸点の違いを利用して、液中にある成分を濃厚な状態で分離することを言います。
水を加熱していくと、100度で沸騰が始まり、水から水蒸気に変わっていきます。水蒸気を冷やすと、水に戻ります。沸騰する温度を沸点と言います。
水の沸点は100℃ですが、これは液体により温度が変わります。
アルコールの沸点は78.325℃で、液体から気体に変わります。
水とアルコールが混ざった液体を沸騰させた場合、先にアルコールが沸騰し、気体に変わります。この気体を先に取り出して、また冷やします。水の含まれていない、濃いアルコールをとりだすことができるんですね。
このように沸点の違いを利用した、液体の分離方法を「蒸留」と呼びます。
この蒸留の技術、もともとはメソポタミアで生まれた香水の蒸留の技術が各地に広まり、お酒にも応用されるようになったようです。
アルコール分の強い酒を作った錬金術師たちは、蒸留酒をラテン語で「アクア・ビテ(生命の水)」と呼んで、薬酒扱いしていたそうです。
ウイスキーなど飲むとカーとなって体がぽかぽか温かくなりますよね。
弱い度数のアルコールしかなかった時代に、はじめて飲んだ衝撃は強烈だったことでしょう。
●蒸留方法
蒸留方法は2種類あります。
単式蒸留と連続式蒸留です。
ウイスキーの作り方によくでてきます。
◯単式蒸留
・古くからある伝統的な蒸留方法
・原料の風味を残したい場合に使う
・すこし手間がかかる
お酒:モルトウィスキー、テキーラ、芋麦米などの本格焼酎、泡盛など
◯連続式蒸留
・19世紀に発明された近代的で機会的な蒸留方法
・原料の風味があまり残らない
・効率的に高アルコールを蒸留できる
お酒:バーボン・ウィスキー、グレーン・ウィスキー、甲類焼酎など
どちらがいいというわけではなく、作りたいお酒に合わせて使います。
●蒸留のしくみ
それぞれのしくみを見ていきましょう。
◯単式蒸留
発酵させたお酒を蒸留後、一回ごとに釜の中身を入れ替えるため単式蒸留と言われます。
単式蒸留器(Pot Still ポットスチル)を使用します。
・蒸留のしくみ
釜に発酵させた液体(日本ではもろみという)を入れ、
下から加熱し、もろみを沸騰させ、高濃度のアルコール溶液を作り出します。
もろみの1/3ほどの量が蒸発すると、釜のもろみのアルコールはほぼなくなります。
加熱をやめ、残った液体を廃水として処理します。
より濃いアルコールを作りたい場合は、蒸留した液を単式蒸留器に入れて、再度蒸留をしていきます。
単式蒸留で得られるアルコールの濃さは、元の液の3倍程度です。もろみの度数が7℃の場合、1回の蒸留では20℃程度になります。
通常単式蒸留を繰り返し、40〜90℃のお酒を作ります。
単式蒸留器にはさまざまな形があり、使い方や作り手によって、お酒の風味や質が変わってきます。
◯連続式蒸留機
段々になった塔に上からもろみを流し込み、上段から下段へ降りてくる際に連続的に蒸留を行います。
一回の流し込みで一気に蒸留できるので効率的です。19世紀に単式蒸留の改良型として開発されました。
蒸留には連続式蒸留機(column stillコラム・スチル)を使用します。
・蒸留のしくみ
内部が多段式になった塔に、上からもろみを流し込みます。
上段から下段に流れながら、1段ごとに蒸留を繰り返します。
1回の流し込みで、何度も蒸留を行うことで効率的に高濃度の純度の高い蒸留液を得ることができます。1回で90℃前後にまでなります。
作り方で味が変わる?
アルコールは度数が高くなるほど原料の風味がなくなっていきます。
単式蒸留は風味を残しつつ、徐々にアルコールの度数を高めます。
連続式蒸留は一気にアルコールが高まり、風味は飛んでクリアな味になります。
作り手は作りたいお酒によって、蒸留方法を変えています。
まとめ
蒸留酒とは、発酵してできたお酒を蒸留して作る、高濃度なアルコールのお酒のこと。
蒸留とは沸点の違いを使って、液体を分離する方法。
蒸留の方法には単式蒸留と連続式蒸留がある。
単式蒸留は伝統的な蒸留方法で、風味を残したお酒ができる。
連続式蒸留は近代的な蒸留方法で、効率的にお酒を作ることができる。
蒸留酒
ウィスキー、ブランデー、テキーラ、ジン、ウォッカなど
単式蒸留:モルトウィスキー、テキーラ、芋麦米などの本格焼酎、泡盛など
連続式蒸留:バーボン・ウィスキー、グレーン・ウィスキー、甲類焼酎など
以上が「蒸留酒」のまとめでした。
人類の経験と知恵の応用はすごいですね。メソポタミアの香水の技術から始まり、ヨーロッパや北欧、アジアと世界中に広まりました。
日本にも、東アジアからの海上ルートで入り、沖縄、九州に広まっていったと考えれているんだそうです。だから九州や沖縄では、焼酎とか泡盛が盛んなんだ!と納得しました。(土壌により、米が育ちにくいなどもあったとは思います。)
蒸留の技術によって、多様なお酒が生まれていておもしろいですね。
次回は「お酒の分類について」まとめてみます。
このノートは、お酒の勉強のためにまとめたものです。
多くの人に分かりやすく説明できるよう頑張ります。
みなさまのお酒への興味が広がるきっかけになれば、幸いです。
Polaris るか
るかのミニ知識
単式蒸留器、連続式蒸留機
読んでいて気づいた方はいたでしょうか?
「器」と「機」で使い分けがされているようです。
もともと昔からあった「単式蒸留器」は、釜の「うつわ」を使っているので「器」を当てられています
「連続式蒸留機」は、「単式蒸留器」の効率化のために考えられた「機械」なので「機」があてられているそうです。
翻訳っておもしろいですね。