映画とゲームの境界線と可能性 ―― 企画・プロデュース 林健太郎
ゲームを作るにあたり「ゲームデザインバイブル」という本を読んだ。
これがゲーム制作の真髄が描かれた(超絶分厚いが)面白い本で、それまで一切ゲームを作ったことのない自分に大きな助けになった。
そこにも書かれていた、ゲームづくりで一番大事なことは「体験の核」だという。
それはつまり、例えば某色塗りバトルゲームでいうところの“塗る”、大乱闘ゲームであるところの“ぶっ飛ばす”といった、プレイヤーがプレイした時に原始的に感じる体験のこと。
物語やキャラクターなど、作品をつくる上で重要な要素は沢山あるが、ゲームでまず大事なのは「体験」である、ということだ。
これは、映画製作を主軸に置いていた自分にとっては大きな気づきだった。
自分が映画を作る時、まず大事にするのはテーマだ。
なぜこのタイミングで作るのか、時代を超えても届く普遍的な内容なのか、その作家ならではの個性が反映されているのか。
時代性と普遍性と独自性、この3つが内包されたテーマかどうかを、最初に考える。
それをキャラクター、構成など内容面に落とし込む作業を行い、物語を構築していた。
映画づくりにルールは無いのでこれは自分のやり方だが、ゲームづくりにおける「体験」の視点から作ったことは無かったのだ。
新しいものづくりの文法を知ることはとても興味深く、この違いを活かした挑戦をしようと思った(後に今作『インサイドブルー制作』の時につまずくきっかけにもなる)。
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